自動車の担保化

自動車は動産であるために、民法上利用できる担保権として質権があります。しかし質権は、質権者による継続占有が対抗要件として求められるため質権設定者が自ら自動車を使用しながらこれを担保化することはできず、このような場合には譲渡担保権が利用されてきました。ところが、昭和27年自動車抵当法が施行されるに至り、動産である自動車にも抵当権を設定する途が開かれました。ただ、自動車は解体や処分がされやすく、また短期間に著しくその価値が低減するものであるため、抵当権の対象として必ずしも適当なものということがでぎず、今日では自動車抵当はほとんど利用されていないといわれています。この他自動車を担保に入れる方法として、代物弁済予約、再売買の予約等があるのは、他の物の場合と同じです。

スポンサーリンク

お金を借りる!

抵当権の対象となり得る自動車は、自動車登録ファイルに登録された自動車のうち、建設工事の用に供される大型特殊自動車を除いたものです。なお、自動車運送事業等については、道路交通事業抵当法により企業施設を一括して担保化することができることになっています。抵当権を設定するには、当事者間で抵当権設定契約を締結した上、第三者に対する対抗要件として、その旨登録をしなければなりません。自動車に抵当権が設定されると、特約のないかぎり、予備タイヤ等自動車と一体となっている物にもその効力が及ぶことになります。自動車抵当法は、抵当権の不可分性、被拒保債権の範囲等抵当権の内容について多くの規定を置いていますが、その効力はほぽ民法と大差がありません。ただ、自動車抵当権には、滌除および抵当権の処分の制度がなく、同一の車について抵当権と先取特権が競合する場合には、抵当権は民法三三○条一項に規定する第一順位の先取特権と同順位になるとされ、また、抵当権実行の開始につき、登録自動車の所有者からの抹消登録の申請を受理した運輪大臣は、遅滞なくその旨を抵当権者に通知しなければならずこの通知を受けた抵当権者三ヶ月以内に抵当権の実行をすることができる旨の規定があります。抵当権の対象となり得る自動車に質権を設定することは禁止されていますがこれは、抵当権の普及をはかるとともに、権利関係が錯綜するのを避け、また質権者による担保目的物の使用を禁じようとする政策的配慮によります。抵当権の実行は、民事執行規則一七六条により行われることになりますが、同条二項によれば、自動車に対する強制執行の規定がほぽ全面的に準用され、また、不動産競売及び浅薄競売に関する規定の一部も準用されることになっています。
譲渡担保権は、前記のとおり担保権設定者が自動車を手元に置いて使用しつつ担保化する方法として古くから利用されてきたものです。これは、担保権設定契約により、担保目的のため、自動車の所有権を債権者に移転するものであり、その対抗要件は移転登録ですが、自動車登録ファイルに登録されていない自動車については、占有改定の方法による引渡で足りることになります。抵当権の対象となり得る自動車については、前記のとおり質権設定が禁止されているので、もし占有を債権者に移転する型の譲渡担保権を認めるならば、事実上禁止規定を潜脱する結果をきたすとも考えられるので、これを許容すべきかが問題となり得ます。しかし、譲渡担保権は所有権移転の形式をとる担保権であり、また、すでに自動車の担保化は自動車抵当法の立法の際の期待に反し、そのほとんとが所有権留保の方式によりなされている現状をみれば、譲渡担保権を有効と認めてさしつかえないというべきです。
所有権留保は、自動車の割賦販売が盛んになるとともに、その代金債権の担保方法として、広く利用されてきています。これは、自動車が売買された際、買主に自動車を引き渡してその使用を認めるが、代金債務が完済されるまでは、その所有権は担保の趣旨で売主に保留されるとするものです。自動車の新規登録も売主名義でなされ、代金が完済されたときに売主から買主に移転登録がされることになります。しかし、売主に所有権が留保されるのは、あくまで担保のためであるために、その実質的な所有権は買主にあるというべきであり、公租公課、修繕費用はもちろん滅失、滅損による損失も買主が負担すべきことになります。自動車割賦販売契約においては、通常これらの他、買主の善管義務、契約の解除権、期限の利益喪失事由、さらに損害賠償等について特約がなされています。

お金を借りる!

在庫商品の担保化/ 寄託商品の担保化/ 自動車の担保化/ 工場機械の担保化/ 割賦販売契約における所有権留保/ 所有権留保付割賦販売/ 所有権留保付割賦販売と第三者/ 所有権留保と債権者の差押/ 債権担保の方法/ 代理受領、振込指定/ 預金債権の担保化/ 預金証書の一時預り/ 担保に入れた定期預金証書の書換/ 自行預金担保と他行預金担保/ 株式の担保化/ 株式担保と増資、減資/ 公社債の担保化/ 手形の担保化/ 売掛代金債権の担保化/