各種の財産に特有な差押えの効力ないし効果

 徴収職員は、差し押えた動産を滞納者またはそれを使用、収益をする権利を有する第三者に保管させる場合において、国税の徴収上支障がないと認めるときは、その使用または収益を許可することができる。
 徴収職員が金銭を差し押えたときは、その限度において、滞納者から差押えに係る国税を徴収したものとみなされる。
 執行官は、差し押えた動産を債務者またはそれを占有していた債務者以外の者に保管させる場合において、相当であると認めるときは、その使用を許可することができる。

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 有価証券を差し押えたときは、徴収職員は、その有価証券に係る金銭債権の取立てをすることができ、この取立てをしたときは、その限度において、滞納者から差押えに係る国税を徴収したものとみなされる。
 執行官は、手形等を差し押えた場合において、支払のための呈示または支払の請求をする期間の始期が到来したときは、債務者に代わって手形等の提示等をしなければならない。
 給料もしくは年金またはこれらに類する継続収入の債権の差押えの効力は、徴収すべき国税の額を限度として、差押え後に収入すべき金額に及ぶ。したがって、各支払期ごとの金額を各別に差し押える必要はない。
 徴収職員は、差し押えた債権の取立てをすることができる。この場合において取り立てたものが金銭以外のものであるときは、徴収職員は、これを差し押えなければならない。徴収職員が金銭を取り立てたときは、その限度において、滞納者から差押えに係る国税を徴収したものとみなされる。
 なお、差押えの一般的効力のうちの処分禁止の効力は、債権差押えの場合には、滞納者については、差押え後にその債権の取立て、譲渡、免除等の処分の禁止という形態となってあらわれ、第三債務者については、差押え後にその債権の滞納者への履行の禁止という形態となってあらわれる。
 金銭債権を差し押えた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から1週間を経過したときは、差押債権者の債権額および執行費用を限度として、その債権を取り立てることができ、差押債権者が第三債務者から支払を受けたときは、その債権および執行費用は、支払を受けた額の限度で、弁済されたものとみなされる。
 差押債権者は、執行裁判所に対し、転行命令を申し立てることができる。差押命令および執行命令が確定した場合においては、差押債権者の債権および執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなされる。
 差し押えられた債権が、条件付もしくは期限付であるとき、または反対給付に係ることその他の事由によりその取立てが困難であるときは、差押債権者は、執行裁判所に対して譲渡命令、売却命令または管理命令を申し立てることができる。譲渡命令の効力は、転付命令で述べたところが準用される。なお、譲渡命令において定めるべき価額が差押債権者の債権および執行費用の額を超えるときは、執行裁判所は、譲渡命令を発する前に、差押債権者にその超える順に相当する金銭を納付させなければならず。譲渡命令が効力を生じたときは、執行裁判所は、その納付された金銭を債務者に交付する。
 船舶の引渡請求権を差し押えた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から1週間を経過したときは、第三債務者に対し、船舶の所在地を管轄する地方裁判所の選任する保管人にその船舶を引き渡すべきことを請求することができ、保管人が引渡しを受けた船舶の強制執行は、船舶執行の方法により行うこととなる。
 動産の引渡請求権を差し押えた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から1週間を経過したときは、第三債務者に対し、差押債権者の申立てを受けた執行官にその動産を引き渡すべきことを請求することができ、執行官は、動産の引渡しを受けたときは、動産執行の売却の手続によりこれを売却し、その売得金を執行裁判所に.提出することとなる。
 滞納者または差し押えた不動産につき使用または収益をする権利を有する第三者は、不動産が差し押えられた後においても、通常の用法に従い、その不動産を使用または収益をすることができる。ただし、税務署長は、不動産の価値が著しく減耗する行為がされると認められるときに限り、その使用または収益を制限することができる。
 債務者は、通常の用法に従って、差し押えられた不動産を使用し、または収益することができる。
 債務者に対する使用または収益の制限は、売却のための保全処分、最高価買受申出人または買受人のための保全処分、という形であらわれる。
 債務者が、不動産の価格を著しく減少する行為をするとき、またはそのおそれがある行為をするときは、執行裁判所は、差押債権者の申立により、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせ、または立てさせないで、債務者に対し、これらの行為を禁止し、または一定の行為を命ずることができる。債務者がこの命令に違反したときは、執行裁判所は、保全処分を申し立てた差押債権者の申立により、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせて、債務者に対し、不動産に対する占有を解いて執行官に保管させるべきことを命ずることができる。なお、事情の変更があったときは、執行裁判所は、上記の命令に係る決定を取り消し、または変更することができる。
 債務者が、不動産の価格を減少させ、もしくは引渡しを困難にする行為をし、またはこれらの行為をするおそれがあるときは、執行裁判所は、高価買受申出人または買受人の申立により、引渡命令の執行までの間、代金またはその額に相当する金銭を納付させ、かつ、担保を立てさせ、または立てさせないで、債務者に対し、これらの行為を禁止し、一定の行為を命じ、または不動産に対する占有を解いて執行官に保管させるべきことを命ずることができる。なお、事情の変更があったときの保全処分の取消しまたは変更については、上記の場合と同様である。
 停泊中の船舶もしくは航空機または滞納処分のため必要があるとして船舶もしくは航空機を一時停泊させた場合において、営業上の必要その能相当の理由があるときは、滞納者ならびにこれらにつき交付要求をした者および抵当権その他の権利を有する者の申立てにより、航行を許可することができる。この航行の許可の申立ては、これらの者が所定の事項を記載して連署した書面でしなければならない。
 執行裁判所は、営業上の必要モの能相当の事由があると認める場合において、各債権者ならびに最高価買受申出人または買受人および次順位買受申出人の同意があるときは、債務者の申立により、船舶または航空機の航行を許可することができる。
 徴収職員が占有し、または滞納者もしくは占有している第三者に保管させた自動車または建設機械について営業上の必要その能相当の理由があるときは、滞納者ならびにこれらにつき交付要求をした者および抵当権その他の権利を有する者の申立てにより、その運行または使用を許可することができる。この運行または使用の許可の申立ては、これらの者が所定の事項を記載して連署した書面でしなければならない。
 執行官は、営業上の必要モの他の相当の事由があると認めるときは、利害関係を有する者の申立てにより、その所属する地方裁判所の許可を受けて、自動車または建設機械の運行または使用を許可することができる。
 中小企業等協同組合法に基づく企業組合、信用金庫その他の法人で組合員、会員その他の持分を有する構成員が任意に脱退することができるものの組合員、会員その他の構成員である滞納者の持分を差し押えた場合において、当該持分につき次に掲げる理由かおり、かつ、その持分以外の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときは、税務署長は、その組合等に対し、その持分の一部の払戻しを請求することができる。この場合において、脱退につき予告その他一定の手続を要することとされているときは、その手続を必要とする。
 その持分を再度換価に付してもなお買受人がないこと。その持分の譲渡につき法律または定款に制限があるため、譲渡することができないこと。

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