第二次納税義務

 第二次納税義務の制度は、納税者の国税を徴収するために、納税者と特定の関係にある第三者に対して徴収権を拡張し国税徴収の確保を図ろうとする制度である。
 第二次納税義務は、納税者の財産について滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められるときにはじめて補完的に追及され、主たる納税者の納税義務に附従する義務である。
 なお、第二次納税義務は、限度の定めがないものと、限度の定めがあるものとに分類することができ、限度の定めがあるものは、はさらに、金銭限度のものと、物限度のものとに区分される。物限度の第二次納税義務は、その限度となっている財産について滞納処分を受けるだけで、その第二次納税義務者の他の財産からは徴収されない点で金銭限度の第二次納税義務と異なるのである。

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 主たる納税者の国税を第二次納税義務者から徴収しようとするときは、第二次納税義務者に対し、所定の事項を記載した納付通知書により告知しなければならない。この第二次納税義務者に対する納付通知書による告知は、抽象的に成立していた第二次納税義務を具体的に確定する効力を有するものであり、その意味で、この納付通知は、一種の租税賦課処分であるといえよう。
 なお、第二次納税義務者に対し納付通知書による告知を行った場合には、その者の住所または居所の所在地を所轄する税務署長に対してその旨を通知しなければならない。
 納付通知書により指定する納付の期限は、納付通知書を発する日の翌日から起算して1か月を経過する日であるが、繰上げ請求の事由がある場合には、納付の期限を繰り上げて、その納付を請求することができる。
 第二次納税義務者が納付通知書の納付の期限までに完納しないときは、繰上げ請求をする場合を除き、納付催告書によりその納付を督促しなければならない。この納付催告書は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、納付の期限から20日以内に発するものとされている。
 第二次納税義務者の財産の換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるときを除き、主たる納税者の財産を換価に付した後でなければ、行うことができない。
 また、第二次納税義務者が、納付通知書による告知、納付催告書による督促またはこれらに係る国税に関する滞納処分につき訴えを提起したときは、その訴訟の係属する間は、第二次納税義務者の財産の換価をすることができない。なお、不服申立中は、原則として、その財産を換価することができないが、これは、他の不服申立の場合と同様である。
 第二次納税義務者は、その履行をした場合には、主たる納税者に対して求債権を行使することができる。
 合名会社または合資会社の無限責任社員は、会社の債務について無限連帯の責任を負うが、合名会社または合資会社の国税についても一定の要件のもとに無限責任社員に第二次納税義務を負わせることができる。
 この第二次納税義務の成立の要件は、次のとおりである。
 合名会社または合資会社が国税を滞納したこと、その会社について滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること。
 第二次納税義務を負うのは、合名会社または合資会社の無限責任社員である。
 第二次納税義務の範囲は、合名会社または合資会社の滞納に係る国税の全額である。
 なお、無限責任社員が2人以上いる場合には、これらの者は、その相互間において連帯納税義務を負う。
 清算人は、法人の債務を完済した後でなければ残余財産の分配をしてはならないが、清算人がこれに反した場合等で、一定の要件に該当するときは、清算人等に第二次納税義務を負わせることができる。
 この第二次納税義務の成立の要件は、次のとおりである。
 法人が解散した場合において、その法人に課されるべき、またはその法人が納付すべき国税を納付しないで、清算人が残余財産の分配または引渡しをしたこと。
 その法人について滞納処分を執行して払なお徴収すべき額に不足すると認められること。
 第二次納税義務を負うのは、残余財産の分配または引渡しをした清算人およびその分配または引渡しを受けた者である。なお、残余財産の分配または引渡しをした清算人が無限責任社員である場合には、その者は無限責任社員としての第二次納税義務を負い、清算人としての第二次納税義務は負わない。
