破産配当の具体的実施

破産管財人はどのようにして配当表を作成し、配当金を各破産債権者に交付するのでしょうか。破産債権の一般調査期日終了後、破産財団に配当に適する金銭が存在するとき、破産管財人は遅帯なく配当を実施しなければなりません。破産財団の換価が終了したときに実施するのが最後配当、換価終了前に実施するのが中間配当、最後配当後に配当しうる金銭が発見されたときに実施するのが追加配当です。中間配当では、破産管財人は監査委員の同意またはこれに代る裁判所の許可を得なければなりません。最後配当では監査委員が設けられていても裁判所の許可が必要となります。中間配当では、配当率の見込みが5パーセントや10パーセントなどの計算のしやすい程度に配当財団が組成された場合にこれらの配当同意または配当許可を得ているようです。

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破産管財人は配当表を作成します。配当表には、配当に加うべき債権者の氏名、配当に加うべき債権の額、配当することのできる金額を記載します。法文上は債権者の氏名および住所となっていますが、住所の記載を省略する取扱が多くなっています。配当に加えられる債権は、債権調査期日において破産管財人と他の破産債権者から異議が述べられずに確定したもので、優先債権と一般債権です。異議を述べられた債権でも異譲者を被告として債権確定訴訟を提起していれば、また、別除権者も目的物処分に着手し、いわゆる予定不足額を破産管財人に疎明していれば、いずれも配当表に加えられます。ただし配当額は寄託されます。次に配当することのできる金額とは、個々の確定債権に対し何パーセントと算出されたものでなく、現在破産管財人の手許に備えられた配当予定の金額です。この時期に作成された配当表には個々の破産債権者に対する具体的な配当金額は記入しないのが建前です。実務ではこの配当表に具体的な配当金額を記入する例が多く、このよう作成された配当表は利害関係人の閲覧に供するため直ちに裁判所に提出しなければなりません。
破産管財人は配当に加うべき債権の総額と配当をうべき金額を官報に掲載して公告します。この公告は、前述の異議ある債権や別除権者のための除斥期間進行の起算日となります。除斥期間は中間配当にあっては二週間、最後配当にあっては二週間以上一月内において裁判所の定める期間です。除斥期間内に配当表を更生すべき事由が生じた場合に配当表は更正されます。除斥期間内に確定訴訟の提起やいわゆる予定不足額を疎明しないとその回の配当から除斥される配当をうべき金額として公告された額は、配当金総額の上限を画するものです。
除斥期間経過後の一週間が配当表に対する異議申立期間です。異議申立期間経過後、破産管財人は配当率を定め監査委員の同意またはこれに代る裁判所の許可を得なければなりません。最後配当にあっては、その後の配当がないため配当率の決定は要せず、配当額を定めるだけで足ります。
従来の債務につき履行地の定めがあっても、破産という多数処理のため、画一的に破産管財人方で支払われることになります。そこで破産管財人は、配当実施日を定め、同時に配当率又は配当額決定の通知を併記した配当実施通知書を各債権者に発送します。この通知の発送により破産債権者は具体的な配当請求権を取得します。配当実施通知と同時に配当金領収書用紙を同封し印鑑証明書一通とその実印で領収書用紙に押印して持参します。債権証書のあるときはこれも持参するよう通知する場合が多くなっています。印鑑証明書の要求は破産債権者本人を確認する手段のひとつですが、多数処理の場合に必要なことです。
配当日に現金で支払っていたのでは保管上の問題ばかりでなく計算に誤りの生じるおそれがあります。実務では小切手をあらかじめ振り出しておき、これで支払うことが多い。破産管財人名義の小切手の場合もありますが、小切手振出の手数を省くため、指定寄託銀行の支店長振出の小切手即ち預手で実施するのが賢明です。預手なら現金と同視しうるからです。これらの預手に配当表にしたがった整理番号や債権者氏名も記入しておくと払渡に便利です。
破産管財人が配当を実施するとその都度債権表と債権託書に配当した金額を記入してこれに記名捺印しなければなりません。裁判所書記官による確定の公証が省格される扱いにならって、手形、公正証書および判決以外の債権証書には配当済の記入を省略する扱いが多い。配当記入をする場合、配当証明の付箋を債権証書に貼布して割印するのが便利です。なお、記入を要する債権証書を紛失などの理由で配当時に持参しないとき、破産管財人は、中間配当では配当を留保し、最後配当に至り紛失者に紛失届を提出させて配当を実施することが望ましい。万一、善意の手形所持人が同一手形につき別途債権届出をしてその処理に混乱の生じることを防止するためです。

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