支払保証委託契約締結証明書の発行

 競売物件の買受申出のための保証は、民事執行法66条によるものであるが、不動産の強制競売について買受けの申出をする場合の保証のほか、高価な動産を入札で売却する場合の保証、無剰余の場合の競売申立ての場合の保証、ならびに増価競売の申立てをなす場合の保証等にもこの保証が利用されることになる。
 この保証の保証期間は、いずれも目的物件が売却を完了するまでというのであるから、通常の場合は長くても1年か2年で終了するものであり、損害賠償の保証ように長期になる可能性は少ないと考えられる。特に、買受けの申出はしたが、最高価買受申出人にも次順位買受申出人もこなれなかった場合には、その保証は2〜3日で終了してしまうこととなり、このようなな事例の出る可能性のほうが大きいといえよう。なお、このような場合には、後述するように、期間がきわめて短い保証については、保証料をどのように扱うかが問題になる。
 ところで、この保証は、保証の申込みがあってから、現実にその証明書を発行するまでには、ある程度の期間の余猶があるのがが普通であるにから、銀行としてその申出に対する承諾の可否を審査する期間では十分見込むことができよう。その意味から、この保証は、実務的にも銀行の支払承諾取引に適した保証ということができるであろう。
 ただ、この保証は、従来現金を裁判所に積んで競売に参加していたものを銀行の保証に変えてすることになるので、保全としては全額預金の担保により行なわれることになろう。したがって、この買受申出でのための保証では、それほど詳細な事情を確認する必要はなく、また、申込人の信用調査も、損害賠償の保証の場合よりも簡単にしてさしつかえないと考えられる。

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 買受けのための保証の申込みを承諾した場合に、申込み人から次の書類の提出を受ける。
 支払承諾約定書、銀行取引約定書この約定書はいわゆる基本約定書といわれるもので、一般の融資取引などによってすでに徴求されている先からは、あらためて撒求する必要はない。まったく新規に申込みのあったときだけ必要で、2回目の後の申込みに際しては、重ねて徴求する必要はない。なお、次の「支払保証委託契約書」の裏面に銀行取引約定書と支払承諾約定書の関係条項も印刷してある場合には、これらの書類の徴求は必要ないことになる。
 支払保証委託契約書(買受保証関係)支払保証契約の成立を証する書面であり、この支払保証契約に付随する特約を定めたものである。なお、競売物件の買受けめ申出をするだけで、今後その申込人との間で融資取引が継続的に発生する可能性の少ない1回限りの申込みがあるときは、銀行取引約定書、支払承諾約定書の特約も印刷した用紙を使用することも考えられる。
 支払保証委託契約締結証封書(買受保証関係)これは前記の契約書を2通作成して、その1通については、銀行で証明年月日、支店長印を押印して申込人に交付し、他の1通は申込人から証明書の受領証に代えることができる。
 担保差入証、保証書等、支払保証の保全のために徴求することになった預金担保差入証などの一般の書類、証書である。
 印鑑届、印鑑証明書、手形等、一般の融資取引に必要とされている書類であり、支払承諾取引について申込人から白地手形の提出を求めている銀行では、手形も必要である。
 保証料の支払保証は、短期のときは2日か3日で終了してしまうこともあるが、買受申出人として認められたり、無剰余の競売の申立てや増価競売の申立てが認められると、競売による買受代金の支払があるまで、約1年ぐらいの保証になることもあるので、その期間を見込んで、その期間の保証料を先取りしておくこともできる。
 その期間は、買受けのための保証の場合は入札期日、開札期日等より起算して2ヵ月ぐらいでよいが、増価競売や無剰余競売の場合は申立日からだいたい1年間ぐらいである。
 なお、買受けのための保証で、2日か3日で証明書が回収できたときの保証料については、別に最低金額の保証料の約定をしておくことも必要となると思われる。
 保証料の料率は、通常の支払承諾と同じように、年0.2%から0.5%くらいまでということになろう。
 買受申出の保証の場合には、売却手続に参加できなかったとき、参加したが最高価買受申出人にも次順位買受申出人にも該当しなかったとき、ならびに最高価買受申出人が代金納付期限までに買受代金の支払をしたときには、それぞれの「支払保証委託契約締結証明書」による保証債務はすべて発生しなかったことに確定し、保証は消滅する。
 最高価買受申出人が代金納付期限までに代金の支払がなく、次順位買受申出人がそれに代わって買受代金の支払をしたときは、最高価買受申出人に対する証明書の保証責任は消滅しないが、次順位買受申出人に対する証明書の保証責任だけは消滅する。
 執行裁判所は、前記の保証債務の消滅原因が発生すると、そのつど買受申出人に対してただちに証明書が返還されることになろう。
 銀行は、支払保証委託者から、証明書の返還を受けた場合は、そのときにおいて支払承諾取引を終了させ、保証料の清算を行なう。
 無剰余の競売の申立ておよび増価競売の申立ての場合の保証は、その申立てが認められなかったときは、その時点において証明書の保証債務は発生しなかったことになるので、ただちにその保証の証明書を回収し、保証料の清算をすればよい。
 しかしながら、その申立てが認められると、当該競売手続について買受申出人となった者が買収代金の支払をするまでは、その保証責任は消滅しない。
 この場合、無剰余競売の手続では、競売申立人に優先する債権額と競売の費用の合計額以上の価額で買受申出人が生じ、その者が代金納付期日までに代金の支払をすれば、保証の責任は消滅する。そのような価額で買受申出人がないときは、競売申立人はその価額で自ら買受けをするか、買受人になれないときは買受申出価額との差額を負担することになり、代金納付期限までにその者が受代金または不足金を支払うことにより、銀行の保証責任が消滅することになる。
 そこで、無剰余の競売申立てについて保証債務の履行を求められるのは、競売申立人が買受責任が生じまたは不足金の支払責任が生じたのに、代金納付期限までに代金の支払をしなかった場合のみである。
 他方、増価競売の保証とは、滌除権者の申出額の1割増の金額以上の価額で買受申出人がなかった場合の保証であるから、その価額以上の価額による買受申出人があり、その買受代金の支払があった場合と、増価競売の申立人が滌除権者の申出額の1割増の金額で買い受けることになり、それを代金納付期限までに支払った場合には、この保証の責任は消滅する。
 そこで、増価競売において、その保証債務を履行しなければならなくなるのは、増価競売申立人が買い受ける義務が生じたのに、それを代金納付期限までに支払わなかったときということになる。
 いずれの場合も、裁判所は保証責任が生じないことが明らかになると、その証明書が申立人に返還される、そのことを証明するものが発行されることになるので、銀行もその者から証明書等の提出を受けて、支払承諾取引を終了させることになる。

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