差押えの解除

 差押えの解除は、撤回の性質を有するもので、既に生じている差押えの効力を将来に向かって失わせる処分である。これに対し、差押えの取消しは、差押えの解除とは異なり、差押えの時に遡って差押えの効力を失わせるもので、この手続は、差押解除の場合に準じて行われている。
 なお、差押えの基礎とした国税の一部について、それを除外するための税額の解除もありうるが、この場合には、差押財産自体の差押えの解除がされるわけではない。

スポンサーリンク

 差押えを解除しなければならない場合としては、次に掲げる場合のほか、滞納処分の停止をした場合、差押換えの請求を相当と認めた場合などがある。
 納付、充当、更正の取消しその他の理由により差押えに係る国税の全額が消滅したとき。
 差押財産の価額がその差押えに係る滞納処分費および差押えの基礎となった国税に優先する債権との合計額を超える見込みがなく、差押えが無益なものとなったとき。なお、民事執行法の場合にも同様な規定がある。
 差押えの解除ができる場合としては、次に掲げる場合のほか、納税の猶予をした場合で納税者から申請があったとき、不服申立人が担保を提供して差押えの解除を求めたときなどがある。
 差押えの基礎となった国税の一部の納付、充当、更正の一部の取消し、差押財産の値上りその他の理由により、差押財産の価額が差押えの基礎となった国税とその国税に優先する債権の合計額を著しく超過すると認められるに至ったとき。
 滞納者が他に差し押えることができる適当な財産を提供した場合において、その財産を差し押えたとき。
 差押えの解除は、滞納者に対して差押えを解除する旨を通知することによって行うのが原則であるが、差押財産が債権および第三債務者等のある無体財産権等である場合には、第三債務者等に対してその旨を通知することによって行う。差押解除の効力は、この差押えを解除する旨の通知書が滞納者または第三債務者等に送達された時に発生する。
 税務署長は、債権または第三債務者等がある無体財産権等の差押えを解除した場合には、その旨を滞納者に通知する。
 税務署長は、差押えの解除をした財産上の質権等の権利者のうち知れている者および交付要求をしている者に対して、差押解除の旨その他必要な事項を通知しなければならない。
 徴収職員は、封印、公示書その他差押えを明白にするための表示をしている財産の差押えを解除したときは、その表示を除去しなければならない。ただし、滞納者またはその財産を占有する第三者に行わせることもできる。
 徴収職員は、差押えの解除をした場合において、その占有していた財産があるときは、その財産を返還(引渡し)しなければならない。この返還は、更正の取消しその他国の責めに帰すべき理由による場合は、差押えの当時に財産が存在した場所において、その他の場合は、差押えを解除した時に差押財産が存在する場所において、それぞれ行う。
 返還すべき相手方は、原則的には滞納者であるが、差押当時に滞納者以外の第三者が占有していたものについては、その第三者から滞納者に対して引渡しをすべき旨の申出がない限り、その第三者に引き渡さなければならない。
 税務署長は、不動産その他差押えの登記(または登録)をした財産の差押えを解除したときは、その登記のまっ消を関係機関に嘱託しなければならない。
 二重差押えのされた動産について滞納処分による差押えを解除すべきときは、徴収職員は、すみやかに執行官に対し「差押財産引渡通知書」により通知し、その動産を執行官に引き渡さなければならない。
 ただし、徴収職員が滞納処分による差押えをした際、債権者および債務者以外の第三者が占有していた動産で、その第三者が執行官に引き渡すことを拒否したものは、その第三者に引き渡さなければならない。
 二重差押えがされた動産につき滞納処分による差押えを解除すべき場合において、その動産につき強制執行による差押え前に参加差押えがされているときにおいても、その動産は執行官に引き渡さなければならない。この参加差押えが、強制執行による差押え後にされた場合にも、同様である。
 ただし、但書の動産については、参加差押えに係る行政機関等に引き渡さなければならない。
 徴収職員が滞納処分による差押えをした後、仮差押えが執行された動産について滞納処分による差押えを解除すべき場合にも上記の本文と同様に、その動産を執行官に引き渡さなければならない。ただし、その動産について参加差押えがされているときは、その動産は参加差押えに係る行政機関等に引き渡さなければならない。
 滞納処分による差押え後に強制競売もしくは競売の開始決定または仮差押えの執行がされた不動産等(不動産、船舶、航空機、自動車または建設機械)について滞納処分による差押えを解除したときは、執行裁判所にその旨を通知しなければならない。
 徴収職員は、上記の通知をした場合において、徴収法第81条の規定により、開法第55条に掲げる者のうち知れている者および交付要求をしている者に対し差押解除の通知をするときは、その不動産等につき強制競売の開始決定等がされている旨をも通知しなければならない。
 船舶、航空機、自動車または建設機械の差押えを解除した場合において、徴収職員が、船舶国籍証書等もしくは航空機登録証明書等を取り上げ、または自動車もしくは建設機械を占有しているときは、それらを執行裁判所に引き渡さなければならない。
 滞納処分による差押えをした後に強制執行等による差押命令または仮差押えの執行がされた金銭債権について滞納処分による差押えを解除したときは、執行裁判所にその旨を通知する。また、徴収法第55条に掲げる者のうち知れている者および交付要求をしている者に対する通知事項については、上記と同様である。
 なお、次に掲げる場合には、それぞれに掲げる手続をしなければならない。
 供託された金銭債権について差押えを解除した場合。供託に係る金銭債権について、滞納処分による差押えの全部を解除したときは供託書正本を、その一部を解除したときは「供託書正本の保管を証する書面」を、執行裁判所に対する解除通知書に添付しなければならない。
 動産の引渡請求権について差押えを解除した場合。動産の引渡請求権について、執行官から民事執行法弟163条第1項の申立てがあった旨の通知がされており、かつ、徴収職員がその取立てをしているときは、その動産を執行官に引き渡さなければならない。
 なお、徴収職員は、上記の引渡し前に、徴収法第81条に規定する者に対し、執行官に動産を引き渡す旨、その日時等を通知し、配当参加の機会を与える。
 条件付等債権について、債権証書を取り上げているときは、それを執行裁判所に対する解除通知書に添付しなければならない。

