競売手続における配当要求

競売法による競売手続において、一般債権者の配当要求は許されるでしょうか。この場合、いわゆる形式的競売事件を除き、執行正本によらないものも含めて配当要求は許されると解されます。任意競売につき、競売法に特別の規定がないかぎり、原則として民訴法を準用すぺきであるところ、配当要求の規定も準用されるかが問題となります。学説上実務上多くの変遷をたどりながら、実務の取扱いはなお流動的であり確立されていません。基本的には執行正本によらない配当要求を認めるかどうかが問題となります。

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競売法は、競落代価から競売費用を控除した残金を遅滞なく受取るべき者に交付することを要す。と定めるのみで、配当に関する規定を全然置いていないため、任意競売には配当手続の観念を容れる奈地がないとする考え方が従前でした。しかし、配当手続と称するかどうかは別にして、競売法が配当手続を予定していることは明らかです。民訴法同様競売法二条二項は先取特権、抵当権について削除主義を採り、また二七条二項、四項は利害関係人およびこれに対する通知を定めています。したがって、目的不動産につき登記のある優先権を有する者、および登記がなくても優先権がある旨申出これを証明した者があるときは、配当要求がなくても当然配当手続が必要となります。他方、任意競売に民訴法六四五条一項、二項が準用されるか従前争いがありましたが、判例は、まず、任意競売不動産に任意競売の申立てがあった場合に準用あるとし、次に、任意競売不動産に強制競売の申立てがあった場合にも準用するとし、最後に、強制競売の対象とされている不動産につき任意競売の申立てがあった場合にも同様であるとした現在では結局任意競売に関しても記録添付とこれにともなう配当要求の効力を全面的に準用ないし適用するのが確立した実務であり、通説であるといえます。したがって、記録添付があったときも配当手続が必要となります。
さらに、競売債権者に対抗できる仮差押権者の債権も、配当要求をまたず、配当をうけとるとされるので配当手続きが必要になります。したがって、任意競売においても配当手続があり、配当表が作成された場合には、配当異譲訴訟も認められ債務者または所有者もまた配当異議申立てができるとされます。
執行正本によらない配当要求は認められませんが、執行正本による配当要求は認めるとするのが実務の大勢とうかがわれ、強制競売の記録添付がある場合および競売申立て権者等に劣後する仮差押権者の取扱いなどが問題となります。これらの問題に対する実務の取扱いは定かではありませんが、一般的と推測される取扱いないしは前述の取扱いに照らしてかく取扱うべきであろうという趣旨で略述します。
執行正本による配当要求は判例はこれを認めています。強制競売申立てにもとづく記録添付により配当要求の効力を得られるため、認める必要がないとの考え方ないし取扱いもありますが、逆に、配当加入するためにのみ必ず強制競売申立てを要するとするのもあまりに迂遠ないし技巧的といえます。
すでに強制競売の申立事件が記録添付されている場合および執行正本による配当要求がなされている場合の執行正本によらない配当要求は両者ともに認めるのが実務の大勢とうかがわれるか定かではありません。前者の場合記録添付された強制競売事件に配当要求をさせ、後者は認めない取扱いもあるようです。立法論的にはともかく、現行法の採る徹底した平等主義のたてまえ上、両者ともに認めるべきです。
任意競売申立て前に仮差押した者がある場合の執行正本によらない配当要求は認めるべきです。抵当権設定の前後を問わず、競売開始前の仮差押に配当要求の効力があることは前記のとおりであり、民訴法六九七条、六三○条三項が準用されることは確立した取扱いです。したがって、この場合にも平等主義のたてまえ上認めるべぎです。
競売開始後の仮差押権者の配当要求は認めないのが実務の大勢と窺われますが、認めるべきです。執行力ある正本による配当要求を認めるぺきことは前記のとおりですが、競売開始後の債務名義であってもさしつかえないことは当然であり、実務も同様に扱っています。また、競売開始前の仮差押は当然配当要求の効力が認められることも前記のとおりですが、抵当権設定後の仮差押であってもさしつかえないとされます。これらの取扱いとの均衡および元来仮差押命令は執行力のある債務名義であることを考えあわせると、認めるべきです。
任意鏡売について、当初の実務、学説は、一般債権者の配当要求は全然認めず、強制競売の申立てがあった場合は却下すべきであり、一般債権者は剰余金に対して強制執行をするべきであるとしていました。その当否はともかく、この考え方は一貫しています。しかし、判例、実務が強制競売の記録添付およびこれとの均衡上執行力ある正本による配当要求を認めて以来、徹底した平等主義を採る民訴法との均衝点をどこに見い出すかに苦慮することとなりましたが、検討したとおり、ついに民訴法との限界線は明らかでなく、最近の学説、論稿の多くは、任意競売においても執行正本によらない配当要求も認めるべぎであるとしています。実務が執行正本によらない配当要求を原則的に認めない実際上の理由は、配当異議等の多発による手続の煩雑遅延化等を危惧するためとうかがわれるところ、そもそも民訴法がこのような配当要求を認めた当否に相当の疑問があることに照らし、実務を一概に不当とはいいきれませんが、どこかで必ず不均衡破綻が生じてしまうので解釈論としては無理というほかありません。加えて、配当要求を認めない場合には、余剰金交付請求権の差押ないし仮差押あるいは配当をうけた者に対する不当利得返還請求訴訟等々の問題が依然として残るために、むしろ、すべての配当要求を認めるほうが、法が配当手続によって競合する多数債権者の分配問題を一挙に解決しようとした精神に通うと考えられます。

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