競売申立ての取下げ

 競売手続は、不動産の売却、代金の配当などの手続の完了によって終了するが、競売申立ての取下げによっても終了する。申立抵当権者は、売却の日の前においてはもとより、買受けの申出のある前であれば、単独で競売申立てを取り下げることができる。
 買受けの申出があった後に競売の申立てを取り下げるには、最高価買受申出人または買受人および次順位買受申出人の同意を得なければならない。しかし、他に配当要求の終期以前に競売の申立てをした差押債権者がいる場合でも、これらの者の同意を得ないでも取り下げることができる。この場合には、申立抵当権者の競売申立てが取り下げられて払後の差押債権者の開始決定に基づく手続が続行されるから、これらの者の買受申出にかかる権利を害することがないからである。したがって、先の申立抵当権者の競売申立てが取り下げられることによって、売却によって消滅し効力を失うものとされていた権利または仮処分の執行がその効力を失わなくなるような場合には、これらの者の権利を害するに至るから、これらの者の同意を得なければその競売申立てを取り下げることはできない。

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 競売手続は、次の文書が提出されたときに停止される。
 抵当権のないことを証する確定判決の謄本。抵当権の存在を証する確定判決もしくは家事審判法15条の審判、またはこれと同一の効力を有するものを取引肖しもしくはその効力がないことを宣言し、または抵当権の登記を抹消すべき旨を命ずる確定判決の謄本。抵当権の実行をしない旨、その実行の申立てを取り下げる旨または債権者が抵当権によって担保される債権の弁済を受けもしくはその債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本。抵当権の登記の抹消されている登記簿の謄本。抵当権の実行を一時禁止する裁判の謄本。
 強制競売手続においては、執行を停止すべきものとされている弁済証書、弁済猶予承諾書が提出されても、抵当権実行による競売手続は停止されない。この場合は執行異議の申立ての手続によるべきものである。
 抵当権の実行を一時禁止する裁判としては、執行異議、執行抗告に伴う仮の処分、第三者異議の訴えに伴う仮の処分、抵当権不存在を前提とする抵当権実行禁止の仮処分、民事調停申立てに伴う民事調停規則6条の仮処分の冬決定が、その例です。
 なお、これらの事由のあるときは、すべて開始決定に対する執行異議の申立ての方法によっても争うことができることはいうまでもない。
 法183条1項1号ないし4号文書の提出されたとき、抵当権実行としての競売手続にあっては、抵当権の換価権能に基づいて行なわれるものであるから、抵当権が有効に存在すること、抵当権実行の要件を満たすことが必要であり、この要件を欠くときは、競売手続の開始、進行は許されない。
 抵当権の不存在の確認判決またはこれと同一の効力を有する請求の認諾、請求の放棄、和解もしくは調停の調書が提出されれば、競売手続を停止したうえこれを取り消すことになる。また、競売の申立てにあたっては法定文書によることとされているから、これと反対の事実の証明されたとき、および抵当権実行の要件を欠くことを証明する文書の提出されたときも、同様に競売手続を停止したうえ、すでにした手続を取り消すことを要する。
 この場合、この取消決定に対しては、執行抗告をすることはできず、またただちにその効力を生ずる。
 競売を許さない旨の判決がなされたとき、または競売の開始決定が取り消されたとき、抵当権実行による競売手続においても、第三者異議の訴えが認められているから、その請求が認容され競売を許さない旨の確定判決がなされたときも競売手続は取り消され、また抵当権の不存在・消滅その他を理由とする開始決定に対する執行異議の申立て、執行抗告によって、その理由があるときは、競売手続は取り消される。

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