用益物権

用益物権は他人の土地を一定の目的の範囲内において利用することができる権利です。用益物権は他人の土地を物権的に利用する制限物権であり、その使用、収益の目的の違いによって各種のものがあります。民法が認めている用益物権には、地上権、永小作権、地役権および入会権の四つがあります。他人の土地を利用する法律形式としては、用益物権の設定によるもののほかに土地の賃貸借契約に基づくものがあります。物権の規定は大部分強行規定であるために、土地所有者が用益物権の内容を有利に定めようとしてもそこには一定の限度があります。一方で賃貸借は債権契約であるために契約自由の原則が支配するため当事者はその内容を自由に形成できます。そこで世の実際では賃貸借契約による土地利用の形式が圧倒的に多く、所有者はその優勢な経済的地位を利用してほとんど無制限に有利な立場を主張できることになります。ここにおいて弱者保護、社会経済的立場から賃貸借契約に一定の制限を設け、用益物権である地上権、永小作権などの規定を理論的に拡張し、両者相まって他人の土地の利用関係の調整を図る社会立法が要請されるのです。
地上権は他人の土地において工作物または竹木を所有するために、その土地を使用することを内容とする権利です。工作物は建物、橋、電柱、広告塔、記念碑、地下施設、高架施設など地上地下に設置される建設物であり、竹木は植林の目的となる植物であり、耕作の目的となる果樹や茶、桑などは含まれません。そもそも地上権は他人の土地の上にある地上物に対し、所有者と同様の権利を認めようとする趣旨から生じました。しかし日本では、欧米の制度などと違って、建物や立木を土地とは別個独立の不動産として扱う伝続があり、これが立法上もはっきりしているために地上権は欧米のように地上物についての待別の権利留保という意味あいを考える必要はなく、土地を利用する権利という性格のものとされています。地上権は必ずしも地代を要素とせず、無償の地上権も有り得ますが、権利金の授受があるのが通常で物権としてその財産性は強靱で、譲渡性、相続性を有し、登記をもって対抗要件とされます。地上権の目的たる土地は必ずしも一筆のものに限らず、その地下だけ、地上空間だけを対象にすることもできます。つまり工作物を所有するため、土地の地下または空間を上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができるのです。これを地下地上権、空中地上権といい、登記もできるようになっています。
永小作権は、小作料を払って耕作または牧畜のため他人の土地を用益する権利です。他人の土地を借りて耕作または牧畜をする法律関係は、物権たる永小作権による場合と、債権たる賃借小作権による場合とがあります。古くは永代小作が慣行的に行われていましたが、民法上は永小作権か賃借小作権になり、通常行われたのは自由な契約でなせる賃借小作のほうで、永小作権に基づくものは僅かでした。そのようなこともあり一般に行われた耕作のための小作開係は、小作人の地位を極めて劣弱なものにしていました。しかし現在では、戦後の農地改革による自作農創設臨時措置や農地法の制定によって是正され、多くの小作農は自作農化し、耕作権が確立しています。これにつれて永小作権も解消したものが多く、現在の日本の小作関係においてほとんど機能していないといえます。民法上の永小作権は、他人の土地を利用する用益物権で、譲渡性、相統性がある点で地上権と同一であり、ただ小作料の支払いが要件となっており、耕作、牧畜を目的とする点で地上権との違いがあるだけです。
地役権は他人の土地を、例えば通行の便や引水という自己の土地の便益になるよう使用することを内容とする権利です。便益に供する土地を要役地といい、便益に供せられる土地を承役地といいます。通行地役権、引水地役権、抜水地役権、観望地役権などがあります。これら地役権は要役地所有権に附従する権利であり、要役地が譲渡されたり担保に供された場合は運命を共にし、地役権だけを要役地から分離して譲渡したりすることはできません。また地役権は要役地の便益のために承役地を使用する惟利であって、その権利の一部を消滅させることや、その権利を数個に分割するということはできません。

スポンサーリンク

お金を借りる!

債権的財産/ 物権の性質/ 物権の特性/ 物権の対象物/ 債権の性質/ 物権と債権の差異/ 債権の効力/ 債権の本来の効力/ 物権法定の必要性/ 物権法定主義の内容/ 慣習上での物権/ 物権の種類/ 物権の分類/ 占有権は支配する権利/ 所有権の基本物権/ 土地所有権の限界と相隣関係/ 所有権の取得/ 財産を数人で共同所有/ 用益物権/ 担保物権/