株式の担保化

株式にも様々な種類のものがあり、その種類により担保のとり方も変ってきます。それが無記名株式であれば、法律上それは動産とみなされているので、動産として担保にとる以外にないことになります。ただし、現在日本では無記名株式はほとんど発行されていないので、これを担保にとることはまずありません。記名式株式においても、上場された会社の林株式と非上場会社の株式とがあります。ただ、それが上場されているか否かにかかわらず、担保のとり方は同じですが、非上場の会社の発行する株式には、譲渡について制限のある株式があるので、そのような株式の担保取得については特別の注意が必要になります。また、株式を担保とする場合には、独占禁止法や商法でその担保取得について一定の規制があるために、その点も注意することが必要です。次に、それらの株式を担保に取得する方法として、略式質、登録質、譲渡担保方式あるいは単に預り担保的効果のみを狙った方法などがあります。そこで、担保とする株式の種類により、当事者でどの方式によって担保にするか、その方法を選択して担保とすることになるのです。

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担保権は、前述のとおり大体略式質、登録質、譲渡担保および預り担保の四つに分けることができますが、それぞれその担保取得方法が異ると、その効果にも相違があります。
略式質というのは、債権者が担保株券を占有するだけで、株式の発行会社に対して何らの手続をするものでないので、発行会社との関係は直接には生じません。ただ質権の効力として、株式の消却や併合、分割、転換、買取り、新株の無償交付などによって株式や金銭が、その株主に交付されるようになった場合には、その交付される株式や金銭を受領する権利は認められますが、その場合でも質権者は会社に対しその権利を物上代位の手続により差し押える必要があるとされています。それに対して、質権を設定したことを発行会社に知らせ、それを会社に登録しておく登録質の場合には、会社が質権者を知っているので、物上代位によって前述の株式や金銭を受取ることが出来るとともに、質権者は会社に対しその担保株式についての利益や利息の配当や解散の場合の残余財産の分配金、株式配当の株式、端株の代金についても直接それを請求することが認められるのです。
譲渡担保にも、会社に対し名義変更の手続をとるものと、単にその株券を債権者が占有するに止めるものと二通りあります。一般には名義変更の手続までとる例は少ないようです。名義書替の手続をとっておけば、その担保権者は担保の目的の範囲内で株主としての一切の権利行使が認められるのに対し、その手続がとられていない場合は、会社に対してその権利を対抗することができないので、実質的にはその株式を処分することにより、債権の回収がでぎるだけの効果しか生じません。しかし、一般の場合には特別の事情のない限りそれで十分担保目的が達せられるので、この方式によっているのである。
預り担保とは担保の目的となる株式について担保権の設定契約をせず、単に債権者が担保の目的とする株券を預り、その持主から万一私の負担する債務について債務不履行が生じた場合には、私に代わりこの株券を売却し、その売却代金を債務の弁済に充当しても異議ありません。といった一種の委任契約による処分承諾書をとっておく方法です。この方式によっても、被担保債権の完済前は本人から返還請求は認められず、他の債権者からの差押もこれを拒否することができるので、結果的にはこの方式によっても十分担保の目的は達することができます。ただ、国税徴収法の滞納処分による差押えや、委任契約の解除の認められる場合、株主が法定整理などに入った場合には、その担保的機能が認められない欠点があります。そのために、この方式による担保は、株式の発行会社が自己の発行株式を担保にとる場合など、担保取得が規制されている場合にのみ利用されているようです。ただ、学説にはこれを認めるものもあるが、この方式については自己株取得禁止の規定の脱法行為としてその効力を否定する判例があり、その点を留意すべきです。
担保権設定の方法としては、目的株式によって、次のいずれかの方式によることになります。
通常の株式担保、記名式株式を担保とする場合は、通常は略式質方式か譲渡担保方式によるのが普通です。この二つの方式は、担保権設定契約を締結して、目的株券の交付を受けることによって行なわれます。その場合対抗要件としてその株券の占有の継続を要するか否かの相違はありますが、実質的には担保権者がその株券を占有していないと目的を達せられないので、実務的には問題はありません。そのほか、質権か譲渡担保かによって、担保権の効力に多少の相違はありますが、実質的には譲渡担保の場合には有価証券取引税の対象となるのに対して、質権の場合にはその処分は競売等の手続によらなければならないという相違点が問題になります。その点、単に担保に差し入れるとのみ契約されて、質権か譲渡担保か明らかになっていない担保権設定契約の場合、その契約をどのように解すべきかについては、原則として質権とみるべきだとする説と、譲渡とみるべきだとする説が対立しているというのが現状であるといわれています。
特に強い株式担保、株式の担保で、特にその株式について強い担保権を取得しようとする場合は、登録質の方式によるか、株式の名義を担保権者名義に変更する譲渡担保方式によることになります。登録質の場合には、担保差入契約とともに、発行会社に対し株主から株式質登録請求書を提出させ、質権者の印鑑票、株式を添えて登録してもらうことにより行ないます。
自己株式担保、自己株式の担保は、その方式のいかんを問わず商法の自己株取得禁止の規定の脱法行為として否定されていますが、一般には処分承諾書を添付して株式を預る方式によって行なわれています。ただし、その場合でその返還請求権の行使を禁止したり、通知を要せず処分しうる特約はしないほうが安全です。
譲渡制限株式担保、非上場の株式については、その定款において株式の譲渡について取締役会の承認を要する株式があります。このような株式については、譲渡担保形式により担保にとる場合には取締役会の承認が必要になるのに対し、略式質であれば取締役会の承諾は要しません。しかし、その場合でもその担保権を実行するには、譲渡行為が必要になるので、その時取締役会の承認が必要になります。そのためには担保権取得の際あらかじめ承諾を取っておく方法もあります。
不所持株式担保、株式のうちには、その株券を発行していない株式とか、株券を会社から銀行か信託会社に委託しており、株主がその株式を所持していない場合があります。このような株式を担保にとる場合には、株式の担保はそれが質権であっても譲渡担保であっても、株券の交付が要件になるために、その返還を受けてからでないと担保にすることはできません。たとえ会社からの預り証の交付を受けても、それは返還請求権の債権証書であって株券ではないために、担保権は成立しません。

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