財産の差押えの効力の発生時期

 動産または有価証券の差押えの効力は、徴収職員がその財産を占有した時に生じる。なお、差し押えた動産または有価証券を滞納者または第三者に保管させたときは、封印、公示書その他差押えを明白にする方法により差し押えた旨を表示した時に差押えの効力が生じる。
 債権の差押えの効力は、債権差押通知書が第三債務者に送達された時に生じる。なお、担保権付債権を差し押えたときは、その債権の差押えの登記をするが、この場合の登記は、差押えの効力の発生時期とは関係がない。

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 不動産の差押えの効力は、差押書が滞納者に送達された時に生じるが、次に掲げる場合には、それぞれに掲げる時に差押えの効力が生じる。
 滞納者に対する差押書の送達前に、差押えの登記がされた場合、差押えの登記がされた時。
 差押財産が鉱業権である場合、常に差押えの登録がされた時。
 船舶または航空機の差押えの効力は、差押書が滞納者に送達された時に生じるが、次に掲げる場合には、それぞれに掲げる時に差押えの効力が生じる。
 滞納者に対する差押書の送達前に、差押えの登記がされた場合、差押えの登記がされた時。
 差押えの効力が発生する前に監守・保存処分をした場合、監守・保存処分をした時。
 自動車または建設機械の差押えの効力は、差押書が滞納者に送達された時に生じるが、次に掲げる場合には、それぞれに掲げる時に差押えの効力が生じる。
 滞納者に対する差押書の送達前に、差押えの登記がされた場合、差押えの登記がされた時。
 差押えの効力が発生する前に監守・保存処分をした場合、監守・保存処分をした時。
 無体財産権等のうち第三債務者等がない財産の差押えの効力は、差押書が滞納者に送達された時に生じるが、次に掲げる場合には、それぞれに掲げる時に差押えの効力が生じる。
 滞納者に対する差押書の送達前に、差押えの登録がされた場合、差押えの登録がされた時。
 差押財産が特許権、実用新案権、意匠権または商標権である場合、常に差押えの登録がされた時。
 無体財産権等のうち第三債務者等がある財産の差押えの効力は、差押通知書が第三債務者等に送達された時に生じるが、次に掲げる場合には、それぞれに掲げる時に差押えの効力が生じる。
 第三債務者等に対する差押通知書の送達前に、差押えの登記がされた場合、差押えの登記がされた時。
 差押財産が特許権、実用新案権、意匠権についての専用実施権または商標権についての専用使用権である場合、常に差押えの登録がされた時。
 差押えには、差押制度の目的から、差押財産について法律上または事実上の処分を禁止する効力がある。この処分禁止の効力については、次の点に留意する。
 相対的処分禁止、この処分禁止は、差押債権者との関係における相対的な効力にとどまり、絶対的な処分禁止ではない。
 不利益処分の禁止、差押えにより禁止される処分は、差押債権者にとって不利益を及ぼすものに限られる。
 第三者の権利行使との関係、差押えにより禁止される処分は、第三者が有する正当な権利行使は妨げない。
 徴収法基本通達は、差押えの効力に関し差押え後の処分は無視するという手続相対効説の立場をとっている。したがって、差押財産の譲渡があった場合において、その滞納処分による換価代金に残余が生じたときは、それを滞納者に交付する、差押財産の譲渡後、譲渡人である滞納者の国税につき交付要求がされた場合には、その交付要求に係る国税に配当する、差押え後に差押財産に設定された担保権には配当しない、ということになる。
 差押えがされると、その差押えをした国税の時効は中断し、差押え中にその国税が時効によって消滅することはない。
 主物(たとえば建物)を差し押えたときは、その差押えの効力は従物にの場合の畳または建具に及ぶ。したがって、このような場合には、従物についてあらためて差押えをする必要はない。
 差押えの効力は、差押財産(たとえば家畜)から生じる天然果実にの場合は家畜の子に及ぶ。 ただし、滞納者または第三者が差押財産の使用または収益をすることができる場合には、その財産から生じる天然果実(その財産の換価による権利の移転の時までに収取されない天然果実を除く)には、差押えの効力が及ばない。
