動産の仮差押え

 動産に対する仮差押えは、金銭債権または金銭債権に換えることができる請求権について、動産に対する強制執行を保全するために行なわれるものである。
 債権者は、仮差押裁判所に対し動産仮差押命令の申請をし、仮差押命令を受ける必要がある。
 債権者は、動産仮差押命令を受けたときは、執行機関である執行官に動産仮差押執行の申立てをする。執行官は仮差押命令に基づき、債務者の占有する動産または債権者もしくは提出を拒まない第三者が占有する動産を、執行官が占有する方法により仮差押えを行なう。
 なお、仮差押えをした動産の保管は、一般には債務者等の仮差押え前の占有者に保管させ、使用を許可されるが、債務者等に保管がまかされる場合は、仮差押物に封印その他の方法で仮差押えの表示をしたときにかぎり、仮差押えの効力を有する。

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 動産仮差押執行の対象となる動産は、動産に対する強制執行における動産と同一である。
 仮差押えの制限についても、動産執行における差押えの制限と同様である。
 すなわち、動産仮差押えにおいて払 超過差押えの禁止、無剰余差押えの禁止、差押禁止動産、差押禁止動産の範囲の変更についての規定が準用されている。
 仮差押えの方法は、債務者の占有する動産、または債権者もしくは提出を拒まない第三者の占有する動産を、執行官が占有する方法により行なうが、これも動産執行の場合と同様である。
 動産仮差押えの執行機関は執行官である。したがって、動産に対する仮差押えの執行を求めるには、執行すべき動産の所在地を管轄する地方裁判所に所属する執行官に対し執行の申立てをしなければならない。
 仮差押えは、仮差押命令が債務者に送達される前であっても執行できるが、一方では、仮差押命令が判決の場合には言い渡された日、決定の場合は債権者に対して仮差押命令が送達された目から2週間を経過したときは、執行に着手してはならないとされている。
 したがって、債権者は、決定正本の送達を受けたときは、すみやかに仮差押執行地を管轄する地方裁判所に所属する執行官に執行の申立てをし、時期を失しないよう注意すべきである。
 動産仮差押執行の申立ては、動産執行の申立書に準じた事項を記載した申立書に、仮差押命令の正本を添付して行なう。なお、承継執行文を必要とする場合がある。
 申立書の記載事項と添付書類については、動産執行を参照されたい。
 動産仮差押えの執行は、執行官が目的物を占有する方法により行ない、仮差押えの執行は、動産執行における差押えに準じて行なわれる。
 立入・捜索、差押物の選択、差押物の保管・使用、差押えの表示、差押物の点検などの規定が準用され、動産執行における差押えの実施と同様であるが、仮差押えの性格から、執行官の弁済受領権限についての規定の準用はない。
 動産に対する仮差押えの効力は、動産執行における差押えの効力の場合と同様である。
 仮差押えによって、その動産の占有は執行官に帰属し、債務者の処分行為を禁止する効力を生じ、仮差押物から生ずる天然果実にその効力が及び、請求債権について時効中断の効力を生ずる。このほか、現法では、仮差押物に対する引渡命令、管轄区域外に移った仮差押物の取戻権が認められている。
 仮差押えをした動産について、著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、またはその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官は、動産執行の売却の手続によりこれを売却し、その売得金を供託しなければならない。
 この規定は、動産執行における執行停止中の売却の規定と同趣旨のものである。
 仮差押えをした手形等が、未完成のものであるときは、執行官は、債務者に対し、補充するよう催告し、手形等の提示期間が到来したときは、執行官は債務者に代わって呈示しなければならないことも動産執行の場合と同様である。ただし、動産執行とは異なり、配当等の実施は行なわれないので、執行官は、手形等について支払を受けたときは、その支払金を供託しなければならない。
 金銭を差し押えたときは、執行官は供託しなければならない。
 動産仮差押えにおいても、二重差押えの禁止・事件の併合の規定が準用されている。
 そこで、先に差押えあるいは仮差押えされている動産について、さらに仮差押えの申立てがあったときは、執行官は、まだ差押えあるいは仮差押えがされていない動産があるときはそれを仮差押えして、そのような動産がないときは、その旨を明らかにして、事件を併合する。
 事件の併合により、差押えの範囲が広がり、後の仮差押申立債権者は配当要求の効力を生じ、前の事件が取消し等になったときは、後の仮差押申立債権者のために併合時に差押えがあったものとして事件が進行する。

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