お金を借りる!

督促の意義/ 滞納者の財産の調査/ 差押えの意義/ 差押禁止財産/ 差押財産の選択/ 徴収法の財産の区分/ 差押え手続き/ 滞納処分による差押えがされている動産に対する強制執行/ 強制執行続行の決定/ 滞納処分による差押えがされている動産に対する仮差押え/ 滞納処分続行承認の決定/ 債権の差押え/ 各種の債権の差押え/ 強制執行による二重差押え/ 徴収職員の地位/ 滞納処分による差押えがされている債権に対する仮差押/ 強制執行による差押えがされている債権に対する滞納処分/ 第三債務者の地位/ 滞納処分による差押えがされている不動産に対する強制執行/ 強制執行による差押えされている不動産に対する滞納処分/ 船舶と航空機の差押え/ 強制執行による差押えがされている船舶と航空機に対する滞納処分/ 自動車・建設機械の差押え/ 強制執行による差押えがされている自動車と建設機械に対する滞納処分/ 財産の差押えの効力の発生時期/ 各種の財産に特有な差押えの効力ないし効果/ 差押えの解除/ 交付要求/ 参加差押え/ 差押え財産の換価/ 公売の手続き/ 売却決定と買受代金の納付/ 財産の権利移転手続き/ 売却決定の取消し/ 配当手続き/ 国税優先の原則/ 国税と質権の被担保債権/ 国税と抵当権の被担保債権/ 国税と留置権の被担保債権/ 差押の配当/ 第二次納税義務/ 納付義務の承継/ 譲渡担保財産からの徴収/ 担保権付財産が譲渡された場合の国税の徴収/ 繰上げ請求/ 保全担保/ 納税の猶予/ 課税が遅延した場合の納税の猶予/ 換価の猶予/ 滞納処分の停止/