差押の配当

 差押国税を中心とした原則的な配当順位を一覧表にまとめると、次のとおりです。
 第1(最優先) - 直接の滞納処分費、滞納処分に伴う消費税・木材引取税等、留置権、特別の場合の前払借賃、不動産保存の先取特権等徴収法弟19条の先取特権。
 第2グループ(優先) - 質権、抵当権、不動産賃貸の先取特権等徴収法第20条の先取特権、担保のための仮登記で、国税の法定納期限等以前か、財産の譲受前か、いずれかにあったもの、担保権付の国税、地方税。
 第3グループ - 差押国税。
 第4グループ(劣後) - 質権、抵当権、不動産賃貸の先取特権等徴収法弟20条の先取特権、担保のための仮登記で、国税の法定納期限等後にあったもの、交付要求の国税、地方税、交付要求の公課。
 第5グループ(残余金) - 特別の場合の損害賠償請求権、滞納者(特定の譲渡担保権者を含む)、滞調法の適用がある場合の執行官または執行裁判所。
 なお、実際にこの配当順位が問題となるのは、換価代金等の額が配当を受けることのできる債権の総額に不足するときである。

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 交付要求をした国税、地方税または公課の徴収をする官公署、差押財産に係る質権、抵当権、先取特権、留置権または担保のための仮登記により担保される債権を有する者および特別の場合の前払借賃または損害賠償請求権に係る債権を有する者は、売却決定の日の前日までに所定の事項を記載した債権現在額申立書を税務署長に提出しなければならない。
 上記の債権現在額申立書が提出された場合には、税務署長は、その債権現在額申立書を調査してその債権額を確認する。
 なお、登記がされた質権、抵当権もしくは先取特権により担保される債権または担保のための仮登記により担保される債権を有する者、登記をすることができない質権もしくは先取特権または留置権により担保される債権を有する者で知れているもの、および特別の場合の前払借賃または損害賠償請求権に係る債権を有する者で知れているもの、が債権現在額申立書を提出しないときは、税務署長が調査をしてその債権額を確認するものとされている。
 配当が受けられない場合、登記することができない質権もしくは先取特権または留置権によって担保される債権で知れていないもので、その債権者がその財産の売却決定の時までに債権現在額申立書を提出しないときは、その者は、配当を受けることができない。
 民事執行法における取扱い、執行裁判所により配当期日が定められたときは、裁判所書記官は、各債権者に対し、債権の元本、配当期日までの利息その他の附帯の債権および執行費用の額を記載した計算書を1週間以内に執行裁判所に提出するよう催告しなければならないこととされている。なお、動産執行の場合で、債権者間に協議が調わないときは、執行官はその事情を裁判所に届け出て、執行裁判所が配当を実施することになるが、この場合においては、上記と同様に、裁判所書記官が計算書の提出を催告することとなる。
 税務署長は、換価代金等を上記により確認した者に配当しようとするときは、所定の事項を記載した配当計算書を作成し、その換価財途の買受代金の納付の日から3日以内に、次に掲げる者に対する交付のため、その謄本を発送しなければならない。
 債権現在額申立書を提出した者、債権現在額申立書の提出がないため、税務署長が金額を確認した債権を有する者、滞納者。
 執行裁判所は、配当期日において、配当等を受けるべき債権者および債務者を呼び出し、配当表を作成するが、この配当表には、売却代金の額のほか、各債権者について、債権の元本、利息その他の附帯の債権、執行費用の額ならびに配当の順位および額を記載しなければならない。配当の順位および額は、配当期日においてすべての債権者間に合意が成立した場合にはその合意により、その他の場合には民法、商法その他の法律の定めるところにより記載される。
 換価代金等の交付期日は、配当計算書の謄本を交付のため発送した日から起算して7日を経過した日としなければならない。ただし、配当に参加している私債権者がない場合には、この期間を短縮することができる。なお、短縮にあたっては、交付期日が配当に関する異議の期限または換価代金等の配当についての異議申立の期限とされているところから、その異議または異議申立の機会を奪うことのないよう配慮する必要がある。
 この換価代金等の交付期日は、配当計算書の謄本を交付する場合に、その謄本に附記して告知しなければならない。
 強制競売に係る財産の代金が納付されたときは、執行裁判所は、配当期日を定めなければならないが、この配当期日は、原則として代金が納付された日から1か月以内の日としなければならない。
 なお、動産執行の場合には、執行官は、売得金の交付を受けたとき、金銭を差し押えたときまたは手形等について支払を受けたときにおいては、2週間以内の日を配当協議の日と定め、各債権者に対し、その日時および場所を通知しなければならない。配当協議が調わず、執行裁判所が配当を実施する場合には、不動産等と同様の取扱いとなる。
 換価代金等は、配当計算書に従って換価代金等の交付期日に交付されるが、配当計算書に関して、換価代金等の交付期日までに異議の申出があった場合には、次により処理することとされている。
