土地所有権の限界と相隣関係

所有権の効力の及ぶ範囲を所有権の限界といいます。所有権は必ずしも絶対不可侵のものではなく、その内在的諸制約や他の法令による制限がありますが、民法でも土地所有権に関する限界につきルールを定めています。
互いに隣接する土地につきそれぞれの利用目的には各々の所有権の内容を一定の範囲内において制限し、各所有者が協力し合う必要があります。もし互いに隣接する者が各自の所有権を極度に主張し合うとすれば、共同生活を円満で充実した利用をすることができないからです。この要請に基づいて土地所有権相互間の調整を図ったのが相隣関係のルールであり、内容は土地所有者の共存のために生じる所有権内容 の拡張と制限だといえます。このルールは地上権にも準用されており、土地の賃借権にも及びます。

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土地の所有権は境界またはその近傍で外壁や建物の築造、修繕をなすために必要な範囲内で隣地の使用を請求することができます。これを隣地立入権といいます。ただし住居へ立入るためには隣人の承諸がなければなりません。他の土地に囲まれて公路に通じない土地、および池沼、河川、海洋によらなければ他に通じることができずまた岸壁があって公路と著しい高低をなしている土地の所有者は、公路に至るために隣接地を通行する権利を有し、必要ある場合には通路を設けることができます。これを隣地通行権といいます。この場合には、隣地のために損害の最も少ない場所と方法によるぺきであり、通行地の損害に対しては償金を支払わねばなりません。なお、土地所有権の分割、または譲渡によって袋地が生じることがありますが、この場合には他の分割者の所有地のみを通行することができ、かつ償金を払う必要はありません。
雨水や地下水が低地に向かって自然に流れる場合には、低地の所有者は自然の流下を忍容しなければなりません。また、自然的な流水が山崩れや地滑りなどの事変によって低地で阻塞した場合には、高地の所有者は自費をもって疏通に必要な工事をしなければなりません。人工的排水に関して、水利工作物の破潰、阻塞の場合の修繕、疏通または予防工事請求、雨水が隣地に注ぎ込むような屋根などの工作物の設置禁止、余水排泄の場合に、公路、公流、下水道などに至るまで、隣の低地に水を通す権利、隣の高地または低地の所有者が設けている溝や土管などの通水工作物を設置、及び保存の費用を分担して通水する権利について規定があります。なお、溝渠その他の水流地の所有者は、両岸の土地を所有する場合に限りその水路および幅員を変更し、その流水利用の便を図ることができます。対岸が他人の所有地である場合には変更できませんが、水流地の所有者が堰を設ける必要がある場合には、堰を対岸に附著させることができます。
土地所有者は隣地所有者と共同の費用をもって面界を標示する杭その他の界標を設けることができます。その設置、保存の費用は相隣者が平等の割合で負担しますが、測量の費用は土地の広狭に応じて分担します。相隣建物間に空地がある場合は各所有者は費用を平分して囲障を設置できます。囲障の高さ及び種類は協議によって決まりますが、協議が調わないときは、慣習のみるべきもののない限り、材料は板塀または竹垣とし、高さは2メートルとします。相隣者は費用の増額を負担して、右の材料より良好のものを用い、または増尺することができます。境界線上に設けられた界標、囲障、溝渠などは相隣者の共有と推定されます。つまり共有の現定が適用されるわけですが、その性質上分割請求は許されません。相隣者の一人は自己の費用で共有物たる壁の高さを増すことができます。この増尺の部分は共有物ではなく増尺者の専有に属します。
建物を築造するには境界線から50cm以上距てなければなりません。これに違反しても建築着手時から1年を経過し、またはすでに建築が竣成したときは相隣者はその建物の廃止、変更を請求できません。しかし損書賠償の請求は妨げられません。都市の繁華街のように密接して建築がなされるという別段の慣習があればこれに従います。境界線から1m未満の距離において他人の宅地を観望するような窓や縁側を設ける者は目隠をつけなければなりません。しかし、この距離と目隠などについて別段の慣習があるときはこれに従います。井戸を掘るなどの地中工事を行う場合は境界線から1mないし2mの距離を距てなければならず、土地の崩壊または水や汚液の滲漏を防ぐに必要な注意を払わなければなりません。
民法の相隣関係のルールは、上述にみたとおり、農村経済的生活関係を基礎として成り立っており、現在の都市生活には必ずしも適切でなく、補充しなければならないものが多くあります。越境した枝や根の処置は逆にならなければならないだろうし、日照間題や騒音や臭気など環境を考慮したルールが必要となります。建築技術や科学の発達により境界近傍の工作物設置や土地の掘削について過密都市にふさわしい規制が行わるべきです。

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