公社債の担保化

国債と地方債のことを公債といいますが、国債と地方債では担保にする方法が多少相違しています。国債には、記名式と無記名式とがありますが、特別の場合を除き、原則として無記名となっています。そしてその他に登録国債があります。登録国債でない無記名国債は、民法の規定によって動産とみなされているので、商品や貴金属と同じ手続によって担保とすることが可能なのです。つまり質権を設定する場合には、質権設定契約を締結し、要物契約としてその国債の証券の引渡を受けることによって、質権が有効に成立し、その占有の継続が必要になるのです。それを譲渡担保とする場合には、担保権の成立要件ではありませんが、質権と同様に国債の現物の引渡を受けなければ、現実には担保目的は達せられません。ただ、通常の動産との相違は、この国債には利札の付いたものがあるので、その利札に対する担保の取扱いをどうするか決める必要が生じます。法的には当然その利札に対しても担保権の効力は及ぶことになりますが、現実にはそれが利付の国債である場合には、その利札の取扱いについてその設定契約で明らかにしているのが普通です。

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利礼の取扱いについての特約としては、その都度元本の内入に充当したり、利息の支払いに充当する特約もありますが、一般にはそれはその都度担保権者において取り立て、担保差入人に返還しているのが普通です。銀行が担保権者である場合には、その都度取立て、設定者の預金口座に入金しています。それは、その利札の金額が利息の金額と一致することなく、計算が面倒であることと、元本の内入には少額であることが多いからです。
登録国債とは、国債の発行にあたり債券証券の発行を行なわず、単に日本銀行において応募者の氏名等を登録簿に登録するという方法により発行する国債のことです。この登録国債についても、質権設定方式と譲渡担保方式とがありますが、譲渡担保の場合にはその契約とともに、権利移転の登録をすることになる。質権設定の場合には、当事者において連名にて日本銀行へ質権設定登録請求書を提出して、質権の登録をしてもらうことによって行われています。これらの登録はすべて対抗要件と解されています。この場合に、利札のある利付国際であるときには、その登録に際し、その利子を設定者が受領するか、質権者が受領するか、明らかにしておかなければならないことになっています。なお、登録した国債に対しては、日本銀行は登録済通知書、または登録国債質権登録済通知を発行することになっていますが、これは債権証書ではないから、質権の成立要件としての交付を要するものではありません。そこで、譲渡担保の一形式として、担保権者が設定者から登録済通知書とその国債登録変更請求書の提出を受け、単にそれを保管するだけで担保目的に利用している場合も相当にあります。
同じ公債でも地方債はむしろ社債に準じて取り扱われています。社債には、次の各種のものがあります。債券を発行するものと権利内容を原簿に登録しそれを発行しないもの、記名式と無記名式のもの、担保付の社債と無担保の社債、株式への転換を認めた転換社債とそれを認めないもの、利礼のつく利付のものと割引債であるもの。しかし、一般には、無記名のもので利札付であるか割引債であるのが普通です。無記名の債券である場合には、それは民法上動産とみなされるので、国際の場合と同じ取扱いがなされることになります。記名式債券の場合には、それが社債券の発行されているときには、その社債権者の氏名・住所が社債原簿に記載され、債券面にその氏名が記載されているのであるからその社債に質権を設定する場合には、設定契約とともに債券の引渡を受けるとともに、対抗要件として質権の設定されたことを社債原簿に登録することが必要です。この手続は、質権者と質権設定者の連名によって発行会社に届け出ることによって行ないます。この場合には指名債権者と異なり、その届出についての確定日付が対抗要件となっていません。なお担保付社債のようにその発行について受託会社のある場合には、その受託会社に対して質権の登録をすることになります。記名社債の質権には、株式のような略式質の方式は認められていません。そこで譲渡担保や、略式形式で、会社に対しては名義書換や質権登録の手続をとらない担保形式によるときは、名義書換に必要な請求書、質権登録請求や委任状などとともに、その社債券の引渡を受けておく以外にありません。なお、名義書換までする譲渡担保であれば、通常の債券の譲渡方式により、社債原簿に名義変更の手続をとっておくことになります。登録社債に質権を設定する場合は、その設定契約とともに、社債登録済証の交付を受け、質権登録請求書に質権者と社債権者が連署し、質権者の印鑑届二通を添付して、登録機関に質権の登録をしてもらうことになります。それを譲渡担保にする場合には、譲渡担保設定契約とともに社債登録済証の交付を受け、移転登録申請書により、社債権者の名義を変更しておかなければなりません。この場合の登録済証は一種の債権証書となるので、その質権設定には、その証書の交付が要物契約として必要だとされているので注意が必要です。

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