不動産の強制執行

 不動産に対する強制執行の方法としては、強制競売と強制管理とがあります。強制競売の規定は、申立てに執行力のある債務名義を要する点は別として、そのほとんど全部が担保権の実行としての競売に準用されています。
 本規定によれば、同一所有者に属する土地とその上にある建物が強制競売により所有者を異にすることになった場合には、建物の敷地につき地上権を設定したものとみなされることになる。国税徴収法127条と同旨の規定で、建物の保全をはかるのを目的とする。
 不動産の強制管理に関する規定は、従来のものに比べて著しく整備された。金融界では抵当権の実行としての強制管理の規定の新設を要望したが、実現しなかった。ビルやマンションに対する強制執行の方法として、この制度を利用するのが適当な場合があろう。
 従来は解釈上管理人は自然人に限られていたが、本法は、信託会社、銀行その他の法人が管理人となることを認める。
 管理人の管理権限の内容、善管注意義務を明確にした。
 債務者居住の不動産が強制管理の目的となった場合に、債務者が他に居住すべき場所を得ることが困難なときは、執行裁判所は、債務者の居住に必要な限度で、一定の期間に限り、その居住建物の使用を許可することができる。
 強制管理により債務者の生活が著しく困窮するときは、執行裁判所は、収益またはその換価代金からその困窮の程度に応じて金銭または収益を債務者に分与することを命ずる。

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 動産執行の対象となる財産は、登記することのできない土地の定着物(庭石、石灯能、建築中の建物、立本法の立木以外の樹木、鉄塔、ガソリンスタンドなど)、土地から分離する前の天然果実で1ヵ月以内に収穫することが確実なもの、裏書が禁止されていない有価証券(株券、社債、倉荷証券、貨物引換証、抵当証券、手形・小切手など)は、すべて動産執行の対象となる。
 手形・小切手に対する強制執行は、従来債権に対する強制執行の規定によってなすべきものとして取り扱われていたが、本法は、動産執行の方法によることにした。
 動産執行においては、配当要求ができるのは質権者と先取特権者に限定されており、債務名義を有する債権者および仮差押債権者の配当要求も認められない。債務名義を有する債権者や仮差押債権者が配当にあずかるには、二重執行の申立てをすることを要する。
 譲渡担保権者の配当は認められていないから、債務者の財産として担保物件を差し押えられた譲渡担保権者は、第三者異議の訴えを提起して、執行の取消しを求めるほかない。従来は差押債権者に配当できる剰余があるかぎり、譲渡担保権者は第三者の訴えを提起することは許されず、競売手続に参加して売却代金から優先弁済を受けることで満足する、という従来の実務処理は変更を要することになる。
 従来は、債権に対する差押命令のほか取立命令を得なければ、債権の取立てができなかった。これに対して、本法は、差押命令が債務者に対して送達された日から1週間を経過したときは、差押債権者は債権を取り立てることができると定める。なお、他に競合する債権者がいるときは、差押えを受けた第三債務者は供託するので、供託金から配当を受けることになる。
 本法は、同一の債権の一部差押えが2個以上なされた場合について規定する。すなわち、各差押額の総計が被差押債権の額を超えないときは、各差押えは、他の債権者によって差し押えられていない部分を差し押えたものとみられ、差押えが競合したことにはならないが、各差押額の総計が被差押債権額を超えるときは、一部差押えであったものの差押効が債権全部に及ぶことにしている。差押えの競合について従来見解が分かれていた点が、立法的に解決された。
 従来は、競合する債権者がいる場合のみ第三債務者は供託することができ、また、競合する債権者の1人から供託することを求められた湯合には、第三債務者は供託する義務があった。本法は、競合する債権者がいない場合でも、差押えを受けた第三債務者は供託できるとし、競合する債権者がいる場合には、必ず供託しなければならないと定める。
 差押命令と同時に第三債務者に対して陳述命令が送達されたときは、2週間以内に陳述しなければならない。陳述をしなかったときや不実の陳述をしたときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。
 転付命令に対して抗告できるかどうかについては、判例が分かれていたが、本法は、転付命令に対して執行抗告をすることを認める。したがって、転付命令は早くとも抗告期間(1週間)を経過しなければ確定しないが、確定すると、第三債務者に送達された時にさかのぼって転付の効力を生ずる。
 債権執行において配当要求ができるのは、債務名義を有する債権者と先取特権者に限られる。差押え前に仮差押えをした債権者は、配当要求をするまでもなく配当を受けることができる。
 配当要求は、第三債務者が差押債権者の取立てに応じたり、供託をした場合には、その時までにすることを要し、差押債権者が取立訴訟を提起した場合には、その訴状が第三債務者に送達された時までに配当要求をしないと、債権者は配当にあずかれない。従来、配当要求の終期は、差押債権者が取立てをした場合には、その取立てをした旨の届出が裁判所にされた時、第三債務者が供託をした場合には、その事情届が裁判所に届いた時と解されていたから、配当要求の終期がいくらか早まった。

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