損害賠償と保険制度

資本制経済の発達に伴い、不法行為によって生じる損害賠償は、巨額に達し、個人や中小企業にとっては支払不能となることが多くなっています。あらかじめ不法行為を予定して個人的に支払準備をすることは、実際問題としてできないことです。ここに責任保険の制度の必要性があるのであって、少額の保険料を経常費的に積立てて、予想できない災害や思わぬ不法行為による多額の損害賠償を担ってもらい、危険を分散化し、損害賠償を社会的なものに高めるという機能を果たしています。この責任保険制度は、加害者の負担や犠牲は少なくなり、損害賠償の制裁的意味は薄くなります。しかし、巨額な損害賠償でも確実な支払を期待することができるために、被害者保護という点では望ましいところであり、危険を伴う企業に保険加入を強制し、しかもその支払いを直接被害者になすということにすれば、被害者保護は全うされることとなります。現行の責任保険制度としては、強制保検としては労災保険と自動車保検が主なものですが、任意保険としては、様々な型のものがあります。労災保険は、国が保険者になり、工業、鉱業、運送業、土建業など常時労働者を使用する企業に強制的に適用され、事業者が加入者となります。保険給付は労働基準法の災害補償と一致し、受給者は労働者本人または遺族です。自動車保険は自動車の運行による人身事故の損害賠償について、強制的に責任保険がつけられるもので、この保険に加入しない者は自動車の運行はできないことになっています。保険者は保険会社です。ただし営利は認めていません。

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