代理制度

代埋とは、本人Aが相手方Cと取引するに当たり、代理人Bに代ってやってもらうことをいいます。BとCとの間で意思表示をしたりすることによって、本人Aが直接その法律効果を取得する関係です。代理関係には、本人と代理人、代理人と相手方、相手方と本人、という三面関係が生じるのであって、本人と代理人は代理権開係、代理人と相手方は代理行為関係相手方と本人は権利の帰属関係ということになります。代理の関係は、代理人自らの判断で意思表示がなされ、その法律効果は本人に直接帰属することになるという点に特徴があります。代理人の意思表示の効果は、一旦代理人に帰属してそれから本人に移転するという関係ではありません。ここに法律効果がことごとく本人に帰属するというのは、本人自らその意思表示をしたと同様に、代理人の意思表示から生じる全ての効果が本人に帰属するという意味になります。例えば代理人が本人のために家屋を買ったような場合には、本人は家屋の所有権、引渡請求権、登記請求権などの権利を取得するのはもちろん、このほかに、代金支払の義務も直接に負但することになります。

スポンサーリンク

お金を借りる!

法人の理事その他の代表機関が他人と取引する場合のように、ある人の行為そのものがその人の属する組織の行為と認められる関係が代表です。したがって、代表の場合は法律行為だけではなく不法行為をもなしうるのであり、法人に不法行為能力が認められるのはこのためです。これに対して、代理はその行為はあくまで代理人の行為であって、法律行為、意思表示のみについて認められます。民法においては、代理と代表の用語例はかならずしも正確ではありません。五三条でいう代表は正しいのですが四四条でいっている代理は理論上は代表であり、また八二七条、八五九条で代表といっているのは実は代理になっています。
他人の意思表示を伝達したり、他人の決定した意思を相手方に表示してその意思表示を完成させる者を使者といいます。本人の目上を伝える表示機関としての使者は代埋によく似ています。しかし代理は、代理人が自己の意思を自ら発表するものであるのに対して、使者は本人の決定した意思を単に表示するにすぎない点に本質的な違いがあります。したがって使者の場合には、本人に行為能力あることが必要で、また代埋を許さない行為にも使者の許される場合が多くなります。
物を他人に所持させて、その効果である占有権を本人が保持する場合の関係を代理占有といいます。代埋占有は民法の認める制度ですが、代理が法律行為に関する制度であるのに反して、占有が法律行為、意思表示でない点において本質的に異なります。また代理占有は本人と物の所持者との間だけの関係であって相手方の問題は生じません。
問屋や仲買人や旅行社などの業務にみられるように、本人のために取引行為をなしますが、その効果は行為者に帰属し、後に本人に移転する関係です。これを間接代埋といいますが、この経済的作用は代理に似ていて代理という用語を用いてはいますが、行為者とその法律効果とが分離しない点に本来の代理とは本質的に違うものがあります。間接代理人が権利を取得したときは当然に本人に移転するという特約があれば、外形上は代理と同じになりますが、この場合でも権利移転の経路が違うために、本来の意味での代埋とは異なります。
代位は代理といくらか似ていますが、違う制度です。例えば債権者代位権は自己の名において債務者に属する権利を行使するものであり、弁済者の代位は弁済によって得た自己の権利を行使するのであるために、ともに代理とは異なります。
本人以外の者が本人の財産を管理する関係においてその財産管理人のなす法律行為は代理のようにみえます。民法上でも不在者の財産管埋人や遺言執行者を代理人とみなしています。しかし、この管理行為から本人について生じる効果は当事者としての地位ではなく、その管理行為から具体的に生じた権利、義務にすぎません。そこで、これについては正確な意味における代理ではないという見解や、代理とするのは不適当であるという見解があります。
一般に法律行為をなす者とその法律効果を受ける者とは同一人であるのが普通ですが、今日のように社会経済生活が複雑化している時代には、各人が常に自ら行為しなげればならないというのでは、実際上不便であるばかりでなく、場合によっては不可能ということにもなりかねません。ここに代理制度の存在理由があるのですが、代理人には本人の委嘱をうけて行なう任意代理と、本人の委嘱によらず法律上当然に生じる法定代理の区別があって、そのいずれであるかによって存在理由に違いがあり、別々に考察する必要があります。
社会生活関係の複雑化した現代においては法律行為を全て自分自身でしなければならないというのでは、社会的、法律的活動は制約されることになってしまいます。ここに自分の信任する者を代理人として選定し、その者の才能を利用し、その者の行為によって直接自分の法律関係を処理できるという制度の必要性が生じます。このような要請に基づいて設けられたものが任意代理制度です。今日一人の資本家や事業経営者が数種の企業に関与し、その多岐にわたる活動をなすことができるのはこの任意代理制度があるからだといえます。つまり、この代理制度の社会的効用は本人が代理人の知能を利用してその活動の効果を収め、私的自治の活動範囲を拡張するところにあるといえます。
現代の私法制度の下では、自然人は全て権利能力を有し、幼児や精神薄弱者でも財産を持つことができますが、意思能力あるいは行為能力を有しないこれらの者は、自ら完全、有効にその財産を管理し財産に関する法律行為をなすことができません。ここに、これらの者に代って法律行為を有効になす者を備置する必要性があり、この要請に応えるものが法定代理の制度です。法定代理の制度の社会的、法律的効用は人の私的自治活動の補充という点にあるということがいえます。

お金を借りる!

代理制度/ 代理権/ 代理行為/ 代理人に代っての代理行為/ 無権代理/ 表見代理/ 時効/ 時効の法律的性質/ 取得時効/ 消滅時効/ 時効の効力/ 時効の利益の放棄/ 時効の中断と停止/ 時効期間の計算/