担保に入れた定期預金証書の書換

定期預金証書の書換えとは、定期預金の支払期日が到来した場合に、その元金の全部または一部を引き続き定期預金とすることをいいます。これには、利息の全部または一部を元本に組み入れて継続する場合、元本だけを継続する場合、元本の一部を継続する場合などがありますが、いずれにしても従前の預金の元金を引き続き定期預金とするものであることを要するので、現実に払戻しを受けたうえで預入れをする行為は書換えではありません。銀行に定期預金をした場合、預金者はその満期に元本および所定の利率による利息の払戻しを受寄者である銀行に対して請求することができますが、満期の翌日以隆に定期預金の払戻しをしたときは、その間の利息は普通預金の利率によることになります。定期預金担保貸付の場合、その貸付金が弁済等によって消滅しない限り、担保の目的となっている定期預金の満期が到来していても、貸主である銀行としては通常預金者からの払戻請求に応じる義務はありません。しかし、借主である預金者にとっては、満期の翌日以降の利息が定期預金の利率より低率となるという不利益を受けるので、定期預金の満期が貸付金の履行期前に定められていたり、あるいは期限に債務の弁済ができず履行期を延期する場合には、定期預金証書の書換えを行なうのが通例です。

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定期預金証書の書換えを行なった場合、法律的には従前の定期預金が消滅し、あらたに別個の定期預金が成立すると解すべきか、それとも定期預金の同一性が維持されると解すべきかについては、一般的にはいずれの解釈をとっても実質的な差異を生じませんが、定期預金を担保として貸付を行なった場合には、いずれの解釈をとるかによってその担保権が消滅するか存続するかという差異を生じます。
取引の実情からすると自動継続定期預金であるか否かにかかわらず、当事者間で継続の合意が存するかぎり、新旧両定期預金に同一性があるものとして扱われるのが通例であり、学説でも一般にこれを認めています。下級審判例の中には、同一性を認めたものとこれを否定したものとがありますが、昭和40年10月7日の最高裁判決は、預金名義が預金者の仮名であったのを預金者の氏名に改め、既経過分の利息を銀行が任意に支払った事案について、同一性を肯定しています。
昭和40年最高裁判決では、定期預金証書の書換えに際して新たに質権設定の手続をとらなくとも、当初設定された質権の効力が当然に書換え後の新定期預金に及ぶものとしていますが、その根拠については明確な説明がありません。これをどのように解するかについては、書換を当初の定期預金の預入期間延長の合意にすぎないとする考え方と、これを準消費寄託とみて、新定期預金は旧定期預金の払戻請求権を目的として締結された新たな準消費寄託による債権であると解する考え方とがありますが、前者の考え方は、預金契約が附従契約であることに鑑み妥当とはいえず、通説は後者の考え方に立っています。準消費貸借における新旧債務の同一性については、判例は当初これを否定するものが多かったのですが、その後見解を改め、同一性はもっぱら当事者の意思によって決せられますが、当事者の意思が明らかでないときは同一性があるものと推定しています。学説もほぼ同様な推移を示しているが、近年はこの通説に対して金銭の消費寄託の場合、法律上は金銭の所有権が受寄者に移転するので、定期預金についてば書換えという手続をとらざるをえず、実質的にはもともと一つの同じ消費寄託であるとする経済的実質を重視した構成をすべきであるとする説も有力です。
実務上の留意事項は担保に差し入れた定期預金証書の書換えに関し、実務上問題となるのは同一性を否定すべき特別の事情が認められることがあるかどうかということになります。
第一は預金名義人の変更です。この点については、書換えに際して預金証書の名義が代っても、当初の預金者が真の預金者であれば、新旧預金の同一性には影響がないとみることができます。第二は、預金証書が併合、分割、滅額または利息元加されたり、期間、利率の変更があった場合です。この場合も前回の定期預金が弁済されたのではなく、ただ預金の形態が変っただけのときには、同一性には関係はないとみてかまいません。第三は、定期預金を普通預金や当座預金などに書換えた場合です。この場合には同一性を失い、質権の効力は及ばないものと解すべきです。また旧定期預金に現金または担保の目的となっていない別口の預金を加えて増額書換えをした場合も同一性は失われると解されます。第四は、書換えに際して既経過分の利息の支払をした点ですが、この点も債権の同一性と無関係といえます。第五は、預金証書の占有を喪失した場合に、質権が消滅するかどうかという点です。指名債権質の要物性を厳格に解する必要はありませんが、質権者がその占有する預金証書を質権設定者の申出により一時返還する場合でも、後で質権を放棄したという主張がなされるおそれがあるために、質権を放棄したものでないことを書面によって明確にしておく必要があります。

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