 清算人は分配または引渡しをした財産の価額の限度において、分配または引渡しを受けた者はその受けた財産の価額の限度において、滞納国税の第二次納税義務を負う。
 納税者の有している同族会社の株式等の換価ができない場合等、一定の要件に該当するときは、その同族会社に第二次納税義務を負わせることができる。
 この第二次納税義務の成立の要件は、次のとおりである。
 滞納者がその者を判定の基礎となる株主または社員として選定した場合に同族会社に該当する会社の株式または出資を有すること。この場合において、同族会社であるかどうかの判定は、納付通知書を発する時の現況による。
 滞納者が有する上記の株式または出資について、再度換価に付してもなお買受人がないこと、その譲渡について法律もしくは定款に制限があり、または株券もしくは端株券の発行がないため、譲渡するにつき支障があること、のいずれかの理由があること。
 滞納者の財産について滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められること。
 第二次納税義務を負うのは、上記の要件に該当する場合の同族会社である。
 滞納者の有する同族会社の株式または出資のうち、滞納国税の法定納期限の1年以上前に取得したものを除いたものの価額を限度として、滞納国税の第二次納税義務を負う。
 なお、この場合の株式または出資の価額の計算は、納付通知書を発する時における当該同族会社の正味資産の価額をその株式または出資の数で除した額を基礎とする。
 実質所得者課税が行われた場合等には、納税者でない者が財産の名義人となっているため徴収の確保ができない事態の生ずることがあり、このような場合において、一定の要件のもとに特定の者に第二次納税義務を負わせることができる。
 この第二次納税義務の成立の要件は、次のとおりである。
 納税者が実質所得者課税の原則等の規定により課された国税を滞納していること。なお、滞納者の国税のうちに実質所得者課税等に係る部分が含まれる場合には、実質所得者課税等に係る部分の国税の類は、当該滞納者の国税の課税標準類から実質所得者課税等に係る部分の国税がないものとした場合の課税標準類を控除した類が当該滞納者の国税の課税額のうちに占める割合を当該滞納者の国税の類に乗じて 得た金額とする。
 滞納者の財産について滞納処分を執行してもなお徽収すべき上記の国税に不足すると認められること。
 第二次納税義務を負うのは、実質所得者課税の原則等の規定による国税の賦課の基因となった収益が法律上帰属するとみられる者である。この「収益が法律上帰属するとみられる者」とは、実質所得者課税の場合には、所有権その他の財産権の名義人または事業の名義人等、通常であれば、その者がその財産または事業から生ずる収益を享受する者であるとみられる者をいい、所得の帰属推定による課税の場合には、事業所の属する法人をいう。
 収益が生じた財産(取得財産を含む)を限度として、滞納国税の第二次納税義務を負う。
 同族会社等の行為または計算の否認による課税が行われた場合には、会社に帰属すべき利益が社外流出しているため徴収の確保ができない場合かおり、このような場合において、一定の要件のもとに特定の者に第二次納税義務を負わせることができる。
 この第二次納税義務の成立の要件は、次のとおりである。
 納税者が同族会社等の行為または計算の否認の規定により課された国税を滞納していること。なお、滞納者の国税のうちに同族会社の行為または計算の否認に係る部分の国税が含まれている場合における当該行為または計算の否認に係る部分の国税の額の算出方法は、実質所得者課税等の課税額の第二次納税義務の項で述べたところと同様である。
 滞納者の財産について滞納処分を執行してもなお徽収すべき上記の国税に不足すると認められること。
 第二次納税義務を負うのは、同族会社の行為または計算の否認の規定により否認された納税者の行為につき利益を受けた者とされる者である。
 受けた利益の額を限度として、滞納国税の第二次納税義務を負う。この場合には、受けた利益が現存しているかどうかは問わない。
 納税者と特殊な関係にある者が、その財産を納税者の事業の用に供しており、実質的な共同事業とみられるような場合等、一定の要件に該当するときは、その財産の所有者に第二次納税義務を負わせることができる。
 この第二次納税義務の成立の要件は、次のとおりである。
