納付義務の承継

 国税は、本来の納税者によって履行されるべきものであるが、私法上の関係において権利義務の包括的承継かおるように、国税についてもその納税義務が承継される場合がある。
 この納税義務の承継形態としては、相続があった場合の納税義務の承継、法人が合併した場合の納税義務の承継、人格のない社団等に属する権利義務の包括承継があった場合の納税義務の承継、会社の更生計画による新会社の納税義務の承継がある。

スポンサーリンク

 法人が合併した場合には、合併後存続する法人または合併により設立した法人は、合併により消滅した法人の納税義務を承継する。合併法人が承継する国税および承継の効果は、相続による承継の場合と同様である。
 法人(人格のない社団等を含む)が、人格のない社団等の財産に属する権利義務を承継した場合には、その承継をした者は、その人格のない社団等の納税義務を承継する。この権利義務の承継が一部承継である場合には、按分計算した額の納税義務を承継する。
 相続があった場合に被相続人の納税義務を承継するのは、相続人(包括受選者を含む)、相続財産法人(相続開始の時に相続人のあることが明らかでない場合に相続財産が構成する法人)である。相続人のうちに胎児がある場合には、出生の時までは、その胎児は相続人でないものとして取り扱うこととされている。
 相続により承継される納税義務には、租税納付義務と租税申告(報告)義務がある。この租税納付義務には、被相続人に課されるべき国税、被相続人が納付すべき国税および彼相続人が徴収されるべき国税(いわゆる源泉徴収等の受忍義務の承継)がある。
 納付義務の承継者は、納税に関して被相続人が有していた税法上の地位を承継する。
 したがって、被相続人の国税に係る申告、請求、届出、不服申立て等の主体となり、また、督促、滞納処分等の相手方となるほか、被相続人の国税についてされていた納税の猶予、換価の猶予等の効力もそのまま承継する。
 相続人が限定承認をした場合には、相続人は相続によって得た財産の限度で納税義務を履行すればよい。
 単純承認をした場合において、相続人が2人以上あるときは、各相続人は、被相続人の国税を法定相続分、代襲相続分または指定相続分により按分して計算した額を承継する。
 この場合において、相続によって得た財産の価額が承継税額を超えている相続人は、その超える額を限度として、他の相続人の承継税額を納付する責(納付責任)に任ずる。
 私法上においては、相続等の一般承継があった場合には、権利義務の包括的承継が認められている。民事執行法上には、別段の定めはない。
 通則法の納税義務の承継に関する規定は、私法上における一般的な包括承継の確認的な面と私法上においては規定されていない事項の創設的な面(たとえば納付責任)の両者を包含している。
 2人以上の納税者が、同一の国税について、各自独立に全額を納付する義務を負う関係を連帯納付義務といい、たとえば、次のようなものがある。
 共有物、共同事業またはその事業に属する財産に係る国税は、その納税者が連帯して納付する義務を負う。
 徴収法第33条に規定する第二次納税義務者(無限責任社員)が2人以上ある場合には、その相互間で連帯して第二次納税義務を負う。
 連帯納付義務の効果等については、民法の連帯債務に関する規定が準用されている。
 連帯納付義務者の1人に対し、同時または順次にすべての者に対して納税の告知、督促および滞納処分をすることができる。
 連帯納付義務者の1人について生じた履行、充当、免除、時効の完成の効果は、連帯納付義務者の全員に及ぶ。
 上記以外のもの(たとえば、連帯納付義務者の1人についてされた差押えによる時効中断の効力)は、他の連帯納付義務者に対して効力を及ぼさない。

お金を借りる!

督促の意義/ 滞納者の財産の調査/ 差押えの意義/ 差押禁止財産/ 差押財産の選択/ 徴収法の財産の区分/ 差押え手続き/ 滞納処分による差押えがされている動産に対する強制執行/ 強制執行続行の決定/ 滞納処分による差押えがされている動産に対する仮差押え/ 滞納処分続行承認の決定/ 債権の差押え/ 各種の債権の差押え/ 強制執行による二重差押え/ 徴収職員の地位/ 滞納処分による差押えがされている債権に対する仮差押/ 強制執行による差押えがされている債権に対する滞納処分/ 第三債務者の地位/ 滞納処分による差押えがされている不動産に対する強制執行/ 強制執行による差押えされている不動産に対する滞納処分/ 船舶と航空機の差押え/ 強制執行による差押えがされている船舶と航空機に対する滞納処分/ 自動車・建設機械の差押え/ 強制執行による差押えがされている自動車と建設機械に対する滞納処分/ 財産の差押えの効力の発生時期/ 各種の財産に特有な差押えの効力ないし効果/ 差押えの解除/ 交付要求/ 参加差押え/ 差押え財産の換価/ 公売の手続き/ 売却決定と買受代金の納付/ 財産の権利移転手続き/ 売却決定の取消し/ 配当手続き/ 国税優先の原則/ 国税と質権の被担保債権/ 国税と抵当権の被担保債権/ 国税と留置権の被担保債権/ 差押の配当/ 第二次納税義務/ 納付義務の承継/ 譲渡担保財産からの徴収/ 担保権付財産が譲渡された場合の国税の徴収/ 繰上げ請求/ 保全担保/ 納税の猶予/ 課税が遅延した場合の納税の猶予/ 換価の猶予/ 滞納処分の停止/