損害賠償を確実にするには

損害の賠償を確実にするためにはどうすべきかの問題として、加害者が無資力であったり無能力の場合に、被害者の保護をどうするかについても考慮が払われねばなりません。この点については、現行民法の下においても、使用者の責任、責任無能力者の監督者の責任の現定があり、これを拡張して被害者保護を図ることもできるわけですが、加害者側が無資力の場合には現行法制上ではどうにもなしがたいものがあります。そこで、かつては賠償基金の制度を提唱したのですが、理論上はともかく実施困難なものと批判されていました。それは貧困が犯罪や不法行為の重要な原因になっている実情から実施困難だということでした。支払方法を考慮する手段も考えられ、一時に全額というのが建前ですが、分割払いや月賦払いなどを考慮することもできます。しかし、損害賠償の確実化の問題は,国家補償や責任保険などの方法によって解決されねばならなくなるのであり、前述の国家賠償法や、労災保険、自動車保険の制度はこの立場から立法化された制度でもあります。被害者に正当な賠償額を確実に保障するために、損害額の算定や立証の容易化をはかることが考慮されなげればなりません。恣意的な認定や不利な示談に応じなければならい無知未経験で窮迫な被害者保護のためにも必要なことだといえます。
実際間題として不法行為による損害の算定は、非常に難しく、人身事故、特に生命侵害の場合の損害の算定は、逸失利益をいかにして算出するかが問題となり、理論的にも実際的にも一定せず、争いを長びかせる結果になっています。そこで貧困にあえぐ被害者やその遺族が、示談屋の仲介に応じてしまい、正当な損害賠償金をとれないという結果が生じてしまいます。それゆえに損害額の算定の基準化ということが、複害者保護と正当な賠償額の確保という立場から要請されるのです。判例上の諸事例を整理して、賠償額の算定基準を明確化することが、恣意的認定が行われることを押え、迅速で妥当な訴訟の遂行を促すことになるといえます。

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