 納税者の事業の遂行に欠くことができない重要財産を配偶者その他の親族等が有していること。
 重要財産に関して生ずる所得が納税者の所得となっていること。
 納税者が重要財産の供されている事業に係る国税を滞納していること。
 なお、滞納者の国税のうちに重要財産の供されている事業に係る部分の国税が含まれている場合における当該事業に係る国税の額の算出方法は、実質所得者課税等の課税額の第二次納税義務の狽で述べたところと同様である。
 納税者の財産について滞納処分を執行してもなお徽収すべき上記の国税に不足すると認められること。
 第二次納税義務を負うのは、次に掲げる者である。
 納税者が個人である場合には、その者と生計を一にする配偶者その他の親族で、その納税者の経営する事業から所得を受けている者。
 納税者が同族会社である場合には、その判定の基礎となった株主または社員。この場合において、納税者が同族会社であるかどうかは、その判定の基礎となった株主または社員が重要財産を有し、かつ、その財産に関して生ずる所得が納税者の所得となっている事実があった時において判定する。
 納税義務の範囲は重要財産(取得財産を含む)を限度として、滞納国税の第二次納税義務を負う。
 納税者がその事業を譲渡した場合で、一定の要件に該当するときは、その事業の譲受人に第二次納税義務を負わせることができる。
 この第二次納税義務の成立要件は、次のとおりである。
 納税者が、国税の法定納期限の1年前の日後において、事業を親族その他の特殊関係者に譲渡したこと。
 事業の譲受人が同一とみられる場所において、同一または類似の事業を営んでいること。
 納税者が譲渡した事業に係る国税を滞納していること。なお、滞納者の国税のうちに事業に係る部分の国税が含まれている場合における当該事業に係る部分の国税の額の算出方法は、実質所得者課税等の課税額の第二次納税義務の項で述べたところと同様である。
 納税者の財産について滞納処分を執行してもなお徴収すべき上記の国税に不足すると認められること。
 第二次納税義務を負うのは、納税者から事業の譲渡を受けた親族等の特殊関係者である。
 譲渡財産(取得財産を含む)を限度として、滞納国税の第二次納税義務を負う。
 納税者がその財産を無償または著しい低額で譲渡したため徴収の確保ができない場合等、一定の要件に該当するときは、その譲渡等により利益を受けた者に第二次納税義務を負わせることができる。
 この第二次納税義務の成立の要件は、次のとおりである。
 納税者が、その財産につき、無償または著しい低額の譲渡(担保の目的でする譲渡を除く)、債務の免除その他第三者に利益を与える処分をしたこと。ただし、国および公共法人に対するものは除く。
 上記の処分が、国税の法定納期限の1年前の日以後にされたものであること。
 納税者が国税を滞納しており、その財産について滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められること。
 上記の国税に不足すると認められることが、上記の無償譲渡等の処分に基因すると認められること。
 第二次納税義務を負うのは、無償譲渡等の処分により権利を取得し、または義務を免れた者である。
 次に掲げる限度において、滞納国税の第二次納税義務を負う。
 納税者の親族その他の特殊関係者の場合には、無償譲渡等の処分により受けた利益の限度。この利益の額が消失したかどうかは問わない。
 人格のない社団等は、その名義による登記が認められておらず、人格のない社団等に属する登記を要する財産は他人の名義とされることとなり、このような場合には、一定の要件のもとにその登記の名義人に第二次納税義務を負わせることができる。
 この第二次納税義務の成立の要件は、次のとおりである。
 人格のない社団等が国税を滞納したこと。
 人格のない社団等の財産で、第三者がその財産の名義人となっているため、その第三者に法律上帰属するとみられる財産があること。
 人格のない社団等に属する財産について滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められること。
 第二次納税義務を負うのは、人格のない社団等に属する財産で第三者の名義人となっているもののその名義人である。
 上記の第三者の名義となっている財産を限度として、滞納国税の第二次納税義務を負う。

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