金銭賠償と原状回復

過失責任を建前とする現行の民事責任としての損害賠償は、加害者よって受けた被害者の損害の回復、補填をはかることが内容であるために、発生した損害を、加害者が誰であるかを追及して、その者に回復、補填の義務を負わすことになるのが本来のあるべき姿であす。しかし、前項で述べたような資本制社会の発展にともなう不法行為の量、質にわたる拡大と、損害の多様性は、損害賠償のあり方を大きく反省させることになります。つまり発生した損害を単に形式的な量をもって賠償の対象にしてよいかどうか、いつも直接の加害者に損害の回復、補填の義務を負わせるだけでよいかどうか、さらには、損害の回復、補填の方法およびその確実性の確保、不法行為の差止め、予防手段についての検討があります。民事責任としての損害賠償の本来のものは、発生した損害の填補にあるために、原状回復が理想です。立法例には原状回復を原則とするものが多くなっています。現行制度では、原状回復を認めるものもありますが、金銭賠償が建前です。実際間題として、全て原状回復ということは不可能だといえますが、示談や和解の方法によってある程度の原状回復に近い線が実現されるはずであり、金銭賠償においても、できるだけ原状回復に近い結果になるよう解釈上、立法上の考慮が望まれています。

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