債権担保の方法

債権を正式に担保にとる方法は、質権または譲渡担保です。つまり債権は、それが有価証券に化体されている場合はもちろん、通常の指名債権でも原則として譲渡性がありますが、質権および譲渡担保権は、譲渡性のある財産権であればいかなる物でもその対象とすることができるからです。、譲渡性のある債権であるかぎり、すでに発生しているもののみならず、将束の債権であってもそれが特定できるものであれば、正式担保にとることができます。さらに、債権者自らが債務者となっているような債権であってもかまいません。

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債権にも例外的に譲渡性のないものがあり、その場合は正式担保にとることができず、取立または弁済充当の委任を受けたり、相殺に期待したりする事実上の担保措置を講じるほかはなく、そのような措置として代理受領や振込指定があります。そのような譲渡牲のない債権としては、次のようなものがあります。
債権の性質上譲渡性がない場合、これには、債権者を異にすることによってその給付内容が全く変更する債権、特定の債権者に給付することに重要な意義がある債権、賃借人の債権、特定の者との間で決済させることを目的とする債権があります。
政策上の理由から法律上譲渡が禁じられている債権、これには、扶養請求権、災害補償を受ける権利、社会保検の給付を受ける権利、国民年金請求権、郵便年金請求権、当事者が譲渡禁止の意思表示をした債権。
以上のうち債権の性質上譲渡性がない場合と政策上の理由から法律上譲渡が禁じられている債権の債権は、正式担保にとることができず、正式担保の契約をしても原則として無効になります。当事者が譲渡禁止の意思表示をした債権の場合については、譲渡禁止の特約は当事者間の効果にとどまり、譲渡、質入れそのものは有効ですが、第三債務者に対して対抗できないにすぎないのか、あるいは、譲渡禁止の特約は債権の譲渡性を絶対的に奪うものであって、これに反してなされた譲渡、質入れは無効であると解すべきかの点が問題となりますが、通説、判例では、後者の考え方をとっています。もっとも譲渡禁止の特約といっても、債権の譲渡性そのものは奪うことなく、ただ譲受人の適格性について債務者の承諾を必要とするにすぎない趣旨のものもあり、その場合は、譲渡、質入れも有効であり、ただ譲渡人、質権者は第三債務者の承諾がないかぎり、債権の譲受け、質受けをもって第三債務者に対抗できないにすぎないことになります。譲渡禁止の趣旨がこのいずれの趣旨であるかは、具体的事案に即して当事者の意思解釈によるほかはありませんが、近年の判例によると、預託金会員組織のゴルフ会員権は、後者の例と解されています。譲渡禁止の意思表示は、善意の第三者には対抗できず、したがって譲受人または質権者が譲渡禁止を知らなかった場合は、譲渡、質入れは有効です。法文上では、第三者が善意であればよく、無過失は要求されていませんが、近年の判例は重過失がある場合も悪意と同様にみる態度を示しています。
債権を担保にとるにあたり、質権と譲渡担保のいずれによるかは、次の差異を考慮して決めることとなります。
質権の場合は、設定者において債権を第三者に譲渡したり、二重に質権を設定することが可能ですが、譲渡担保の場合はそれが不可能であり、担保権者の地位がより強固です。
質権の場合は、原則として流質契約が禁止されており、これを実行して債権を回取するには法定の手続による必要がありますが、譲渡担保の場合は、そのような制限がありません。もっとも、商行為によって生じた債権を担保するために設定された質権については流質契約も認められており、指名債権の担保については任意処分することも通常はなく、民法の原則により取り立てても不便はないために、この点の差異は重要ではありません。
質権の場合は、債権の証書があるかぎりその引渡がないと契約が成立せず、しかもその引渡は、設定者に自己に代って占有させる方法をとることができませんが譲渡担保の場合は、証書の引渡しは設立要件でも対抗要件でもありません。この点は、多数の指名債権を集合物として担保にとり、個々の債権の管理を設定者に委ねるような場合に問題となります。
国税に対する関係で、質権の場合は、法定納期限等に後れて設定されたものは、国税に無条件で優先されますが、譲渡担保の場合は、他の財産から徴取してなお不足する金額の範囲内でのみ国税に優先されます。なお、有価証券については、譲渡担保とすると有価証券取引税の課税が間題となるために、設定契約上質権か譲渡担保かの区別を明らかにしない場合が多く、そのような場合については、国税徴収法上は質権と堆定される取扱となっています。

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