競売での売却手続き

 売却の日時に、執行官は、次の者に対し、売却の場所に入ることを制限し、その場所から退場させまたは買受けの申出をさせないことができる。
 他の者の買受けの申出を妨げ、もしくは不当に価額を引き下げる目的をもって連合する等売却の適正な実施を妨げる行為をし、またはその行為をさせた者。他の民事執行の手続の売却不許可決定において前号に該当する者と認定され、その売却不許可決定の確定の日から2年を経過しない者。民事執行の手続における売却に関し、公務執行妨害罪等、贈収賄罪等の刑に処せられ、その裁判確定の日から2年を経過しない者。悪質な行為者を売却手続に関与させないことによって、適正な換価手続を保障しようという配慮に基づくものである。これらの者は、仮に最高価買受申出人に該当することになっても売却は許可されない。
 期日入札における入札は、入札書を執行官に差し出す方法により行なわれる。
 入礼書には、入札人および代理人によって入札をするときは代理人の表示、事件の表示その他不動産を特定するために必要な事項、入札価額を記載することを要する。
 入札にあたり、法人である入札人は代表者の資格を証する文書を、入札の代理人は代理権限を証する文書を各提出することを要し、共同して入札するときは、あらかじめ、その関係および持分を明らかにして執行官の許可を受けなければならない。
 入札は、変更しまたは取り消すことができない。
 執行官は、入札期日において、入札の催告をしたのち20分を経過しなければ、入札を締め切ってはならない。
 開礼に際しては、入札をした者または入札をした者が立ち合わないときは、適当と認められる者を立ち会わせることを要する。
 開札が終わったときは、執行官は、最高価買受申出入を定め、その氏名または名称および入札価額を告げ、かつ、次順位買受けの申出をすることができる入札人があるときは、その氏名または名称および入札価額を告げて、次順位買受けの申出をするかどうかを催告した後、入札期日の終了を宣言する。
 最高の価額で買受けの申出をした入社人が2人以上あるときは、これらの者にさらに入札をさせて最高価買受申出人を決定する。この場合においては、入札人は、先の入札価額に満たない価額による入札をすることができない。この入社人の全員が入札をしないとき、または再度の入札において最高の価額で買受けの申出をした入社人が2人以上あるときは、くじで最高価買受申出人を決定する。
 次順位買受けの申出をした入札人が2人以上あるときも、くじで次順位買受申出人を定める。
 期日入札をしたときは、執行官は、期日入札調書を作成し、最高価買受申出人および次順位買受申出人またはこれらの代理人にこれに署名・押印させ、かつ、入札書を添付して執行裁判所に提出する。
 期日入札における買受申出の保証の額は、最低売却価額の10分の2の額または執行裁判所の定めるそれ以上の額とされているが、最高価買受申出人および次順位買受申出人以外の入札人は、期日の終了後ただちにその返還を求めることができる。この場合の保証金返還についての領収証は期日調書に添付し、返還しなかった保証金はすみやかに執行裁判所に提出することを要する。

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 期間入札にあっては、入札期間内に、入札書を入れて封をし、開札期日を記載した封筒を執行官に差し出し、またはその封筒を他の封筒に入れて書留郵便により執行官に送付する方法によって行なわれる。
 この場合の買受けの申出の保証は、執行裁判所の預金口座に一定の額の金銭を振り込んだ旨の金融機関の証明書または銀行等が買受け申出人のために一定の額の金銭を執行裁判所の催告により納付する旨の期限の定めのない支払保証委託契約が買受け申出人と銀行等との間に締結されたことを証する文書を、入札書を入れて封をし開札期日を記載した封筒とともに執行官に提出する方法により提供することを要する。
 そのほかは、期日入札におけると同様です。
 競り売り期日においては、買受けの申出の額を競り上げる方法によって行なわれる。
 買受けの申出をした者は、より高額の買受けの申出があるまで、申出の額に拘束される。
 執行官は、買受けの申出の額のうち、最高のものを3回呼びあげた後、その申出をした者を最高価買受申出人と定め、その氏名または名称および買受けの申出の額を告げ、かつ、次の順位買受けの申出人がある場合には、その氏名または名称および買受け申出の額を告げ、次順位買受けの申出をするかどうかを催告した後、競り売り期日の終了を宣言する。
 そのほかは、期日入札におけると同様です。
