差押えの意義

 国税が納期限までに履行されない場合等には、いわゆる自力執行として滞納処分が行われる。そして、狭義の滞納処分の第1段階として行われるのが差押えである。
 滞納処分は、国税債権の強制的実現のためにする一連の手続であるが、究極的には、納税者の財産を強制的に国税にあてることを目的とする。 そして、国税債権が金銭債権であるところから、納税者の財産の強制的換価が必要となり、その換価のために納税者の財産の保全が必要になる。この財産の保全のためにする処分が差押えである。

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 滞納処分による差押えは、強制換価のための前段階的な役割をもつと同時に、納税の猶予等をしたときにおいて、その担保的な機能をも有している。さらには、差し押えた財産を換価しないで滞納国税の分納を認める換価の猶予制度もある。
 これに対し、強制執行による差押えは、強制換価のための前段階的な役割のみを帯有している。たとえば、競り売りの方法により動産を売却するときは、競り売り期日は、差押えの日から1週間以上1か月以内の日としなければならない、とされている。
 このように、滞納処分と強制執行による差押えの本質は同じであるが、その機能には差異がみられる。
 滞納処分により差し押えることができる財産は、次のすべての要件をそなえるものでなければならない。
 財産が滞納者に帰属していること・・・ある財産が滞納者に帰属するかどうかは、一般的には、その外観によって判断する。たとえば、不勤産については、その登記名義を基礎として判断する(他に特別の事実がない限り、滞納者の財産と判断する)ことになる。
 財産が法施行地域内に所在すること・・・財産の所在については、相続税法第10条参照。
 財産が金銭的価値を有すること。
 財産が譲渡性を有すること。
 財産が差押禁止物件でないこと・・・差押禁止財産については、第3款参照。
 国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。これは、国税の徴収のための必要を超える差押えを禁止する趣旨のものであり、具体的には、2以上の財産を差し押える場合に問題となる(1個の財産の差押えについては、その価額が国税の額を超過する場合であっても、違法な超過差押えにはならない)。この超過差押えかどうかの判断は、差押え当咋の差押国税の額と差押財産から徴収できる金額との比較において行う。
 差し押えることのできる財産の価額がその差押えに係る国税(滞納処分費を含む)に優先する債権額を超える見込みがないときは、その財産は、差し押えることができない。これは、国税にあてる見込みのない場合の差押えの禁止がその趣旨である。
 強制執行にあっては、動産および債権について超過差押えの禁止がされているが、不動産等については、差押えの時点での超過差押えの禁止の原則はとらず、超過売却の禁止がされている。 これは、不動産等については、差押えの段階では、評価額および関係する権判者の朧権額がいくらであるのかを判断するだけの資料を有していないことによる。
 徴収法は、全財産を通じて超過差押えの禁止を規定しているが、強制執行における超過売却の禁止制度は、滞納処分の場合にも一考に値するものと思われる。
 民事執行法においても、徴収法と同様に無益な執行を禁止している。ただし、債権(その他の財産権も同様)については、無益な執行を禁止する規定はないが、これは、債権執行の特殊性によるものと思われる。

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