債権の本来の効力

債権は債権者が債務者に一定の給付を要求する権利であるために、債務者が任意に履行し、債務者がこれを受領することとによって目的を達します。この意味で債権は消滅を目的とする権利だといえます。この目的が実現しない場合はそこに債権はいかなる効力を有するかの問題が生じます。
債権の本来的効力は、相手方、債務者に債務の履行を請求できる点にあり、債務者が任意に履行しない場合にはそれを強制でき、履行しないことによって債権者が不利益をうける場合には損害賠償の請求ができます。債権者が任意に履行しない場合は現実的履行の強制の問題であり、直接執行、代替執行、間接強制の方法による強制執行ができることであり、履行しないことによって債権者が不利益をうける場合は債務不履行の問題であり、履行遅滞、履行不能、不完全履行ある場合に損害賠償の請求ができることです。これが対人的請求権である債権の一般的効力であり、民法でも債権の効力として、このことを定めます。この場合に債権は直接支配性はないために、いくら債務者の履行を強制しうるといっても、債務者を身体的に支配し拘束したりすることは許されないのが近代法の建前です。履行の強制も損害賠償も、財産的拘束であり金銭賠償が建前になっています。
債権の本来的効力は、相手方、債務者に対する要求や財産的拘束が主ですが、債権の目的を達するために、その効力が債務者以外の者に及ぶ場合があります。債権者代位権と、債権者取消権がこれになります。これは債務者が無資力になって債権の実効が危ぶまれる場合に、債権の引当になっている債務者の責任財産を保全するために債権者代位権は、債務者が取立てずにいるのを、債権者が債務者に代って請求できる権利であり、債権者取消権は債務者が債権者を害する意思でなした財産の滅少をさせる行為を取消す権利です。債権者代位権は債権の効力が債務者が有する債権の債務者に及び、債権者取消権は、償務者から譲渡をうけた受益者、転得者に及ぶために債権の対外的効力といわれています。
このほか、民法では債権者が債務者の履行を故なくして受領しない場合に、債権者の受領遅滞ないし債権者遅滞が生じ、債権者が責任を負うべきことを定めています。これは、債権の本来的効力の反対側からのもので、いわば債権にとってのマイナスに働く効力といえます。また債権が契約から生じた場合に、それが債務不履行により実現が危ぶまれるときは、その契約を解除できることになっています。解除があれば現状回復義務が生じ、損害賠償の請求ができるために、これも債権の効力の一部と考えられます。

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