民事責任と刑事責任

他人の権利や利益を侵害するという違法、不法な行為が行われた場合に、その損害を賠償しなければならない私法上の責任を民事責任といいます。刑法上の刑罰を受けるという刑事責任に対するものであり、通常は上述のような不法行為による損害賠償責任のことをいいますが、広義では債務不履行の場合も含めて、損害賠償が生じる私法上の責任を総称して民事責任といいます。

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不法行為および債務不履行は共に不法、違法な行為であり、これに対して損害貼償をしなければならないと同時に犯罪として刑罰の対象となることが多くなります。例えば詐欺によって他人の財物を騙し取ったり、自動車の居眠り運転で人を殺傷したような場合です。この場合に近代法は、民事責任と刑事責任をはっきり区別する建前をとっており、損害賠償と刑罰とは全然別々の制度としています。したがって、前例の場合に損害賠償を支払っても刑罰を免れられずに、処罰されても損害賠償を免れることはできないのです。
犯罪における刑事責任は、法律が社会的価値のあるものとした法益を侵害して、社会の秩序を乱したことによる社会的責任が問われるのに対して、不法な行為による民事責任は、法の保護する個人の利益を侵害したことによる対個人的責任が問われるのです。犯罪及びこれに対する刑罰が公法的制度であるのに対して、不法な行為及びこれに対する損害賠償は私法的制度だということになります。したがって前例の詐欺行為のように両責任が生じる場合でも両者の間には原理的な区別がなされ、別異に考えなければなりません。つまり犯罪の場合には、必ずしも実害の発生を問題にしないこともありますが、不法行為の場合には必ず損害の発生ということを要件とし、また、刑事責任においては行為者の主観的心理状態が重視され、犯罪の成立には原則とし故意を必要とし、過失犯が処罰されるのは例外とされるのに対して、民事責任たる不法行為においては、客観的実害の発生を重視し、行為者の主観的心理は二次的に考え、故意と過失とを同列に扱い、その責任の発生要件としています。近年では、民事責任の客観化の傾向にあり、無過失責任の理論が登場するにおよんで、公害の救済などは全く主観的な故意、過失を顧みずに民事責任を定めようとする傾向がみられます。

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