差押財産の選択

 差押えの対象とすることができる財産のうち、どの財産を差し押えるかは、徴収職員の裁量に委ねられているが、おおむね、第三者の権利を害することが少ない財産であること、換価に便利な財産であること、この場合において、保管または引揚げを必要とする財産については、保管または引揚げの便利をも考慮しなければならない。滞納者の生活の維持または事業の継続に与える支障が少ない財産であること、に留意して選択することを要する。この場合において、差し押えるべき財産について滞納者の申出があるときは、これらの事項を考慮のうえ、滞納処分の執行に支障がない限り、その申出に係る財産を差し押えるのが妥当である。

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 強制執行の申立てをする場合には、申立書に、強制執行の目的とする財産の表示を記載することとされており、債権者が差押えを求めようとする財産を特定することとされている。ただし、動産執行の申立てにあっては、どの動産を差し押えるか、換言すれば差押えの対象物を特定することは必要でなく、差し押えるべき動産が所在する場所を申立書に記載しなければならない。
 強制執行の申立てが適式になされている場合には、対象財産が、不動産、船舶、航空機、自動車および建設機械であるときは強制競売開始決定が、債権およびその他の財産権であるときは差押命令が、動産であるときは執行官による差押えが行われることとなる。
 動産執行においては、執行官は、債権者から申立てがあった差し押えるべき動産が所在する場所において、債務者が占有する動産について適宜な物を差し押えるべきであるが、差し押えるべき動産の選択にあたっては、債権者の利益を害しない限り、債務者の利益を考慮しなければならないこととされている。
 滞納処分による差押えができる場合は、次のとおりである。
 督促を要する国税の場合、滞納者に対して督促をした場合において、その督促状(第二次納税義務者または保証人については納付催告書)を発した日から起算して10日を経過した日までにその国税を完納しないときは、その国税につき滞納者の財産を差し押えることができる。
 例外として、国税の納期限後、督促状(納付催告書を含む)を発した日から起算して10日を経過した目までに、督促を受けた滞納者につき繰上げ請求ができる要件の一に該当する事実が生じた場合には、その国税につき滞納者の財産を直ちに差し押えることができる。
 督促を要しない国税については、これらの国税、すなわち、繰上げ請求をした国税、繰上げ保全差押金額および保全差押金額の決定の基因となった国税、一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている国税については、納期限までに完納しないときは、督促を要しないで滞納者の財産を差し押えることができる。
 譲渡担保権者に物的納税責任の告知をした場合において、その告知書を発した日から10日を経過した日までに、その徴収しようとする金額が完納されていないときは、譲渡担保財産を差し押えることができる。また、この10日を経過した日までの間に繰上げ請求事由が生じた場合には、直ちに差押えをすることができる。
 繰上げ保全差押金額または保全差押金額の決定があった場合には、その金額を限度として、その決定に係る者の財産を直ちに差し押えることができる。
 担保の提供されている国税がその納期限までに完納されないとき、または担保の提供がされている国税についての延納、納税の猶予もしくは徴収もしくは滞納処分に関する猶予を取り消したときにおける担保物処分は、滞納処分の例によることとされているが、この担保物処分のための差押えは、これらの事由が生じた後、直ちに行うことができる。

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