差押え手続き

 財産の差押手続には、徴収法上の各種の財産に共通な手続と各種の財産に特有な手続とがある。
 滞納者の財産を差し押えたときは、財産の種類を問わず、差押調書を作成し、これに署名押印しなければならない。
 差押調書を作成した場合において、差押財産が、動産および有価証券、債権、無体財産権等のうち第三債務者等がある財産であるときは、その謄本を作成して滞納者に交付しなければならない。

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 次に掲げる財産を差し押えたときは、それぞれ次に掲げる者のうち知れている者に対し、その旨その他必要な事項を通知しなければならない。
 なお、次の仮登記、または仮登録がある財産を差し押えた場合のうち、その仮登記が担保のための仮登記であると認められるときは、その旨を記載しなければならない。
 質権、抵当権、先取特権、留置権、賃借権その他の第三者の権利の目的となっている財産、これらの権利を有する者。
 仮登記または仮登録がある財産、仮登記の権利者。
 仮差押えまたは仮処分がされている財産、仮差押えまたは仮処分をした執行裁判所または執行官。
 捜索調書の作成につき、その調書の謄本の交付に代えて差押調書譜本の交付を受けた者に対しては、通知をする必要がない。
 差押えの方法は動産または有価証券の差押えは、徴収職員が占有して行う。
 第三者か占有している場合の差押手続は滞納者の動産または有価証券でその親族その他の特殊関係者およびその他特定の者以外の第三者が占有している場合において、その第三者がその動産等を徴収職員に引渡しをすることを拒んだときは、差し押えることができない。
 なお、上記の滞納者の親族その他の特殊関係者などの特定の者が滞納者の動産または有価証券を占有している場合には、これらの者が引渡しを拒んだときにおいても、差し押えることができる。
 差押えが制限される場合には、一定の要件のもとに、その第三者に引渡命令を発したうえで、差押えをすることができる。この要件は、第三者がその占有中の滞納者の動産または有価証券の引渡しを拒んだこと、滞納者が他に換価が容易であり、かつ、その滞納に係る国税の全額を徴収することができる財産を有しないと認められること、である。
 引渡命令を受けた第三者が、その命令に応じて占有中の動産または有価証券を徴収職員に引き渡したどきは、直ちにそれを差し押えることができ、また、引渡命令により指定された期限までに徴収職員に引渡しをしないときにおいても、第三者が占有しているにもかかわらず、その動産または有価証券を差し押えることができる。
 なお、引渡命令を受けた第三者が、その命令に係る財産が滞納者の所有に帰属していないことを理由として、その命令につき不服申立てをしたときは、その不服申立ての係属する間は、その財産の搬出をすることができない。
 上記により滞納者の動産につき引渡命令を受けた第三者が、その動産を使用または収益をする権利に基づいて占有している場合において、その引渡しをすることにより占有の目的を達することができなくなるときは、その第三者は、その占有の基礎となっている契約を解除するか、特定の期間、その動産を使用または収益をするか、いずれかの方法を選択することができる。
 契約解除を選択した場合、契約解除の通知、第三者が契約の解除をしたときは、所定の手続に従って、税務署長に通知しなければならない。
 損害賠償請求権への配当により契約を解除した第三者は、当該契約の解除により滞納者に対して取得する損害賠償請求権については、その動産の売却代金の残余のうちから配当を受けることができる。
 賃貸借契約に基づいて滞納者の動産を占有している第三者が契約の解除をした場合において、引渡命令があった時前にその後の期間分の借賃の前払いをしているときは、その第三者は、税務署長に対して、その動産の売却代金のうちから、その前払借賃に相当する金額の配当を請求することができる。この前払借賃として請求があった金額については、滞納処分費および留置権に次ぐ優先順位で配当される。
 使用または収益を選択した場合、使用または収益の請求 第三者が動産の使用または収益を選択したときは、所定の手続に従って、税務署長にその請求をしなければならない。
 みなし使用または収益の請求、第三者が、所定の期限までに、契約解除の通知または使用もしくは収益の請求をしない場合には、使用または収益の請求があったものとみなされる。この場合においては、その第三者は、損害賠償請求権および前払借賃については配当を受けることができない。
 使用または収益の認容、使用または収益の請求があった場合には、その動産の占有の基礎となっている契約の期間内は、その第三者にその使用または収益をさせなければならない。
 以上の制度は、滞納者の動産を占有する第三者が、動産の引渡しを拒まなかった場合についても準用される。
 徴収職員は、必要があると認めるときは、差し押えた動産または有価証券を滞納者またはその財産を占有する第三者に保管させることができる。ただし、その第三者に保管させる場合には、その運搬が困難であるときを除き、その者の同意を受けなければならない。
 なお、差し押えた動産または有価証券を滞納者または第三者に保管させたときは、封印、公示書その他差押えを明白にする方法により差し押えた旨を表示しなければならない。
 動産執行は、債務者が占有している動産を執行官が占有することにより行う。すなわち、債務者がその動産を占有している場合に限られるのであるが、例外的に債権者または第三者が占有している動産でも差し押えることができる場合がある。これは、債権者がその物を執行官に提出して差押えを求めた場合、または、第三者が差押えを拒まない場合である。第三者が占有している物については、その第三者が提出を拒んだときは、いかにその物が債務者の所有に帰属することが明らかであって払差し押えることはできない。このような場合には、債務者が第三者に対して有する目的物の返還請求権ないし引渡請求権を差し押えて、債権執行の方法によって、実現を図る余地がある。
 執行官は、相当であると認めるときは、債務者に差押物を保管させることができる。この場合には、差押物について封印その他の方法で差押えの表示をしたときに限り、その効力を有する。また、執行官は、必要があると認めるときは、上記により債務者に保管させた差押物を自ら保管することができる。

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