 差押えの効力は、差押財産(たとえば賃貸している建物)から生ずる法定果実にの場合の家賃には及ばない。ただし、債権を差し押えた場合の差押え後の利息については、差押えの効力が及ぶ。
 差押財産が損害保険等の目的となっている場合には、その差押えの効力は、保険金等の支払を受ける権利に及ぶが、差押えた旨を保険者等に通知しなければ、その差押えの効力が及ぶことをそれらの者に対抗することができない。
 なお、滞納処分による差押えの効力が、上記のように保険金等の支払を受ける権利に及び、その支払を受けた場合において、それが物上代位の目的にもなっているときは、その担保権者は、物上代位の要件としての差押えをしたものとみなされる。
 担保のための仮登記がある財産が清算金の弁済前に差し押えられたときには、仮登記権利者は、いわゆる私的実行をすることができない。
 滞納者の財産について滞納処分を執行した後、滞納者が死亡し、または滞納者である法人が合併により消滅したときは、その財産につき滞納処分を続行することができる。
 滞納者の死亡後、徴収職員がその死亡の事実を知らないで、滞納者の名義の財産を差し押えた場合には、その差押えは、その財産を有する相続人に対してされたものとみなされる。
 滞納者の財産について仮差押えまたは仮処分がされているときでも、滞納処分は、仮差押えまたは仮処分によりその執行を妨げられない。
 仮処分のされている財産につき滞納処分による差押えをし、その差押えに基づく換価処分によって仮処分が失効するかどうかについては、効力持続説(仮処分は効力を失わない)と効力失効説(仮処分は効力を失う)とがある。滞納処分の実務は、伝統的に効力失効説によっているが、登記実務では、滞納処分による差押えの登記前にされた仮処分登記の職権によるまっ消登記はしないものとしている。
 滞調法においては、滞納処分と仮差押えとが競合した場合における調整規定を設けている。その骨子は、次のとおりである。
 滞納処分による差押えがされている財産に対して仮差押えの執行をすることができる。
 滞納処分による差押えがされている財産に対し仮差押えの執行がされた後滞納処分による換価がされ、その売却代金の残余を滞納者に交付すべきときは、その残余を執行官(動産の場合)または強制執行について管轄権を有する裁判所に交付する。この交付を受けた金銭は、仮差押えの執行がされている財産を他の債権のための強制執行により売却した場合における売得金とみなされ供託される。
 仮差押えの執行がされてじヽる財産に対しても滞納処分による差押えはできるが、換価代金の残余の処理は、上記と同様です。
 差押えをした国税は、その差押財産について交付要求を受けた他の国税または地方税よりも優先して徴収することができる。
 滞納処分による差押えも強制執行による差押えも、その目的は同じである、から、差押えの一般的効力も、おおむね同様な理解をすることができる。ただし、優先徴収の効力は、滞納処分による差押えに固有のものである。
 強制執行による差押えの一般的効力について留意すべき事項は、次のとおりである。
 従来、強制執行にあっては、差押えの処分禁止の効力について、個別相対効説が主流をなしていたといわれている。ところが、民事執行法は、この立場を変え、国税の伝統的な立場と同じである手続相対効説をとることとした。この結果、差押え後の処分行為に対しては、滞納処分および強制執行を通じて統一的な取扱いをすることが可能になった。
 民事執行法においては、差押えの効力は、差押物から生ずる天然の産出物に及ぶと規定されている。しかし、徴収法とは異なり、差押えの効力が天然果実に及ばない場合の規定がない。これは、民事執行法では、差押動産の使用は認めるものの、その収益までは認めていないことによる。
 民事執行法は、債務者が死亡した場合の強制執行の続行について、徴収法と同旨の規定をおいているが、合併についての規定はない。解釈上は、法人の合併の場合も同様に解されている。
 民事執行法においても、仮差押えの目的物に対して強制執行をすることができ、仮差押債権者は、この強制執行を阻止することができない。
 しかし、仮処分との関係については、徴収法のような規定はない。

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