仮差押、仮処分命令の執行

 仮差押えは、仮差押命令に表示された当事者またはその者が、他人のために当事者となっている場合における、その他人もしくは仮差押命令後の承継人に対してまたはこれらの者のために執行できる。
 仮差押えの執行は、仮差押命令の正本に基づいてなされるが、仮差押命令に表示された当事者以外の者に対しまたはその者のために仮差押えの執行をするには、その者に対し、またはその者のためにする承継執行文の付与を受けなければならない。

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 仮差押命令の執行については、仮差押命令を強制執行における債務名義とみなして、強制執行における規定を準用する。
 承継執行文の付与、数通付与、保証を立てたことの証明、執行文付与に対する異議の申立て、これに伴う執行停止の裁判、執行文付与の訴え、執行文付与に対する異議の訴え、執行文付与に対する異議の訴えの提起に伴う執行停止の裁判、第三者異議の訴え、仮差押えの執行の停止・取消し、仮差押執行後に債務者が死亡した場合の続行に関しては、すべて強制執行におけると同様に取り扱われる。
 仮差押えは、仮差押命令が言い渡された日または債権者が仮差押命令の送達を受けた日から2週間を経過したときは、執行できない。2週間以内に執行に着手すれば足り、期間内に執行を完了することを要しない。
 仮差押えは、仮差押命令が債務者に送達される以前であっても執行することができる。
 仮差押命令には、解放金額を記載することを要する。
 債務者が、仮差押命令に記載された解放金額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、仮差押えの執行は取り消される。この決定に対しては執行抗告はできず、またこの決定はただちに効力を生ずる。
 仮差押えは、差押えと同じく処分禁止の効力を生ずる。ただし、従来は、仮差押えは仮差押債権者の被保全債権の仮差押金額の限度で相対的にその効力を生ずるにとどまり、強制執行における差押えがその手続の行なわれるかぎり、その手続に対する関係では他の債権者に対する関係でも効力を有するのと異なるとされていた。すなわち、従来は、仮差押えは個別的相対的効力、差押えは手続的相対的効力を有するとして区別されていた。
 ところが、現法では、仮差押えにつき強制執行における差押えの効力に関する規定を準用し、すべて強制執行におけると同一に扱うことになった。
 すなわち、現法においては、仮差押えは差押えにおけると同様、仮差押えに続く仮差押債権者による強制執行がなされ、または他の債権者による強制執行が続いてなされた場合において、仮差押債権者の本執行移行への要件が証明されたとき、仮差押債権者が仮差押債権についての債務名義を取得したときなどは、仮処分禁止の効力は、その手続に対する関係においては他の債権者に対する関係においても生じ、仮差押後になされた債務者の処分はその手続に関するかぎり、すべて無視されるこどになる。
 その意味において、仮差押えにあってもその効力は、差押えにおけると同様、手続的相対効を生ずるといわれている。
 物の給付その他の作為・不作為を命ずる仮処分命令(係争物に関する仮処分と仮の地位を定める仮処分の両者を含む)の執行については、仮処分命令を債務名義とみなして、仮差押えの執行または強制執行の例による。
 すなわち、仮処分命令の執行は、仮差押命令の執行におけると同様、仮処分命令に表示された当事者またはその者が他人のために当事者となっている場合における、その他人もしくは仮処分命令後の承継人に対して執行でき、その執行は仮処分命令正本に基づいてする。仮処分命令に表示された当事者以外の者に対しまたはその者のために仮処分のレ執行をするには、その者に対しまたはその昔のためにする承継執行文の付与を要する。
 また、仮差押えにおけると同様、仮処分命令が言い渡された日または債権者が仮処分命令の送達を受けた日から2週間を経過したときは執行できない。2週間以内に執行に着手すれば足り期間内に執行を完了することを要しない。仮処分命令が債務者に送達される前であっても、これを執行することができることも同様である。
 仮処分の執行時なされると、仮処分の内容にしたがってその効力を生ずる。係争物に関する仮処分のうち、典型的なものとされる処分禁止の仮処分と占有移転禁止の仮処分にあっては、前者は処分禁止の効力を、後者は占有移転禁止の効力をそれぞれ生ずる。
 この仮処分に反してなされた処分または占有移転は、仮処分債権者の被保全権利との関係でその効力を否定される。
 仮処分債権者は、処分または占有移転があってもこれを無視し、仮処分債務者を相手にして本案訴訟を提起し勝訴すれば、仮処分後に目的物につき、処分を受けた者、占有移転を受けた者に対し、これらの者が確定判決以前の承継人であるにもかかわらず、これらの者を確定判決後の承継人と同視して、本案判決正本に承継執行文の付与を受けることにより強制執行できるに至る。ただし、不動産等に対する処分禁止の仮処分において、その登記がなされたときは、その仮処分登記後になされた登記権利者に対しては、承継執行文を要しないで、その登記を抹消することが認められている。このことは、仮処分により、本案訴訟の当事者を仮処分債務者とすれば足りることを意味し、この効力を仮処分の当事者恒定的効力という。
 そして、これらの同種の仮処分が他の債権者によって二重になされた場合には、先になされた仮処分に基づく強制執行が優先するに至る。すなわち、仮処分には順位保全的効力があるわけである。
 このように、係争物に関する仮処分のうち、2大典型の処分禁止、占有移転禁止の仮処分における処分禁止の効力、占有移転禁止の効力とは、それぞれ当事者恒定効、順位保全的効力をその内容とする。
 不動産または登記・登録をすることのできる船舶もしくはその他の財産権に対する処分禁止の仮処分については、これらに対する差押えまたは差押登記に関する規定が準用される。
 係争物に関する仮処分であっても、その内容が将来の執行にとっての前提をなす事実状態の維持にある場合には、これに違反する債務者の行為はそのつどこれを排除する必要があるし、仮の地位を定める仮処分にあっては、その内容が地位の仮定的形成にあって、その実現を妨げる債務者の一定の作為・不作為によりその実現を必要とするから、その違反行為もそのつど排除されることを要する。これらの排除については、この作為・不作為を命ずる仮処分命令を債務名義として、その執行をなすことになる。

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