破産債権確定の訴え

終局判決や執行力のある債務名義の存しない破産債権を確定するためには、破産債権者は、誰を相手どって、どのような訴訟を提起しなければならないでしょうか。すでに破産債権者と破産者間で訴訟が係属しているときは、破産債権者は、どのような措置をとるべきでしょうか。届出債権に対し、破産管財人や他の破産債権者から異議が述べられた場合、その異議が撤回されないかぎり、終局判決や執行力ある債務名義のない破産債権の確定のためには、異議を述ぺられた債権者が原告となり、異議者たる破産管財人または他の破産債権者を被告として、債権確定の訴えを提起しなければなりません。これは通常の判決手続における訴えを提起すべきであり、受継をする場合を除き、手形訴訟や督促手続によることはできません。ただし、破産債権者と破産者との間に仲裁契約が締結されている場合には、仲裁手続により確定を求めることは可能です。数人から異議があったときは、これを共同被告とし、破産者も異議者であるときは、破産者をも共同被告に加えることを要します。数人間の債権確定訴訟については、固有必要的共同訴訟説と類似必要的共同訴訟説とが対立していますが、前者が多数説です。なお無名義債権の場合には前者を、後述の有名義債権の場合には後者を肯定する説もあります。ただし破産者は共同被告となっても、他の者と必要的共同訴訟の関係に立ちません。破産者の異議は、破産債権の確定を妨げず、ただ訴訟経済上共同被告とするにすぎないからです。この訴訟の性質については、給付訴訟説、確認訴訟説、形成訴訟説の三つが対立しますが、通説はこれを確認訴訟とみます。

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この訴訟は、破産手続による特別の訴訟手続ではなく、通常の民事訴訟手続にしたがってなされます。したがって、債権の存否等は口頭弁論終結時の資料にもとづき判断され、債権調査期日に異議を述べなかった破産債権者、破産者あるいは破産債権者でない者も、この訴訟に補助参加をすることができます。またこの訴訟は、破産裁判所の管轄に専属します。ここでいう破産裁判所とは、国法上の裁判所を意味し、必ずしも当該破産事件を担当する合議体または裁判官を指すものではありません。この訴訟において原告は、請求の趣旨および原因として、先に届出をなし調査され債権表に記載された範囲の事項しか主張できません。したがって、当初と異なった発生原因やより多額の債権額などを主張することは許されません。ただし債権の同一性を害しないかぎり、発生原因事実に多少の付加変更をすることは妨げません。
異議ある債権について、破産宣告当時すでに破産債権者と破産者との間に訴訟が係属していた場合には、この訴訟は破産宣告により中断しているはずです。この場合債権の確定を求めようとする破産債権者は、別訴を提起せずに、この訴訟を債権確定訴訟に切り換えるため、異議者を被告として訴訟手続の受継を申し立てなければなりません。異議者が数人あるときは、その異議者全員に対して受継すぺきであり、破産者が異議者の一人であるときは、これをも共同被告として訴訟を受継する必要があります。破産宣告により中断した訴訟があるにもかかわらず、これを受継せず、異議者を被告として新たな訴えを提起しても、訴えの利益を欠くため棄却されます。
受継であるため、従束の訴訟の係属する裁判所でこれを行い、破産裁判所に事件を移送する必要はありません。中断した従来の訴訟が給付訴訟であれば確認訴訟にあらためるほか、異議を排斥し債権の確定をはかるのに適当なように請求の趣旨を変更しなければなりません。ただしこの場合にも債権者の主張は、先に届け出て異譲のあった範囲内にかぎられます。破産者が相手の場合には、破産終結後における既判力や執行力を目的とするだけであるため、請求の趣旨、原因を変更する必要はなく、給付訴訟のときでもそのままでかまいません。
会社更生法の場合と異なり、受継の時期に制限はありません。ただし最後配当の除斥期間内に受継がなければ、配当から除斥されてしまうため、遅くともその期間までに間に合うよう行う必要があります。受継の時期に制限はないといっても、破産債権の届出すらしていない段階や、届出はされていてもまだ債権調査手続を経ていない間は、受継をすることはできません。もっとも、中断した訴訟の促進と破産債権の迅速な確定をはかるため、破産債権者の債権の届出を予想し債権調査手続前に破産管財人がなした訴訟の受継も、破産債権者がその承継を争わず異議を述べないときは、適法であるとした判例もあります。

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