 執行裁判所は、定められた売却決定期日において、期日を開き、売却の許可または不許可の言渡しをする。その期日において、所有者、債務者、差押債権者、配当要求債権者、不動産上の権利者、買受申出人等の利害関係者は、自己の権利に影響する事由について、売却の許可または不許可に開する意見を陳述することができる。この意見の陳述は書面ですることも許されよう。
 裁判所は、これらの意見の陳述および記録を精査した結果、なお確認が必要となったときは、売却決定期日またはその続行期日において、利害関係人その他参考人を審尋することができるし、必要があれば正式に証拠調をすることもできる。
 その結果、売却を許すベきでない事由があれば売却不許可決定を、売却を許すべきでない事由がなければ売却許可決定を言い渡す。もとより、この言渡しは、売却決定期日またはその続行期日においてなされなけれなばらないことはいうまでもない。
 なお、次の書類が提出されたときは、競売手続はただちに停止される。
 抵当権のないことを証する確定判決の謄本、抵当権の存在を証する確定判決もしくは家事審判法15条の審判またはこれらと同一の効力を有するものを取り消し、効力がないことを宣言し、または抵当権の登記を抹消すべきことを命ずる確定判決の謄本、抵当権の実行をしない旨、その実行を取り下げる旨または債権者が抵当権によって担保される債権の弁済を受け、もしくはその弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本、抵当権登記の抹消されている登記簿の謄本、抵当権の実行を一時禁止する裁判の謄本。
 これらの文書が提出されたときは、執行裁判所はすでにした執行処分をも取り消すことを要する。この取消決定に対しては執行抗告をすることは許されず、またただちにその効力を生ずる。
 次の事由があるときは、売却不許可決定をしなければならない。これらの事由があるかぎり売却不許可決定をしなければならず、その他の事由によって売却を不許可とすることはできないと解されている。したがって、これらの不許可事由は限定列挙的なものであって、これらの事由がないときは、常に売却許可決定をなすこととなる。
 競売手続の開始または続行をすべきでないとき、競売手続を停止すべき文書が提出されたのに、これを看過して手続が続行されていた場合はもとより、抵当権または披担保債権が存在しないとか、債権の弁済期が到来していないとかが明らかになったときは売却不許可決定をする。
 最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格・能力を有しないとき、またはその代理人が代理権を有しないとき、最高価買受申出人が、土地を取得できない外国人である場合、売却不動産が農地であって知事の許可を得ていない場合、債務者である場合、買受申出が未成年者・禁治産者・準禁治産者によってなされ法定の要件を欠く場合)などがこれにあたる。
 買受申出が無権代理人または無能力者によってなされたが、売却決定期日の終了に至るまでに、本人の追認、法定代理人・後見人・保佐人の同意等のあったときは、不許可事由とならないものと解される。
 最価買受申出人が、これらの不動産を買い受ける資格を有しない者の計算において買受けの申出をしたとき、もともと、売却不動産の買受資格・能力を有しない者が他人名義で取得することも許されるものではないから、同様に不許可事由とされている。
 最高価買受申出人、その代理人または自己の計算において後高価買受申出人に買受けの申出をさせた者が、法65条各号に定める悪質行為者であると認められるとき、競売手続において悪質行為者と認められる者については、執行官は、売却の目時に売却の場所に入ることを制限し、その場所から退去させ、または買受けの申出をさせないことができるが、執行裁判所もまたこれらの者によって買受けまたは買受けの申出がなされたと認めるときは、売却不許可決定をすべきものとされた。
 買受け申出後に、天災その厄後高価買受申出人の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合において、最高価買受申出人から売却不許可の申出があったとき、最高価買受申出人は、買受けの申出をした後、火災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合には、執行裁判所に対して、売却許可決定前にあっては売却不許可の申出を、売却許可決定後にあっては代金納付のときまでにその決定の取消しの申立てをすることができるが、売却許可決定前に売却不許可の申出があったときは、売却不許可決定をしなければならないものとされた。
