執行力のある債務名義

債権調査期日において有名義の破産債権に異議が述べられた場合は、異議者のほうから破産者のできる訴訟手続によって、異議を主張することになります。例えば再審の訴え、請求異議の訴え、上訴等の手続によってです。しかるに債権届出はしたが有名義である旨を届け出なかったときは、無名義債権として取り扱われ、債権者のほうから異議者を相手方として債権確定訴訟の提起または訴訟の受継をしなければならない不利益を甘受しなければなりません。有名義である旨は債権届出に際しその旨を明記しその証拠資料を提出するか、遅くとも債権調査期日までにこれを追究すべきであって、単に債権届出書に公正証書謄本等を添付するのみでは不可です。優先権のある債権でも属出の際に優先権のある旨を記載して届け出ないと一般の破産債権として取り扱われます。

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届出のあった破産債権について、裁判所書記官は債権表を作成し、債権者の氏名および住所、債権の額および原因、優先権あるときはその権利、劣後的破産債権を含むときはその区別、別除権者が別除権の行使によって弁済を受けることのできない予定額として届出た債権額、および有名義債権であるときはその旨を記載します。債権調査の結果も記載されますが、記載事項は、確定した債権についてはその旨、異議ある債権については誰がどの点について異議を述べたかであり、また破産者の述べた異議も記載されます。確定した旨の債権表の記載は破産債権者全員に対し確定判決と同一の効力を有します。ここに全員とは届出をしたかどうか、期日に出頭したかどうか、また期日において異議を述べたかどうかは関係ありません。
債権表の記載に誤りがある場合の訂正方法は、記截が破産債権者の全員に対し確定判決と同一の効力を有するために、判決の訂正と同様です。債権表の記載に違算、書損その他これに類する明白な誤謬のあるときは更正決定を得てこれにもとづいて訂正されますが、それ以外のとき、つまり債権表に無効な記載事項のあるときについては確定判決と同一の効力を有する意味をどう解するかによって説がわかれていました。債権表の記載に既判力があるとみれば再審の訴え、請求異議の訴えにより記載の当否を争うことになり、債権表の記載は破産法二四二条の文言にがかわらず確認的意味を有するにすぎないとみればその記載の無効を訴えをもって主張しその旨の確定判決を得た後にこれにもとづいて訂正を加えることになります。判例は更生担保権者表の記載についてですが、後者すなわち無効確認の確定判決により無効な記載を訂正すべきであるとしたため、債権表の記載についても同様に解すべきです。
届出事項の変更は新たな届出と同じに扱われます。債権届出期間内は自由に変更できますが、届出期間後は他の破産債権者の利益を害する変更は特別期日を定めて調査されます。
届出の取下は破産手続終結まで自由にできます。破産管財人等の同意を必要としません。取り下げれば時効中断の効力は生じませんが、再度届け出ることは可能です。なお破産債権確定後の取下については、債権確定により確定判決と同一の効力を生じるところから判決手続において判決確定後訴えの取下を許さないように債権確定後はもはや届出の取下を許さないとの説もありますが、取下は他の債権者の利益にもなりこれを認めても何らさしつかえがありません。もっとも債権確定後に債権届出を取り下げた場合は、再度の届出は許されません。債権調査において異議を述べた破産債権者が届出を取り下げると異議権を失うために、その異議は除去されます。
破産債権届出後に債権譲渡、任意代位または法定代位による特定承継あるいは相続または合併による包括承継の結果債権の移転があった場合の手続については破産法に規定がありません。破産債権の移転について争いのない場合は、特定承継について破産管財人への通知または破産管財人の承諾により対抗要件を備え、新債権者と旧債権者とが連名で証拠書類を添付して届け出ればよいとされています。包括承継のときは当然新債権者のみで証拠書類を添付して届け出ることになります。この点につき会社更生手続では届出名義の変更を受けようとするものが単独で届け出ることに規定されています。届出によって債権移転の事実が認められるときは、債権表の債権者名義が変更されます。破産債権確定後に債権移転の場合も同様です。学説としては確定債権の移転については破産管財人との間で事を決すれば足り、債権表の記載の変更は許すべきでないとの説もありますが、判例は債権譲渡につき譲受人が破産裁判所へ届け出て債権表に記載されることが必要だとしています。
確定前の債権の移転につき争いのある場合は、債権調査期日に異議を述べ債権確定訴訟により解決すべきであり、確定後の債権の移転につき争いのある場合は、債権確定訴訟によりえないため、債権の移転を争う債権者と破産管財人の両者を相手として、自己が破産債権者であることの確認訴訟を提起すべきです。いずれにしても勝訴の確定判決を得た後、破産裁判所へ届け出て債権表の債権者名義の変更を受けることになります。

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