破産債権の届出

破産債権の届出は破産裁判所に対して行ないます。破産管財人に届け出ても効果はありません。もっとも誤って破産管財人に届け出た場合には便宜的に裁判所へ取り次いでいるようですが、あくまで好意的取扱いにすぎないため、届出の日は裁判所へ着いた日です。届出期間は破産裁判所により破産宣告と同時に決定され、その期間の末日が破産宣告の日から二週間以上四か月以下の間に来るように定められます。届出の方式は書面または口頭でできることになっていますが、実際はすべて書面によっています。口頭による場合は裁判所書記官が調書を作成することになっています。しかし実務ではむしろ債権届出書の作成方法を指導しているようです。届出書の様式は裁判所により異なります。東京地裁のように印刷された債権届出書用紙を送って来るところもあれば、なかには届出書の皺型を送るだけで、届出書は各債権者に作成させる裁判所もあります。それに届出についての注意書が添付されているのが普通です。

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届出の要件は破産債権の額および原因。届出にあたっては債権額を明らかにしなければなりませんが、外国通貨で表示した債権の場合は破産宣告時における評価額で邦貨に換算して届出ます。破産債権の原因は、他の請求権と区別できる程度にその請求権発生の事実関係を記載すべきであり、訴状の請求原因と同じである約束手形金、売掛金、貸付金等の種類別に振出日また契約日、支払期日、目的商品等によって特定します。各裁判所から送られる注意書に記載例が発生原因別に掲げてあるのが普通です。特に注意を要するのは手形金債権です。同じく手形といっても破産宣告前にすでに支払期日の過ぎたものと、まだ支払期日の未到来のものと二種類あります。
第一に、破産宣告前に支払期日が到来した手形は、支払呈示がしてあれば支払期日から破産宣告の日の前日まで手形法所定の年六分の割合による利息金が破産債権となります。呈示期間内に支払呈示がしてない場合は、支払期日からではなく請求した日の翌日から商事法定利率年六分の割合の遅延損害金が発生し、破産宣告の日の前日までの発生額が額面金とともに破産債権となります。
第二に、破産宣告後に支払期日が到来する手形は、額面金がそのまま破産債権となるのではなく、破産宣告の時に弁済期が到来したものとみなされますが、破産宣告の時の属する日から支払期日までの法定利率により算出した全額を額面金から差し引いた残額が破産債権となります。
一般の優先権のあるときはその権利。一般の優先権とは他の破産債権に優先して配当を受けられる権利で一般の先取特権のある債権、例えば共益の費用、雇人の給料、葬式の費用、日用品の供給、株式会社使用人の給料等の債権をいいます。その他に企業担保法二条、保険業法三二条、相続財産につき破産法四二条、四三条、四四条、これらの優先権のあるときは、その旨を届け出ます。
劣後的破産債権を含むときはその区分。劣後的破産債権とは一般の破産債権に全額配当した後に配当を受けることのできる債権です。もし劣後的破産債権のあるときはその区分を届け出ます。しかし破産の場合には一般の破産債権すら満足に配当を受けられないのが通常であるため、劣後的破産債権を届け出なくても損はないのが普通です。
証拠書類またはその謄本もしくは抄本を添付します。届出債権に関する証拠書類とは手形、小切手、売掛台帳、契約書、給料明細書等です。一般に原本は添付せずに写を二通作成し債権届出書の正本および副本にそれぞれ添付します。手形や小切手で付箋のついているものは付箋も写を作成しなければなりません。原本は手許に保管し、破産管財人から提示を求められたらいつでも応じられるようにしておかなければなりません。
別除権者はその他に別除権の目的およびその行使によって弁済を受けることのできない債権額を届け出ます。別除権とは特別の先取特権、質権、抵当権および商事留置権等の担保権をいいます。別除権の目的とは担保の目的となっている土地、建物、船舶等の物件をいいます。これらの担保付債権は担保権の実行によって弁済を受けられるなら届出の必要はありません。しかし実行しても完済されない見込みのときは予定不足額を破産債権として届け出ます。これは見込額であるため別除権行使の結果により増滅することになってもさしつかえありません。
訴訟保属中の場合。破産債権につき破産宣告の当時訴訟が係属中であれば、裁判所名、事件名、事件番号も届け出ます。
執行力ある債務名義または終局判決ある債権の場合執行力ある債務名義または終局判決ある債権のことを有名義債権と称し、これを届け出るべきことは破産法二二八条に規定されていませんが、有名義債権に対する異議の主張方法を無名義債権に対するそれと区別して規定しているところであるため、有名義債権である旨を届け出るべきです。執行力のある債務名義とは公正証書、和解調書、認諾調書または調停調書等の正本に対し執行文の付与されたものをいいます。終局判決とは第一審または第二審で債権存在の勝訴判決を受けている債権をいいます。公証人名、証書番号または裁判所名、事件名、事件番号により特定しておきます。
実務においては債権届出書は正副二通作成し、いずれも証拠書類の写を添付して裁判所に提出します。正本は裁判所に保管し、副本が破産管財人に交付されます。印紙は貼付する必要がありません。破産宣告を申立てた債権者も申立書に債権の存在を明らかにしたものであるか、改めて債権届出をしなければなりません。証拠書類またはその写を届出書に添付しなかった場合は、その届出自体は無効とはなりませんが、債権調査に際し債権の存在を認められず異議を述べられるおそれがあるため、必ず添付すべきです。債権者が法人の場合は資格証明書一通を届出書正本に添付しなければなりません。登記簿上の住所と実際の住所が違うときは登記簿上住所も併記しなければなりません。大企業の場合は担当部課、担当者名、内線電話番号も記載しておいたほうが連絡を受けるのに便利です。債権届出は代理人によって行うこともできますが、その場合は委任状一通を届出書正本に添付しなければなりません。
届出が不適法であれば却下され、債権者はこれに対し即時抗告によって争うことができます。却下は公告されないから即時抗告期間は却下されてから一週間です。
届出が適法なときの効果。第一に、破産法上の効果としては破産債権者として債権者集会における議決権を取得し、財団から配当を受けることができるようになります。第二に、実体上の効果としては債権届出により時効中断の効力を生じます。中断の効力は破産の終結決定。強制和議認可決定の確定、破産の廃止決定または破産取消決定の確定まで継続します。
債権届出期間の経過後に届け出ても、破産管財人および他の破産債権者の異議がなければ債権調査の一般期日に調査を受けることができます。しかし異議があったときは裁判所が遅れて届け出た債権の調査のための特別期日を定めることになり、その費用はその債権者の負担とされます。さらに遅れて債権調査の一般期日後になって届け出た場合も同様です。あまり債権届出が遅れると配当を受けられなくなります。つまりち、遅くとも最後配当の除斥期間内には債権届出をして確定のための手続をしておかないと、最後配当から除斥されます。なお期間後に届け出た債権を調査することについての破産管財人および他の破産債権者の異議がなく債権調査した以上は、届出期間の経過をもって債権調査における異議の理由とはなしえません。調査することについての異議と調査における異議とは区別して考えなければなりません。会社更生法についてであるが同趣旨の判例があります。
破産債権があっても届出を怠ったときは債権者集会における議決権がなく、配当を受けることができません。しかし強制執行ができないとか強制和議や免責の効果が及ぶことは届出をしてもしなくても同じです。

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