 異議が配当計算書に記載された国税、地方税または公課の配当金額に対するものであるときは、その行政校閲等からの通知に従い、配当計算書を更正して交付するか、または更正しないで直ちに交付する。
 異議が配当計算書に記載された国税、地方税または公課の配当金額を変更させないものである場合には、その異議に関係を有する者および滞納者がその異議を正当と認めたとき、またはその他の方法で合意したときは、配当計算書を更正して交付し、この処理ができないときは、交付すべき金銭を供託する。
 異議が配当計算書に記載された国税、地方税または公課の配当金額を変更させるその他の債権の配当金額に関するものである場合には、次の処理をする。
 異議に関係を有する者および滞納者がその異議を正当と認めたとき、またはその他の方法で合意したときは、配当計算書を更正して交付する。
 上記の合意がなかったときは、その異議を参酌して配当計算書を更正して交付する。
 異議につき相当の理由がないと認めるときは、国税、地方税または公課の金額については直ちに交付し、その他の債権に交付すべき金銭は供託する。
 配当表に記載された各債権者の債権または配当の順について不服のある債権者または債務者は、配当期日において、配当異議の申出をすることができる。この場合、執行裁判所は、配当異議の申出のない部分については、配当を実施しなければならない。
 配当期日において配当異議の申出をしただけでは、現実の配当を阻止することはできず、配当異議の申出をした債権者および執行力のある債務名義の正本を有しない債権者に対し配当異議の申出をした債務者は、配当異議の訴えを提起しなければならない。執行力のある債務名義の正本を有する債権者に対し配当異議の申出をした債務者は、請求異議の訴えを提起しなければならない。配当異議の申出をした債権者または債務者が、配当期日から1週間以内に、執行裁判所に対し、配当異議の訴えを提起したことの証明およびその訴えに係る執行停止の裁判の正本の提出をしないときは、配当異議の申出は取り下げられたものとみなされる。
 次に掲げる場合には、その交付すべき金銭を供託する。
 配当計算書に関する異議処理をした場合において、それにより交付することができない場合。
 配当すべき債権が停止条件付である場合。
 配当すべき債権が仮登記がされた質権、抵当権もしくは先取特権により担保される債権である場合。
 配当すべき債権の弁済期が到来していない場合。
 配当金額を受領すべき者が、受領を拒んだ場合その他交付することができない場合。
 上記により供託したときは、供託した旨を異議に関係を有する者または債権者に通知しなければならない。
 配当等を受けるべき債権者の債権について次に掲げる事由があるときは、裁判所書記官は、その配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。配当等の受領のために執行裁判所に出頭しなかった債権者に対する配当等についても同様である。
 停止条件付または不確定期限付であるとき、仮差押債権者の債権であるとき、強制執行の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の正本が提出されているとき、その債権に係る先取特権、質権または抵当権の実行を一時禁止する裁判の正本が提出されているとき、その債権に係る先取特権、質権または抵当権が仮登記されたものであるとき、仮差押えまたは執行停止に係る差押えの登記後に登記された先取特権、質権または抵当権があるため配当額が定まらないとき、配当異議の訴えが提起されたとき。
 換価代金等を供託した場合において、弁済期が到来していない場合の供託および配当金額を受領すべき者が受領を拒んだ場合等の供託は、ともに弁済の効力を生じ、配当手続は終了する。その他の供託をした場合の事後の処理手続は、次のとおりである。
 配当計算書に関する異議処理としての供託、供託後、確定判決、異議に関係を有する者の全員の同意その他の理由により、換価代金等の交付を受けるべき者および金額が明らかになったときは、これに従って配当しなければならない。
 この供託後の配当は、税務署長は、その配当を受けるべき者に配当額支払証を交付するとともに、供託所に支払委託書を送付する。そして、供託所は、上記の支払委託言に基づいてその支払を行う。
 債権が停止条件付である場合の供託。
 この供託をした後その停止条件が成就した場合には、それに従って配当することとなる。この場合における配当額支払証の交付等の処理手続は、上記の場合と同様である。
 仮登記がされた質権、抵当権もしくは先取特権により担保される債権である場合の供託、この供託をした場合において、その仮登記に基づき本登記がされた場合には、それに従って配当することとなる。この場合における配当額支払証の交付等の処理手続は、上記の場合と同様である。
 配当等の額が供託された場合において、その供託の事由が消滅したときは、執行裁判所は、供託金について配当を実施することとなる。この配当を実施すべき場合において、債権者、仮差押債権者もしくは執行を停止された差押債権者に対して配当を実施することができなくなったとき、または債権者が債務者の提起した配当異議の訴えにおいて敗訴したときは、執行裁判所は、配当異議の申出をしなかった債権者のためにも配当表を変更しなければならない。

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