配当異議訴訟

A、B、C三有権者間の配当手続きにおいて、AがBの債権を争い、配当異議の訴えにおいてA勝訴の判決がなされる場合、Cに対する配当額に影響が及ぶことになるのでしょうか。この場合はA勝訴の判決の効力はA、B間にのみ生じ、Cに対する配当額には影響を及ぼさないとするのが判例、通説ですが、異説がないわけではありません。強制執行の配当手続において債権者が他の債権者の配当表に従った配当受領を阻止するためには、配当期日に異議を述べその債権者が異議を正当と認めまたは和解などで合意しないときは、配当異議の訴えを提起しなければなりません。この訴えにおいて請求の全部または一部について理由がある場合には、裁判所は、終局判決をもって配当額の係争部分をいかなる債権者にいかなる数額を支払うべきかを定めます。もしこれを定めることを他の異議訴訟との関係などから適当としないときは、新たな配当表の調整および他の配当手続を命じる配当異議の訴えの性質については、これを破産債権確定の訴えと同様配当期日における自己の異議の主張の当否、また配当額の確定を求める確認の訴えとする説、債権者がその有する実体上の権利にもとづいて配当表の変更を求めあるいはいかなる債権者に売得金のいかなる数額を交付すべきかを定めることを求める手続上の形成の訴えとする説、実体的配当請求権の確認は同時に配当表のそれに対応する変更という形成効をともなうとする救済訴訟説などがあり、確認訴訟説においては、配当表の取消や変更を命じることは判決の必要的構成部分をなすものではなく、同条の規定もこのような命令を判決の付随的処分となす可能性を与えたにとどまるとみるべきであるとするが、判例、通説である形成訴訟説においては配当表に表示する裁判の廃棄をなすことは異議の訴えを是認した判決の必要な内容であるとするのです。

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設問の場合には、AのBに対する配当異議訴訟が係属しているだけであるため、請求の全部または一部について理由がある以上、裁判所は終局判決において配当額の係争部分を具体的に定めなければなりません。この判決の効力は、破産債権確定訴訟の判決とは異なり異議訴訟の当事者間にのみ生じ他の債権者や債務者には及びません。ところが、強制執行法は金銭執行において平等主義をとっているため、配当額の係争部分を定めるにあたりこの異議の請求認容判決の相対的な効力との間に不調和が生じ、そのいずれにどの程度の重点を置いて基準とするのが適当かをめぐって判例、学説上に争いがあるのです。
最判昭和四○年四月三○日は、異議の請求認容判決が相対的な効力しか有しないことを純粋に貫徹し、異議申立をしない他の債権者の債権は斟酌されない結果、原告の有する債権額の限度において、係争の配当部分を原告に配当し、残余があればこれを債務者に返還すべぎものと判示します。説明を簡明にするため設問における各債権者の届出債権額をA100万円、B200万円、C300万円として配当財産の総額を300万円とすると、判例の立場では、裁判所は、配当表のうちAに対する配当額50万円とあるのを100万円に変更し、Bに対する配当額100万円とあるのを取消すとともに債務者Dに50万円を交付することを定めるわけです。しかし、判例によれば、AははじめからBを除外して配当手続がなされた場合に受けるべき配当額75万円をこえて配当をうけるという不合理な結果を生じます。ただ判例の立場では、この一見不合理ともいうべき結果は、権利を行使したAに対する報酬でありその反面としてCの配当額が相対的に滅少するのはCが異議申立および異議訴訟をなしうる地位にあるのにその権利を行使しないことにもとづくものでやむをえないことと解すのです。しかし、配当手続に参加した債権者間では互に取引関係がないのが普通であるため、債権者が他の債権者の債権に瑕疵があり、あるいはそれが存在しないことを知ることができないのが通常であって、判例によるときは債権の瑕疵や不存在を知っている者のみがそのことを知らない他の債権者の犠牲において抜けがけ的利益を得る結果になり、このことは平等主義をとった強制執行法のたてまえに反するとする批判は傾聴に値していると思われます。

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