売掛代金債権の担保化

継続的取引から生じる売掛代金債権を担保の目的として、売掛代金債権を個々的に担保の目的とする場合、同一の債務者に対する継続的取引から生じる売掛代金債権を日々の取引によって増減する状態において、一括してあらかじめ担保の目的とする場合、多数の債務者に対する継続的取引から生じる売掛代金帳簿記載の債権群を日々の取引によって増減する状態において、一括して予め担保の目的とする場合があります。

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売掛代金債権を個々的に担保の目的とする場合、売掛代金債権を個々的に質入れすることはもとより可能です。同一の債務者に対する継続的取引から生じる売掛代金債権を日々の取引によって増減する状態の場合、質権設定の要物性、対抗要件の点において間題がありますが、この場合の質権設定の可能性を肯定してよいのではないかと思われます。この場合の対抗要件の具備については、債務者に対し予め通知するかその承諾をえることは、多数の債権者に対する継続的取引から生じる売掛代金帳簿記載の債権の場合に比して実際上可能な場合があります。一般に債権譲渡の対抗要件としての通知は、譲渡したという事実の通知でなければならないから譲渡する前に予め通知しても対抗要件を具えたといえないといわれていますが、同一の債務者に対する継続的取引から生じる場合の売掛代金債権にあっては、営業の継続によって将来新たな債権の発生すぺきことが当然見込まれている以上予めの通知をもって対抗力をもつと解することができ、対抗要件は、もっぱら債務者を保護するものであるために、債務者の予めなす承諾も対抗力をもつと解すべきであり、前記のとおり債務者に対し予め通知するかその承諾を得ることによって質入れの対抗要件の具備も可能であると思われます。したがって、同一の債務者に対する継続的取引から生じる売掛代金債権の場合の質入れは可能であると思われます。多数の債務者に対する継続的取引から生じる売掛代金帳簿記載の債権の場合、営業の経営に従って変動する個々的には少額の多数債務者に対し通知しまたは承諾を求めることは実際上不可能に近いために、これを質入れすることは対抗要件を具備させる方法において実際上不可能に近く、質入れでは目的を達しえません。売掛代金債権を個々的に担保の目的とする場合の場合、通常の全銭債権を個々的に担保化するのと同一であるから換価方法さえ必ずしも煩瑣といえない債権質をさけてこれを譲渡担保となすべき必要と合理的根拠は見出せません。したがって、実際上譲渡担保の目的とされても、譲渡担保としての効力を認める必要はなく、質として扱い、優先弁済を受ける方法、第三考に対する効力については、質権と同一に解すべきで特に多数の債務者に対する継続的取引から生じる売掛代金帳簿記載の場合には、前記のとおり債権質の規定目的を達しえないのですが、この売掛代金債権群は、取引通念上、ある程度まで一個の独立した存在と価値とが認められるから、これを一括して譲渡担保の目的とすることが認められるべきです。しかし譲渡担保設定にしても、その対抗要件は債権譲渡の対抗要件を要求されるために、結局質入れの場合と同様のことを必要とし、対抗要件を実際上具備することは不可能に近く、この譲渡担保設定につき個々の債権についての個別的な対抗要件を不要とする制度の創設がのぞまれていますが、現在対抗要件を不要とするほどの慣行が確立しているわけではないので、対抗要件を欠くままで出来るだけの効力を認める他はありません。ただこの債権群のうちの主要な大口のものについて予め債務者に通知するかまたはその承諾を得ることができれば、この場合の通知、承諾には前記のとおり対抗力をもつと解することができるので、その債権については対抗力を生じると解してかまわず、一部主要なものだけが対抗力をもつ状態となっても格別不都合なこともありません。
対抗要件を具備しない普通の場合には、第三者に対抗しえないために第三債務者が譲渡担保設定者に弁済することを阻止しえず、設定者は自己の名で取立てその代金を経営のために利用しえます。企業の経営を継続することを前提としているとみられるからです。もっとも、主要な大口債権について予め対抗要件を具える場合には取立を制限することになります。被担保債権が遅滞となり、譲渡担保権者が優先弁済を受けうるようになったときは、担保権者は取立権を取得し、譲渡担保権にもとづいて現に存在する債権を差押えることもできると解されますが、その場合には債権群を一括して差押えることはでぎず、個々の債権についてなすべきです。売掛金台帳を譲渡担保に供する形で多数の顧客に対する多数の売掛代金債権を一括譲渡担保に供することも行なわれます。この場合でもやはり譲渡担保設定の対抗要件は具備されませんが、事実上債務者は譲渡担保権者になんら意義なく支払い、譲渡担保設定者は台帳が手許にないため売掛金の取立がでぎないという事情があるときは、法的な対抗力はないにもかかわらず、この形式の譲渡担保は事実上その効果を十分発揮していることになります。
譲渡担保と併用して代理受領や振込指定が利用されるほか債権の特定性や債権額の特定性に疑問のある場合には、譲渡担保とは全く別個に代理受領や振込指定を利用することによって担保の目的を達成することができます。

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