滞納者の財産の調査

 財産の調査は、滞納処分の対象となる財産の発見、第二次納税義務を賦課する場合の徴収不足の判定、保証人の資力調査等徴収の手続を進めるために行われる重要な手続である。
 この財産の調査を行うため、徴収職員には、一定の要件のもとに質問・検査および捜索の権限が与えられている。質問・検査は、いわゆる任意調査と呼ばれるものであって、相手方がこれを拒否、妨害または忌避した場合には、これを実施することはできないけれども、罰則の規定により間接的に強制されていることに留意する必要がある。
 なお、徴収職員は、法律により権限の与えられている質問・検査および捜索のほか、滞納処分のために必要かおるときは、その職務行為として種々の方法による調査ができるが、この調査はあくまで任意調査の範囲にとどまるものである。

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 徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、滞納者その他特定の者に対して質問し、またはその者の財産に関する帳簿もしくは書類を検査することができる。
 質問・検査の権限を行使することができる相手方は、次に掲げる者である。
 滞納者、滞納者の財産を占有する第三者およびこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者、滞納者に対し債権もしくは債務があり、または滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がうる者、滞納者が株主または出資者である法人。
 徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、特定の物または場所につき捜索をすることができる。この滞納処分のための捜索を行う場合には、令状は必要とされない。
 捜索は、次に掲げる者の物または住居その他の場所につき行うことができる。この「その他の場所」とは、捜索の相手方が使用し、または使用していると認められる住居、事務所、営業所、工場、倉庫等の建物のほか、間借り、宿泊中の旅館の部屋があり、また、建物の敷地のほか、船車の類で通常、人が使用し、または物が蔵置されるものが合まれる。
 滞納者、滞納者の財産を所持する第三者がその引渡しをしないときは、その第三者、滞納者の親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由かおる場合において、その引渡しをしないときは、その者。
 徴収職員は、捜索に際し必要があるときは、滞納者もしくは第三者に戸もしくは金庫その他の容器の類を開かせ、または自らこれを開くため必要な処分(施錠の除去等)をすることができる。徴収職員が自ら開く場合には、滞納者または第三者が徴収職員の開扉の求めに応じないとき、不在のとき等やむをえないときに限るべきである。
 捜索は、日没後から日出前まではすることができない。ただし、次の二つの例外がある。
 日没前に着手した捜索は、日没後まで継続することができる。
 旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入りすることができる場所(待合、バー、映画館、演劇場等)については、滞納処分の執行のためやむをえない必要があると認めるに足りる相当の理由かおるとき(たとえば、捜索の相手方が夜間だけ在宅または営業している場合、財産が夜間だけ蔵置されている等の事情が明らかである場合等)は、日没後でも公開した時間内は、捜索することができる。
 執行官等(執行官または執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行う者)は、日曜日その他の一般の休日または午後7時から翌日の午前7時までの間に人の住居に立ち入って職務を執行するには、執行裁判所の許可を受けなければならないこととされている。
 捜索をする場合には、徴収職員は、次により立会人をおかなければならない。
 捜索を受ける滞納者もしくは第三者またはその同居の親族もしくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのある者。
 上記の立会人が不在である場合または立会いに応じない場合には、成年に達した者2人以上または市町村の吏員もしくは警察官。
 民事執行法においては、立会人を要する場合として、執行官等が人の住居に立ち入って職務を執行する場合および執行官が、住居として使用されていない場所(たとえば、営業所、事務所、倉庫等)で職務の執行に際し抵抗を受け、その抵抗を排除するために、威力を用い、または警察上の援助を受けた場合、とされている。立会人としては、住居主、その代理人または同居の親族もしくは使用人その他の従業者であるが、これらの者に出会わないときは、市町村の職員、警察官その他証人として相当と認められる者である。
 徴収職員は、捜索をしたときは、捜索調書を作成しなければならないが、捜索に引き続いて差押えをした場合には、差押調書が作成されるところから、捜索調書の作成を要しない。
 捜索調書には、徴収職員および立会人が署名押印をしなければならないが。立会人が署名押印をしない場合には、その理由を捜索調書に付記しなければならない。
 徴収職員は、捜索調書を作成した場合には、その謄本を捜索を受けた滞納者または第三者およびこれらの者以外の立会人があるときは、その立会人に交付しなければならない。上記により差押調書を作成した場合においては、差押調書の謄本を立会人に交付しなければならない。
 徴収職員は捜索をする場合において、その捜索の執行のため支障があると認められるときは、捜索をする間は、特定の者を除き、捜索の場所に出入りすることを禁止することができる。
 出入禁止の制限を受けない特定の者とは、次に掲げる者である。
 滞納者、差押えに係る財産を保管する第三者および捜索を受けた第三者、上記に掲げる者の同居の親族、滞納者の国税に関する申告、申請その他の事項につき滞納者を代理する権限を有する者(たとえば、滞納者から委任を受けた税理士、弁護士、納税管理人等または法律の規定により定められた親権者、後見人等)
 徴収職員は、質問・検査または捜索をするときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを呈示しなければならない。関係者が身分証明書の呈示を求めたにかかわらず徴収職員がそれを呈示しなかった場合には、これらの処分を執行することができない。
 なお、質問・検査または捜索の権限は、滞納処分のため必要な行政手続として定められたものであるところから、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

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