 最低売却価額、一括売却の決定、物件明細書の作成自体またはこれらの手続に重大な誤りがあるとき、最低売却価額、一括売却、物件明細書の作成などは、売却手続上きわめて重要な意義をもつから、これらの事項またはこれらを定める手続に重大な誤りがあったときは、売却手続そのものをやり直す必要があり、売却不許可事由とされた。
 その他の売却手続に重大な誤りがあるとき、定められた以外の事項で売却手続に著しく違反するときは、手続の適正化を保障する趣旨からも、売却不許可決定をし、売却手続をやり直すべきものとされた。
 数個の不動産を売却した場合において、ある不動産の買受けの申出の額で各債権者の債権および執行費用の全部を弁済することができる見込みがあるときは、執行裁判所は、他の不動産についての売却許可決定を留保すべきものとされている。執行裁判所は、このような不動産が数個ある場合、どの不動産について売却の許可をすべきかを判断するためには、所有者の意見を聞かなければならない。
 その結果、売却を留保された不動産についての最高価買受申出人または次順位買受申出人は、各その買受けの申出を取り消すことができる。
 売却許可決定のあった不動産について代金が納付されたときは、売却を留保された不動産についての競売手続は取り消される。
 この場合、一括売却された不動産は、全体として1個の不動産とみられ、一括売却不動産の相互間においてこのような問題は起こらない。
 個々の不動産の買受けの申出の額では各債権者の債権等を弁済するに足りないが、売却不動産のうちの数個の不動産の組合せにより弁済することが可能なときも、同様の処理をすべきものです。
 このようにして売却許可決定がなされたが、その代金の納付がない場合には、あらためてその不動産につき売却手続が進められるが、この場合、売却を留保されていた不動産については、売却許可決定がなされる。この場合も同様の処理をなす必要があれば、その手続をとることを要する。
 売却の許可または不許可の決定に対しては、再審事由のあることを主張する場合のほかは、その決定により自己の権利を害される場合に限り、かつ、その事由を主張してのみ執行抗告をすることができる。売却許可決定に対しては、法71条各号に定める不許可事由のあることまたは売却許可決定の手続に重大な誤りがあることを理由としてのみ、執行抗告をすることができる。
 民事訴訟法420条1項各号に定める再審事由のあるときは、常に執行抗告をすることができる。執行抗告がなされた場合において、抗告裁判所は、必要と認めるときは、抗告人の相手方を定めることができる。
 売却の許可または不許可の決定は、確定してはじめてその効力を生ずる。
 競売開始決定後、所有者が不動産の価額を著しく減少する行為をするときは、執行裁判所は、申立抵当権者の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせ、または立てさせないで、所有者に対し、その行為を禁止しもしくは一定の行為をなすべき旨を命ずることができ、またこの命令に違反したときは、申立抵当権者の申立てにより、担保を立てさせて、所有者に対し、不動産に対する占有を解いて執行官に保管させるべきことを命ずることができる。これを、売却に先立って売却不動産の保全を命ずることから、売却のための保全命令と呼んでいる。
 同様の趣旨から、売却実施後において、所有者が不動産の価格を著しく減少させ、もしくは引渡しを困難にする行為をし、またはこれらの行為をするおそれがあるときは、最高価買受申出人または買受人は、所有者に対し、これらの行為を禁止し、一定の行為を命じまたは不動産に対する占有を解いて執行官に保管させるべきことを命ずる旨を、執行裁判所に対して求めることができる。この場合、執行裁判所は、引渡命令執行までの間、最高価買受申出人または買受人に、代金またはその額に相当する金銭を納付させ、かつ、担保を立てさせ、または立てさせないで、所有者に対し、これらの命令を出すことができる。これを買受人等のための保全命令と呼んでいる。
 これらの命令は、所有者に送達される前であっても執行することができるが、申立人に告知された日から2週間を経過したときは執行できない。これらの裁判に対しては執行抗告をすることができ、また事情の変更が生じたときは、これらの決定の取消しまたは変更を申し立てることができる。この事情変更による保全命令の取消しまたは変更決定は、確定しなければその効力を生ぜず、またこの裁判に対しては執行抗告をすることができる。

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