破産財団所属財産の占有取得

破産管財人は何時、どのような方法により破産財団に属する財産の占有を取得し、自己の管理のもとに移すことができるのか、動産、不動産その他各種の財産で、どのような相違があるのか、そして破産者や第三者が任意の引渡に応じない場合には破産管財人はどのような措置を講じることができるのでしょうか。そして破産者や第三者が破産財団に属する財産を隠匿し、破産管財人による占有の取得や管理の開始を妨害したときは、刑事上どのような制裁を受けるのでしょうか。破産執行の対象となるべき破産者の全財産を一括して破産財団といいます。破産執行の対象となるべき破産財団とは、法律上、破産者が破産宣告の時において有する差押可能な一切の財産で日本にあるものと定められており、これを法定財団とよびます。法定財団に対し、破産管財人が法定財団に属するものとして、みずから現実に把握した全財産を実在財団とよびます。破産管財人による破産財団所属財産の占有管理は、破産執行の目的である換価配当を目指して、この実在財団を法定財団にでぎるだけ近づけるためになされます。

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破産財団の管理処分権は、破産管財人に専属し、そのために破産管財人は、就職後直ちに破産財団に属する財産の占有および管理に着手しなければなりません。つまり破産財団に属する財産の占有を取得し、自己の管理のもとに移すことが、破産宣告後、破産管財人が真先にしなければならない職務の一つです。破産管財人は、就職後直ちに破産財団に属する財産の占有および管理に着手するため、破産宣告前の候補者の段階から、あらかじめ裁判所の一件記録を閲覧調査し、裁判所書記官と打ち合せ、場合によっては破産宣告を受くべき者の営業所、住居等を下見する等して占有管理に着手するための方法、日程等につき、できるだけ綿密な計画をたて、破産宣告と同時に行動を開始し、みずからまたは常置代理人と分担して、破産者の営業所、住居等財産の所在場所に臨み、破産財団に属する財産の実地調査をしたうえで、可及的すみやかにその引渡を受けてみずから占有し、その管理下に移すことになります。ただ、同じく財産の占有を取得し、自己の管理下に移すといっても、有体動産、不動産、その他各種の財産によって、時期、方法等にそれぞれ相違があるのは当然です。
現金その他の有体動産類は、変更、隠匿、散逸等のおそれが多いものであるから、時期的には最も緊急性を有します。方法としては、占有者から引渡を受けることによって占有を取得します。破産管財人が引渡を受け、みずから現実に直接占有を取得して引き揚げる場合はあまり問題が起こらず、これが原則ですが、量的にあるいはその物の性質上その他の理由で引揚げが不可能な場合は、財産の変更、隠匿、散逸等を避けるために封印を受ける必要があります。つまり破産管財人は、封印を受ける必要があると認めたときは、裁判所書記官、執行官または公証人に封印をさせることができますが、通常は、執行官に委任するか破産裁判所の裁判所書記官に封印申請をして、財産の所在場所に同行を求め、その場で封印を受けて破産管財人の占有を公示し、破産管財人の補助機関として保管を託するに足る者を選び、その者から保管証を徴して、これに保管させる方法をとっています。
土地、建物等の不動産についての占有取得も有体動産と同様引渡を受けることによってなされます。ただ、動産と異なり、原則として、変更、隠匿、散逸等のおそれが少ないので、動産程の緊急性を有しないということはいえます。破産管財人による占有の公示は、封印による場合のほか、明渡を受けた建物については入口に鍵をかけて破産管財人の占有管理下にあることを示す貼札をしたり、土地については周囲に囲いを設けて同様の立札を立てる等の方法を講じていますが、通常は、破産管財人が一且引渡を受けたうえで、必要とする時はいつでも直ちに明け渡す旨の条件を付けて、換価の時期まで、破産者または破産管財人の補助機関としての従業員らに代理占有させることが多くなっています。
不動産に関する物権の得喪および変更は、登記をしなければ第三者に対抗できないとされていますが、このように登記によって権利の変動を公示すべき土地、建物または登録した権利である特許権、実用新案権、意匠権、商標権等については、裁判所が職権で遅滞なく破産の登記または登録を登記所または登録官庁に嘱託しこの嘱託を受けた登記所または登録官庁は、遅滞なく破産の登記または登録をしなげればならないとされており、この登記または登録によって、破産宣告の事実が公示されます。破産管財人は、実在財団をできるだけ法定財団に近づけるため、これらの財産の発見に努め、これらの財産を新しく発見した場合は、直ちに裁判所に申出て、破産の登記または登録に関する職権の発動をうながさなければなりません。
銀行預金等の債権その他の請求権については、印章、預金通帳、債権証書、帳簿、伝票類等の引渡を受けることになりますが、変更、隠匿、散逸等のおそれのあるものが多いので、有体動産の場合と同様緊急になされる必要があります。一方で、これらの財産については、裁判所が、直ちに破産決定の主文等を公告するとともに、破産者の債務者および破産財団に属する財産の所持者が破産者に弁済し、または所持する財産を破産者に交付してはならない旨を公告し、かつ、知れたる第三債務者に対しては、これらの事項を記載した破産宣告通知書を送達することによって破産宣告の事実が公示されます。
破産者が任意に動産の引渡をしないとか、不動産の明渡要求に応じない等破産管財人の占有取得を拒む場合、破産管財人としては、極力説得して任意の引渡なり明渡を受けるよう努力すべきであり、ほとんどはこの段階で解決しているのが実情であって、破産者に対し強制力を用いた例を知りませんが、破産者があくまでも破産管財人の説得要求に応じない場合は、一般的執行を命じた破産宣告の決定正本を債務名義として民事訴訟法による強制執行をすることになります。
破産者の債務者および破産財団に属する財産を所持する第三者等が任意に債務を弁済しないときまたは任意にその所持する財産を引き渡さないときも、破産管財人としては、極力説得して任意の履行を求めることはもちろんですが、あくまでもこれを拒む債務者その他の第三者に対しては、訴訟手続により給付の確定判決を受ける等個別に債務名義を得たうえで、一般の場合と同じ手続によって個別執行をすることになります。

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