買受申出の保証

 買受申出の保証とは、競売等の物件の買受申出の際、申出をしようとする者が裁判所に提出する保証金の代わりにする銀行の保証のことである。
 これにも種々のケースがあるが、不動産が入札や競り売りに付されたとき、この売却手続に参加して、当該物件の買受けを希望し、買受けの申出をするときにする保証が最も一般的であろうが、船舶、航空機、動産についても同様の制度がある。
 これらのほか、例は少ないであろうが、無剰余競売の場合の保証金(たとえ競売になっても、当該不動産についての優先債権者の債権が大きいため、申立人に配当される可能性がないと認められると、無剰余競売となるので、特に優先債権者の債権全額と執行費用の合計額以上の申出額またはその合計額と最低売却価額の差額の保証金を積まなければ、その競売手続は取り消されることになっている)や、増価競売申立ての場合の保証金(抵当権の目的物件の第三収得者などの滌除権者から滌除の申立てがあったが、これに対し抵当権者がこの申立てに承諾をしないときは、滌除権者の申出金額の1割増の金額の保証金を裁判所に積んで増価競売の申立てをしなければならないことになっている)も、上記の買受申出の保証と性格が類似しており、その手続は、ほぼ買受申出の保証の場合と同様である。

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 債務者の不動産に対して、債権者から強制競売の申立てがあり、または抵当権者などから不動産競売、増価競売の申立てがあると、裁判所は競売手続の開始決定をし、各種の調査(現況、評価、債権者など)をしたうえで、売却手続に入ることになる。この売却手続には、期日入札、期間入札、競り売りなどの方法があるが、それらはあらかじめ物件の明細、最低売却価額などとともに一般に公告され、また、裁判所で定められた一定の新聞紙上などによっても広く知らされることになる。これは、広く買受申出人の出ることを目的とするものである。
 上記の入札や競り売りに参加し、競売物件を買い受けようと思う者は、期日入札の場合は入札期日に競売場へ出向き、最低売却価額の10分の2の保証金を積んで、入札書を記入、投票する。また、期間入札の場合は、開札期日までの期間内に売却場へ出向き、最低売却価額の10分の2の保証金を積んで入札書の投票をするか、郵便で保証金に相当する保証書などを同封し、入札書の投票をする。さらに競り売りの場合は、競り売り期日に売却場へ出向き、同じように保証金を積んで競りに参加することになる。ただ、この保証金はもちろん現金や預手であってもよいのであるが、それでは保証金が相当高額となるため紛失、盗難の危険がある。そこで、この保証金の代わりに認められているのが、銀行の保証である。その場合、買受けの申出をしようと思うものは、入札に間に合うようにあらかじめ銀行に対して、買受申出のための「支払保証委託契約」の申込みをすることになる。
 銀行は、前述「損害賠償の保証」について保証の申込みがあったときと同じように、信用調査などを行ない、申込人に対して「支払保証委託契約締結証明書」を発行・交付する。
 買受希望者は、期日入札や競り売りの場合は、その期日に売却場へその証明書を持参し、保証金の代わりにこれを執行官に提示し、売却手続に参加する。期間入札の場合は、入札期間内に入札書とともにこの証明書を同封し、裁判所に直接とどけるか、郵便で送付することになる。
 入札期日、競り売り期日あるいは開札期日において、保証の証明書を発行した買受希望者が最高価買受申出人か次順位買受申出人に該当しなかった場合は、その者は執行官にこの証明書の返還を請求すると、ただちに受取証と引換えに執行官からその返還が受けられる。この執行官から返還を受けた証明書を、買受希望者から銀行が回収すれば、保証料を清算して、支払承諾取引が終了することになる。
 また、最高値買受申出人と次順位買受申出人に対して発行した証明書は、最高価買受申出人が売却決定期日に定められた代金納付期限までに、申し出た買受価額相当額を執行裁判所に支払うことにより、それぞれその申出人に返還される。
 最高価買受申出人(A)が代金納付期日までに買受代金を支払わない場合には、その者に対して発行された証明書は本人には返還されない。この場合には、あらためて次順位買受申出人(B)について代金納付期限が定められるので、その日までに次順位買受申出人(B)が申出買受価額の代金の支払をすれば、Bに対する銀行の保証書はBに返還されることになる。この返還された保証書が発行銀行に提出されると、前記のとおり、Bについては、その日において支払承諾取引が終了することになる。
 裁判所は、競売の期日において、最高価買受申出人がある場合、または最高価買受申出人と次順位買受申出人がある場合には、まず最高価買受申出人に対する売却決定を、次に代金納付期日を定める。そして、その日までに最高価買受申出人(A)が代金の支払をしないときには、Aに対して発行した銀行の証明書は、Aに返還されず、裁判所はその証明書により銀行に保証債務の履行請求をすることになる。
 また、鍛高価買受申出人(A)の代金の支払がなかったため、次順位買受申出人(B)について売却決定がなされ、その代金納付期限が定められたが、Bもその期日までに代金を支払わないときは、やはりBに対しても証明書が返還されず裁判所は、Aの分と同様に、証明銀行にそれぞれ保証債務の履行請求をすることになる。
 前記の保証債務の履行請求は、裁判所より銀行に対して、保証金額担当額の支払を請求する催告書によってなされる。
 保証銀行は、この催告書に基づいて、納付書をもって裁判所に現金により納付し、保証債務の履行をすることになる。

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