所有権の基本物権

所有権は人が財物を自分のものとして支配することを肯定する法律上の基本形態であり、今日の私有財産制度の基盤をなすものです。現在我々がみる所有権は、近代的社会経済機構が個人の意思自由と完全な所有権を要請したのに応じて樹立した、自由な所有権概念が基盤になっています。これは、所有者は目的物を自由に使用、取益、処分できる完全な権利内容を有しており、所有者の意思に基づかない限り、所有権が侵されることはありません。権利行使するかしないかは権利者の自由であり、その行使不行使によってたとえ他人に迷惑をおよぼすことがあっても、その責任が生じることはない、という内容を持っています。法制上で所有権を憲法で不可侵のものとして保障し、民法で自由、完全性を宣言しているのであって、そこに近代的所有権があるといえます。

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現在の所有権は、物に対する排他的支配を根底としながら、資本主義の発展に応じ、その性格を経済的には価値把握の可能性、法的には価値把握に対する国家的保障の可能性に変化し、この間に利用権の強化と所有権の現実的支配の奪取が図られています。絶対的支配権たる威力をもって、契約の自由を通じて賃貸借、需要などの契約を自己に有利に支配した所有権も所有権は義務をともなうという、その絶対性、自由性、不可侵性が反省されるに至るのでした。そして資本主義の高度化は、価値支配の形態をも高度化させ、個別所有権が多くの人的、契約的関係の総合体の一形態を形成することになり、企業組織が所有権を包摂して、その集中独占の過程において経済活動の中心をなすに至るのです。このような所有権の社会経済的作用の変転は、所有権の内容制限の問題を要請し、近代的所有権の自由、絶対、不可侵性は他のあらゆる対立物を制圧する可能性を有したのですが、利用権の強化、組織企業の強大化にともない、その内容制限を受けることになりました。その直接的制限の他に、商品取引、企業経営などの統制あるいは制限によって間接的制限をうけます。このことの法制上の根拠は、まず憲法が財産権、所有権は公共の福祉による制約があることを明らかにし、その濫用を戒め、民法は積極的に憲法の意図を普通して、私権の公共性、その行使における信義則の要請、権利濫用の禁止を大原則とした点にみられます。所有権が社会制度の根幹として法律によって認められたものである限り、その行使、不行使は同時に国家的社会的な利益と調和しなげればならないのであって、ここに所有権制約の現実的な問題があり、現代的所有権の姿があります。
土地の所有権は、区画された一筆の土地の上下に及びますが、近年の都市における土地の利用関係をみると空間価値を認識するようになり、空中、地下の利用状況が顕著です。このことは、とりあえず空中、地下の地上権として法律上の地位を得るに至りましたが、やがて土地所有権に還元してきて、土地は土壊としての価値から空間としての値値に転化し、土地所有権も縦割所有権のみでなく横割所有権を認識するようになります。
建物について区分所有権の問題が顕著で、元来、一棟の建物を数人で区分し、各々その一部を所有することは民法上認められていたところですが、これは棟割長屋のようなものを念頭におき、建物の区分も縦の区分のみしか考慮しなかったのではないかと思われる不十分なものでした。しかし近年では中高層のビルディングなど大規模な共同建築物が増加し、その者階や部屋を区分して所有するという関係が多くなり、その法律関係はますます複雑になってきています。現実にマンションの分譲など階層区分、各部屋区分をして分譲し登記をするということが行われています。この場合に建物の区分所有権や建物の共用部分、及び敷地の共有持分なども一体として取引の対象とすることが望ましいのですが、法技術的な困難があり、共用部分や敷地の管埋や費用負担など幾多の問題が横たわり、民法の現定や従来の解釈理論だけでは解決できない事態が生じてきました。このような事態に対して、現実に即した立法措置が要請されるのは当然で、昭和37年に建物の区分所有等に関する法律が制定され、建物の区分所有に関する法現制が整備されることになったのです。これは建物の一部に明確な区分所有権を認め、区分所有者相互間の法律関係を定め、共用部分の管理などにつき管理者を定め、規約及び集会に関する規定を設けるなど建物の区分所有に関する規定を整備するものです。一団地内の建物所有者の共有に属する土地及び施設の管理等についても同様の規制をしています。

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