売却決定と買受代金の納付

 売却決定は、公売財産について滞納者と最高価申込者との間に売買契約を成立させる効果をもつもので、買受人は、売却決定により買受代金の納付義務を負い、税務署長は、権利移転手続をする義務を負うことになる。
 売却決定をすべき日は、公売財産が、動産、有価証券であるときは、公売をする日、または随意契約による売却をする日であり、その他の財産(不動産等)である場合は、公売をする目から起算して7日を経過した日である。
 公売の基礎となった国税の完納が判明した場合はもちろん、公売参加制限等の適正化の措置により最高価申込者の決定が取り消された場合等は、売却決定はしないことになる。
 買受人は、買受代金をその納付の期限までに現金で納付しなければならない。この納付の期限は、売却決定の日であるが、税務署長は、必要があると認めるときは、10日以内の期間に限って延長することができる。
 民事執行法においても徴収法と同様な売却決定が行われるが、不動産等に係る買受代金の納付の期限は、売却許可決定が確定した日から1か月以内の日とされている。

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 買受代金の納付に伴う効果、換言すれば換価の効果としては、権利の移転、担保権その他の権利の消滅、法定地上権等の成立があります。
 買受人は、買受代金を納付した時に換価財産を取得する。この買受人の権利取得の形態は、原始取得ではなく、滞納者から買受人への承継取得であると解されている。
 民事執行法において払買受人の権利取得の時期は、代金を納付した時である。
 なお、権利の移転については、農地、鉱業権のように都道府県知事の許可、関係機関の登録または承認がなければ、その効力が生じないものがある。
 買受人が買受代金を納付したときは、換価財産上の次に掲げる担保権等は、消滅する。ただし、不動産、船舶、航空機、自動車または建設機械を換価する場合において、特定の条件のもとにその財産上の質権、抵当権または先取特権に関する負担を買受人に引き受けさせる方法により換価した場合には、その引受けに係る担保権は消滅しない。
 質権、抵当権、先取特権、留置権、担保のための仮登記に係る権利。
 上記の仮登記に基づく本登記(本登録を含む)で、その財産の差押え後にされたもの。
 譲渡担保権者の物的納税責任に基づいて譲渡担保財産に対して滞納処分を執行した場合において、滞納者がした再売買の予約の仮登記があるときのその仮登記により保全される請求権。
 差押財産が換価された場合には、仮差押えの効力は消滅し、また、換価に抵触する仮処分の効力も消滅する。
 換価財産につき差押え後に取得した所有権、担保権および用益物権その他の権利は、換価によって消滅する。
 換価財産が不動産、船舶等登記を対抗要件または効力要件とする財産で、その財産上に差押えの登記前に第三者に対抗できる地上権その他の用益物権、買戻権、賃借権等がある場合には、これらの用益物権等は、換価によっても消滅しない。ただし、これらの第三者に対抗できる用益物権等であっても、これらの権利の設定前に換価によって消滅する質権、抵当権、先取特権等がある場合には、その用益物権等も消滅する。
 土地または建物等を換価した場合において、これらが次に掲げるすべての要件に該当するときは、その建物等について法定地上権が成立する。
 土地および建物等がともに滞納者の所有に属していること、土地または建物等が滞納処分により差し押えられたこと、その滞納処分による換価によりこれらの所有者を異にすることになったこと。
 地上権およびその目的となる土地の上にある建物等が滞納者の所有である場合には、上記の場合と同様に法定賃借権が成立する。
 民事執行においても徴収法と同様に取り扱われる。
 民事執行法においては、次のように定められている。
 先取特権、使用および収益をしない旨の定めのある質権ならびに抵当権は、売却により消滅する。
 上記により消滅する権利を有する者、差押債権者または仮差押債権者に対抗することができない権利の取得は、売却によりその効力を失う。
 差押え、仮差押えの執行および上記により消滅する権利を有する者、差押債権者または仮差押債権者に対抗することができない仮処分の執行は、売却によりその効力を失う。
 留置権ならびに使用および収益をしない旨の定めのない質権で上記の適用がないものについては、買受人は、これらによって担保される債権を弁済する責めに任ずる。
 利害関係を有する者が最低売却価額が定められる時までに、上記に述べたところと異なる合意をした旨の届出をしたときは、売却による財産の上の権利の変動は、その合意に従う。

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