強制執行による差押えされている不動産に対する滞納処分

 滞納処分による差押えは、強制競売の開始決定があった不動産に対してもすることができる。
 不動産に対する滞納処分による差押えの登記の嘱託があった場合において、その不動産について強制競売に係る差押えの登記があるときは、登記官は、その旨を徴収職員に通知することになっている。したがって、徴収職員は、その通知を受けたときは、「差押通知書及び交付要求書」により執行裁判所に対し差押えをした旨を通知しなければならない。
 上記の差押えの通知をする場合において「差押通知書及び交付要求書」を交付するのは、その差押えをした旨の通知のみによっては交付要求の効力を生じないため、あわせて交付要求をする必要があることによるものである。

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 二重差押えをした不動産については、公売その他滞納処分による売却のための手続は、滞納処分続行承認の決定があったときを除き、強制競売の申立てが取り下げられた後または強制競売の手続を取り消す決定が効力を生じた後でなければ、することができない。なお、二重差押えをした不動産について、さらに強制競売の開始決定がされた場合において、先の開始決定に係る強制競売の申立てが取り下げられたとき、または先の開始決定に係る強制競売の手続が取り消されたときは、民事執行法第47条第2項の規定により後の強制競売の開始決定に基づいて手続が続行されるから、滞納処分による換価のための手続は進めることができない。
 二重差押えをした不動産について、強制競売の申立てが取り下げられたとき、または強制競売の手続を取り消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官は、滞調規則第33条の規定による書面(強制競売終了通知書)により、その旨を徴収職員に通知することとされている。
 徴収職員は、上記の「強制競売終了通知書」を受け取ったときは、すみやかに、その旨を、執行裁判所に交付要求をした徴収職員等で「強制競売終了通知書」に記載されている者に対して通知しなければならない。
 滞納処分続行承認の決定の請求ができる場合、滞納処分続行承認の決定および滞納処分続行承認の決定の効果については、強制執行がされている動産に対する滞納処分に関する規定が準用されている。
 なお、滞納処分続行承認の決定があったときは、裁判所書記官は、執行裁判所に対し交付要求をした徴収職員等の属する庁その他の事務所の名称および所在を徴収職員に通知することになっているので、徴収職員は、裁判所書記官から通知があった徴収職員等に、すみやかに、その旨を通知しなければならない。
 強制競売の開始決定に係る差押えの登記後滞納処分による差押えの登記前に登記された先取特権、質権または抵当権で売却により消滅するものの存する不動産について、滞納処分続行承認の決定があり、滞納処分により換価した場合には、徴収職員は、その先取特権等により担保される債権を有する者に対し、先行の執行を停止された差押債権者が停止に係る訴訟等で敗訴したときに限り、滞調法第129条の規定による配当を行う。
 徴収職員は、執行停止に係る差押えの登記後に登記された先取特権等があるため配当額が定まらないときは、配当額の定まらない部分に相当する金銭を供託しなければならない。徴収職員は、供託した場合には、執行裁判所および先取特権等の権利を有する者にその旨を通知する。
 徴収職員は、供託の事由が消滅し、配当額が確定したときは、その供託金について、さらに配当を実施し、または残余を交付しなければならない。この場合においては、次により処理することとなる。
 配当を受けるべき者に配当額支払証を交付するとともに、上記に、より供託した供託所に支払委託書を送付する。
 執行裁判所に残余を交付する場合には、徴収職員は供託金の取戻しをしたうえ、当該金銭を交付する。
 執行裁判所に対し残余を交付することができなくなったとき、たとえば、執行を停止された差押債権者がその停止に係る訴訟等で敗訴したときは、配当計算書に関する異議の申出をしなかった債権者のためにも配当計算書を更正しなければならない。
 仮差押えの執行がされていても滞納処分は妨げられないが、この場合には、次のとおり調整される。
 仮差押えの執行がされた後滞納処分による差押えをした不動産について、仮差押えの申請が取り下げられたとき、または仮差押えを取り消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官から、滞調規則第37条において準用する滞調規則第33条第1号および第2号に掲げる事項を記載した書面(仮差押執行終了通知書)により、その旨が徴収職員に通知される。
 仮差押えの執行がされた後滞納処分による差押えをした不動産の滞納処分による売却代金について滞納者に交付すべき残余を生じたときは、徴収職員は、これをその不動産に対する強制執行について管轄権を有する裁判所に交付しなければならない。この場合の通知および残余が生じなかった場合の通知については、動産の項で述べたところを参照されたい。
 なお、上記により裁判所が交付を受けた金銭は、仮差押えの執行がされている不動産を他の債権のための強制競売により売却した場合における売却代金とみなされる。
 仮差押えの登記後滞納処分による差押えの登記前に登記された先取特権等の存する不動産を滞納処分により換価した場合には、徴収職員は、その先取特権等により担保される債権を有する者に対し、仮差押債権者が本案の訴訟において敗訴し、または仮差押えがその効力を失ったときに限り、徴収法第129条の規定の定めるところによる配当を行う。
 仮差押えの登記後に登記された先取特権等があるため配当額が定まらないときの供託および供託の事由が消滅し配当額が確定したときの供託金の配当または残余の交付については、民事執行法弟91条弟6号および第92条の規定が準用される。
 競売の開始決定がされている不動産に対する滞納処分については、強制執行による差押え後に滞納処分による差押えがされた不動産に関する規定に準じて処理する。

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