納税の猶予

 国税を納付する義務が成立、確定した場合には、その国税を各税法に定める納期限までに納付しなければならず、その納付がないときは、強制徴収の手続が開始されるのが原則である。しかし、特定の理由がある場合には、いわゆる徴収緩和制度がとられることがある。納税の猶予は、この徴収緩和制度の一種である。
 納税の猶予は、災害等により損失を受けた場合の納税の猶予、災害等により納付困難な場合の納税の猶予、および課税が遅延した場合の納税の猶予の三つに区分されている。

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 次に掲げるすべての要件に該当するときは、下記に掲げる国税の全部または一部について納税の猶予をすることができる。
 震災、風水害、落雷、地すべり、噴火、干害、冷害その他の自然現象の異変による災害、火災、火薬類の爆発、ガス爆発、交通事故その他の人為による異常な災害、病虫害、鳥獣害その他の生物による異常な災害等により納税者が財産について相当な損失を受けたこと。
 その損失を受けた日以後1年以内に納付すべき特定の国税があること。
 上記の災害のやんだ日から2か月以内に.納税者から所定の事項を記載した書面により納税の猶予の申請がされたこと。
 猶予が受けられる国税は、次に掲げる国税で、災害による損失を受けた日以後1年以内に納付すべき国税である。
 源泉徴収等による国税ならびに申告納税方式による消費税のほか、特定の有価証券取引税、印紙税および登録免許税については、その災書のやんだ日の属する月の末日以前に納税義務の成立した国税で、納期限がその損失を受けた日以後に到来するもののうち、納税の猶予の申請の日前に納付すべき税額の確定したもの。
 予定納税に係る所得税、中間申告書の提出による納付すべき法人税で、その納期限がその損失を受けた日以後に到来するもの。
 納税の猶予の申請は、その災害のやんだ日から2か月以内に、納付すべき国税の年度、税目、納期限および金額、納付すべき国税の金額のうち猶予を受けようとする金額、財産の種類ごとの損失の程度その他の被害の状況、猶予を受けようとする期間、を記載した申請書を税務署長に提出して行う。
 上記の場合において、納税の告知がされていない源泉徴収等による国税については、その申請書に、その猶予を受けようとする月分の徴収高計算書等を添付しなければならない。
 なお、上記の添付書類については、登録免許税法第24条第1項に規定されている登録免許税について納税の猶予の申請書を提出する場合も同様である。
 猶予される期間は、猶予を受けようとする国税の納期限から1年以内の期間に限られる。ただし、予定納税に係る所得税または中間申告書の提出による納付すべき法人税については、それぞれ確定申告により税額が確定するものであるから、確定申告の期限までの期間に限られる。
 なお、具体的な猶予期間は、納税者の被害のあった財産の損失の状況および当該財産の種類を勘案して定めることとされている。
 税務署長は、納税の猶予をしたときは、その旨、猶予する金額その他必要な事項を納税者に通知しなければならない。また、納税の猶予を認めないときは、モの旨を納税者に通知しなければならない。
 次に掲げるすべての要件に該当するときは、国税のうちその納付困難と認められる金額を限度として、納税の猶予をすることができる。
 なお、上記の災害等により損失を受けた場合の納税の猶予をした場合において、その災害を受けたことの原因に基づいて、その猶予期間内に猶予をした金額を納付することができないと認められるときで、災害等により納付困難な場合の納税の猶予の要件に該当するときも、同様に猶予することができる。
 納税者について、次に掲げるいずれかの事実が生じていること、納税者がその財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、または盗難にかかったこと、納税者またはその者と生計を一にする親族が病気にかかり、または負傷したこと、納税者がその事業を廃止し、または休止したこと、納税者がその事業について著しい損失を受けたこと、上記に掲げる事実があったことに基因して納税者がその国税を一時に納付することができないと認められること、納税者から所定の事項を記載した書面により納税の猶予の申請がされたこと、税務署長が担保の徴取を必要と認めた場合において、担保の提供があったこと。
 災害等により納付困難な場合の納税の猶予の申請については、他の納税の猶予とは異なり、申請期限の制限はない。
 この納税の猶予の申請は、納付すべき国税の年度、税目、納期限および金額、納付すべき国税の金額のうち猶予を受けようとする金額、猶予を受けようとする期間、猶予を受けようとする理由、分割納付の方法により猶予を受けようとする場合には、その分割金額およびその金額ごとの猶予期間、猶予を受けようとする金額が50万円を超える場合には、提供しようとする担保の種類、数量、価額および所在その他担保に関し参考となるべき事項等を記載した申請書を提出して行う。
 猶予される期間は、1年以内の期間に限られる。この場合において、その猶予に係る金額を適宜分割し、その分割した金額ごとに猶予期間を定めることができる。
 なお、税務署長は、上記の猶予をした場合において、その猶予期間内にその猶予金額を納付することができないやむをえない理由があると認めるときは、納税者の申請に基づいて、その猶予期間を延長することができる。この場合の期間は、はじめの猶予をした期間とあわせて2年を超えることができない。具体的な猶予期間は、納税者の納付能力に応じて定められる。
 納税の猶予をする場合には、税務署長は、その猶予に係る金額に相当する担保を徴さなければならない。ただし、猶予に係る税額が50万円以下である場合または担保を徴することができない特別の事情がある場合は、担保を徴さなくてもよいこととされている。
 担保を徴する場合において、その猶予に係る国税についで既に滞納処分により差し押えた財産があるときは、その担保の額は、その猶予をする金額からその差し押えた財産の価額を控除した額を限度とすることとされている。
 納税者から納付委託があった場合において、その委託に係る有価証券の提供により納税の猶予に係る国税について担保の提供の必要がないと認められるときは、その認められる限度において担保の提供があったものとすることができる。
 税務署長は納税の猶予をし、またはその猶予の期間を延長したときは、その旨、猶予する金額、猶予する期間モの他必要な事項を納税者に通知しなければならない。また、納税の猶予またはその猶予の延長を認めないときは、その旨を納税者に通知しなければならない。

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