不法行為責任と債務不履行責任

不法行為は、債務不履行と同じく違法な行為です。債務不履行も債務者が債権を侵害する行為であるとみることができるので、権利侵害という見地からすれば、不法行為と本質的に異なるものがありません。しかし、債務不復行は法律の規定又は契約のうえで権利者と義務者とが相対応じ、義務者がその予定された義務に違反することによって、権利者の予定された利益を侵害することであるのに対して、不法行為はこのような特別関係、契約的関係の有無にかかわらず権利者の利益を侵害すること、加害行為である点において異なります。もっとも債務不履行が同時に債権者に対する不法行為の要件を備えることもあって、このような場合にはもっぱら債務不履行として処埋すべきか、不法行為の責任も生じるものとして処理すべきかが問題となり、実際上も重要な差異が生じることにもなります。例えば、借家人が失火によって借家を焼失した場合のように、借家人として負担する債務の不複行と、他人の所有権を侵害したという不法行為の要素が含まれる場合に、不法行為が成立するかどうかが問題となります。学説には債権関係が特殊な関係であることを理由として不法行為の成立を否定する立場もありますが、債務不履行と不法行為の競合的成立を認める説が妥当です。失火の責任については、失火の責任に関する法律があり、重過失のときだけ不法行為責任を負います。

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