占有権は支配する権利

自己のためにする意思をもって物を所持するという事実があった場合に、これを占有といい、その所持者が所有権を有するとか盗人であるということに関わらず、そこに占有権なる権利が認められます。したがって占有権は、通常の物権である所有権や地上権などのように現実的支配を正当づける権原ではなく、逆に占有という事実から、それを要件として発生する権利なのです。占有という事実があるところ必ず占有権があるといえます。

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法が占有という事実を権利として認めるのは、物の事実的支配を正しいものとして保護し、社会の秩序を維持し、取引の安全を保護しようとすろところにあります。社会的価値ある物は全て誰かの支配内にあり、その支配は正当な権原に基づく場合もあれば盗人の支配のように正当な権原がない場合もあります。しかし、それがいずれであるかは、単なる支配という外形的事実からは的確に認識できるものではありません。このような支配という外形的事実自体を正当なものとして保護しないで、互に権利の主張を許すと対物的支配に関する社会の秩序、平和は維持されないことになります。ここに占有権制度の存在理由があります。
ある人が物を所持している場合にその人が真の権利者であるかどうかは容易に判断できないのが普通であり、現に物を所持している以上その人を所有者であると思って取引するのは当然です。物の事実上の所持者は適法に占有する権利ある者と推定されるのでなければ、その者を相手として安心して取引できないことになります。このような取引安全の保護という点に占有権の制度が確立されなければならない理由があります。
事実的支配の保護のために認められた占有権には、様々な法的効果がみられます。まず、占有者は目的物を支配すべき正当な権限を持つものと推定され、善意の占有者には目的物から生じる利益の取得が認められ、目的物を滅失毀損しても回復請求者に対して責任を滅じられ、目的物に保存や管理に必要な費用をかけた場合にはその償還の請求が認められるなどの保護が与えられています。さらに占有による家畜外の動物の取得が認められます。また、動産を占有している者を権利者だと信じて取引した者は、例え動産の占有者が権原を有しなくても直ちにその動産上の権利を取得することが認められ、広く占有者一般に、目的物支配に対する侵害を除去する権利が認められています。

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