無担保債権者の参加手続き

 現法は、従来批判されていた虚偽債権や通謀債権などによる配当要求を排除するため、配当要求の制度に改正を加え、配当要求の資格者として、強制執行を実施することができる債務名義の正本を有する債権者、強制競売の開始決定にかかる差押えの登記後に登記された仮差押債権者、給料債権など一般の先取特権にあってはその存在を証する文書をもって証明した債権者に限ることとした。
 また、この配当要求は民事執行法49条で定める各事件ごとに具体的に執行裁判所が定め、かつ公告された配当要求の終期、またはその更新の終期までにしなければならないのが原則である。なお、この配当要求の終期後にした配当要求も、配当要求をすることができる債権者がしたものであるかぎり、適法であり却下されることはない。かかる配当要求債権者も配当要求の終期が変更されたときは、配当にあずかることができるからである。
 したがって、執行力ある債務名義の正本を有していない債権者が配当要求をするには、一般先取特権者を除いて、配当要求の終期までに支払命令を得てくるか、公正証書を作成してくるか、あるいは仮差押命令を得たうえで仮差押えの登記をして登記簿謄本をもって証明するかの措置をとらなければならないことになる。また、差押え後に約定担保権を設定して払その担保権は手続上無効なものとして処理されるので、その担保権者としての配当要求は認められないので実務上留意を要する。

スポンサーリンク

 民事執行法87条1項1号では、配当を受けるべき債権者の範囲の一つとして、配当要求の終期までに強制競売の申立てをした差押債権者を掲げている。強制競売の申立ての要件としては、法22条に列挙する確定判決、同一の効力を有するものや仮執行の宣言を付した支払命令や公証人の作成による金銭消費貸借公正証書など債務名義の存在を必要とする。
 他の債権者によって債務者の所有不動産が差し押えられている場合に上記の債務名義を有するときは、債務名義に対する執行文付与、債務名義の送達、配当要求終期までに強制競売申立て、二重開始決定、差押宣言、差押登記、配当終期までに債権届出などの手続を経て、先行の強制競売手続に参加しておけば、法87条の定めるところにしたがって売却代金から配当にあずかることができるし、もし先行の競売手続が取り下げられたり停止されたときは、後の申立権者のためにいままで進行してきた手続を利用して当然に手続が続行されることになる。
 債務名義を布する債権者は、仮執行宣言付支払命令を除き配当要求をするにも執行文の付与を受けてこなければならないことに留意を要する。条性来成就の債権者は配当要求はできないが、期限来到来の債権者も配当要求をすることができるものと解する。
 配当要求の申立方式は、規則26条の定めによるが、書面申立主義がとられ配当要求は書面ですべきこととされている。
 配当要求書に記載すべき事項として債権の原因および額を規定しており、債権の元本のほか利息その他付帯の債権が含まれる。それぞれ各別にその額を記載しなければならない。配当要求に添付すべき書類については規定されていないが、法51条1項め解釈上布名義債権者は執行力のある債務名義の正本を配当要求書とともに提出しなければならない。この配当要求があったときは、裁判所書記官は差押債権者および債務者にその旨を通知する。この配当要求に対して債務者は、債務名義によるものについては請求異議の訴えにより争うことができるので、配当要求をする債権者としてはまず相手方の確認および原因債権・数額等遺漏のないよう的確な配当要求に留意しなければならない。
 配当要求の資格としての仮差押えおよびその時期については前記の配当要求一般で述べたとおりであるが、単に仮差押えの命令を得たにすぎないのみでは配当要求の債権者とは認められないので、命令の発令後ただちに登記をなすべくとりはからい、その登記簿謄本を配当要求書とともに提出しなければならない。なお、この場合差押えにかかる強制競売の申立てが取り下げられたり、もしくは差押手続が取り消されたりしたときは、仮差押えの登記後に登記された差押えにかかる強制競売が続行されると、仮差押債権者はあらためて配当要求をすることを要せず配当等にあずかれることになる。

お金を借りる!

仮差押、仮処分/ 仮差押、仮処分の審理/ 仮差押、仮処分命令の執行/ 不動産の仮差押え/ 債権の仮差押え/ 動産の仮差押え/ 仮処分手続き/ 差押えの抵当権への影響/ 抵当権者の保全手続き/ 無担保債権者の参加手続き/ 滞納処分と差押え/ 差押えの担保権への影響/ 担保権者の保全手続き/ 動産執行と無担保債権者の参加手続き/ 滞納処分による差押え対策/ 仮登記担保権の実行通知を受けた場合の対策/ 物上代位による差押手続/ 担保権の実行としての競売/ 債権の被差押え/ 滞納処分への参加手続き/ 預金の被差押え/ 差押えの預金債権の特定/ 仮差押命令があったとき/ 差押命令があったとき/ 転付命令があったとき/ 差押えが競合したとき/ 供託手続き/ 支払保証委託取引の意義と種類/ 損害賠償の保証/ 保証の事務処理/ 買受申出の保証/ 支払保証委託契約締結証明書の発行/ 被保証債務の譲渡/