売却決定の取消し

 売却決定を取り消さなければならない場合または取り消すことができる場合は、次のとおりである。
 買受代金納付前に完納証明があった場合の取消し、換価の基礎となった国税の完納の事実が、買受人の買受代金の納付前に証明されたときは、税務署長は、売却決定を取り消さなければならない。この完納の証明は、納税者が、税務署長に対し国税の領収証書その他その完納の事実を証する書面を呈示することにより行うものとされている。
 買受代金の納付がない場合の取消し、買受人が、買受代金をその納付の期限までに納付しないときは、税務署長は、その売却決定を取り消すことができる。
 買受人による買受け等の取消し、換価財産について売却決定をした場合において、活用法第105条第1項ただし書その他の法律の規定に基づいて滞納処分の続行の停止があったときは、買受人は、その停止している間は、買受けを取り消すことができる。
 公売実施の適正化のための措置の規定の適用による取消し、買受人について、公売への参加制限に該当する行為があったときは、最高価申込者の決定を取り消すことができ、これを取り消したときは、売却決定を取り消すことになる。
 不服申立等に対する決定等による取消し、滞納処分手続について不服中立て等があったときにおける当該不服申立に対する決定・裁決による取消し、確定判決による取消しがある。
 買受人が代金を納付しないときは、売却許可決定は効力を失う。
 買受人は、買受けの申出をした後天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産等が損傷した場合には、執行裁判所に対し、代金を納付する時までに売却許可決定の取消しの申立てをすることができる。ただし、不動産等の損傷が軽微であるときは、この限りでないとされている。

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 不動産等についての公売公告から売却決定までの処分に欠陥があることを理由として滞納処分に関する不服申立てがあった場合において、その処分は違法ではあるが、次に掲げる場合に該当するときは、その不服申立てを棄却することができる。この場合には、決定・裁決において、その処分が違法であることおよび不服申立てを棄却する理由を明示しなければならず、また、その棄却は、損害賠償の請求を妨げるものではない。
 その不服申立てに係る処分に続いて行われるべき後行処分が既に行われている場合において、その不服申立てに係る処分の違法が軽微なものであり、その径行処分に影響を及ぼさせることが適当でないと認められるとき。
 換価した財産が公共の用に供されている場合その他その不服申立てに係る処分を取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合で、その不服申立てをした者の受ける損害の程度、その損害り賠償の程度および方法その他一切の事情を考慮してもなおその処分を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認められるとき。
 換価をした動産または有価証券に係る売却決定の取消しは、これをもって買受代金を納付した善意の買受人に対抗することができない。したがって、買受人から換価財産を取り戻すことはできない。この場合においては、損害が生じた者があるときには、その生じたことについてその者に故意または過失があるときを除き、国は、その通常生ずべき損失の額を賠償する責めに任ずる。なお、損害賠償をした場合において、他に損害の原因について責めに任ずべき者があるときは、国は、その者に対して求債権を行使することとなる。
 売却決定を取り消したときは、換価代金を買受人に返還しなければならない。
 売却決定を取り消した場合において、その取消しの理由が、買受人が買受代金をその納付の期限までに納付しないことに基づくときは、買受人の納付した公売保証金は、その公売に係る国税にあて、なお残余があるときは、これを滞納者に交付することとなる。
 売却決定を取り消したときは、税務署長は、権利の移転の登記(または登録)のまっ消を嘱託しなければならない。
 売却決定を取り消したときは、税務署長は、換価に伴いまっ消された質権、抵当権その他の権利の登記(または登録)の回復の登記(または登録)の嘱託をしなければならない。
 売却決定を取り消した場合において、上記により嘱託した回復の登記(または登録)に係る質権者、抵当権者または先取特権者に対し換価代金等から配当した金額があるときで、これらの者がその金額を返還しないときは、税務署長は、その金額を限度として、これらの担保権者に代位することができる。この場合において、配当した金額がその担保権により担保される債権の一部であるときは、税務署長は、その代位した債権者の承諾を要しないで、その代位に係る権利を行使し、かつ、その債権者に優先して弁済を受けることができる。

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