債権に対する強制執行

 債権及びその他の財産権に対する執行については、他の執行と同様差押え、換価、配当の手続を経て執行債権の満足が得られるのですが、しかし、差し押さえるべき財産権の内容が多種多様であるため、換価方法などは必ずしも一定していません。
 民事執行法は金銭の支払い又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権と債権を除いたその他の財産権です。その他の財産権には、賃借権、船舶、自動車、建設機械、動産の共有持分権、社員の持分権、工業所有権(特許権、意匠権、商標権、実用新案権)、著作権などがあります。
 金銭債権は、執行債務者が第三債務者に対し金銭的給付を求めることができる各種の請求権で、その請求権の発生が私法上の法律関係に基づくものである場合はもちろん、それが公法上の法律関係に基づくものであっても、また、外国の通貨で表示されている債権であっても執行の対象となる。債権者が第三債務者である債権であっても差し押さえることができる。すでに差押えがされている債権、質入されている債権、滞納処分による差押えがされている債権であっても差し押さえることは差し支えない。

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 金銭債権には次のようなものがある。
 貸金債権、売掛代金債権、預金債権、損害賠償債権など各種の金銭仮作が差押えの目的となることはいうまでもない。勤務先預金返還請求権も同様です。
 賃料、俸給、給料などの債権、それらの権利は賃貸借契約、雇用契約、就任などによって直ちに成立するものですが、一定の期日の経過することによって初めて具体的に請求権が発生する。したがって、あらかじめ差押えをすることができる。
 会社、組合に対する将来の利益配当請求権、財産分配請求権などは、差押えができるが、総会の決議などにより具体的に請求権が発生しなければ、換価はできない。株主権は株券に化体されて譲渡されるから、記名式の場合でもこれか二個の有価証券と認めるのが相当で、これに対する執行は動産の差押えの方法による。
 各種供託物の返還請求権も差押えの目的となる。仮差押金銭又は仮差押えの目的物の売得金を執行官が供託した場合、その供託金は仮差押え中の金銭又は動産であって債務者の所有に属し執行官はその保管方法として供託しておくにすぎないが、しかし、その取次請求権を有する者は執行官であって債務者ではないから、これに対する執行は動産の差押えの方法による。
 一定の有価証券は性質上は債権であっても、動産執行の方法によって行われる。
 金銭債権のための執行の対象物は、差押えの当時債務者の財産であることを要し、かつ、それ自体処分できる財産であることが必要である。他の財産権とともにするのでなければ処分できないものであるときには、それだけを独立して執行の対象とすることはできない。例えば商号権のように営業と共にするのでなければ譲渡できない権利のごときです。法律行為の取消権又は解除権のごときいわゆる形成権は独立した財産権ではなく、ある一定の法律関係の範囲内においてのみ存在する権利であって、その法律関係より分離して存在することはできないから、それのみを執行の対象とはなし得ない。同様に未発生の利息は、基本債権を離れた独立の権利ではないからこれのみを譲渡することはできないから、執行の対象とならない。しかし、既に弁済期の到来した利息債権にっいては、譲渡も可能であるから独立して執行の対象となる。
 期限付又は条件付権利は、期限の到来又は条件成就によって、はじめて独立の権利となるのではなく最初からそれは独立の権利であるから、現在その権利を特定することができ、かつ、その発生の確実性が期待できて財産的価値の認められるものであれば差し押さえることができる。
 金銭執行は債務者の財産を差し押さえ、これを換価して債権者の債権の満足を得させるための手続であるから執行の対象物は換価可能の財産であることを要する。したがって、ガス、水道又は電気など一定の設備によって供給を受ける権利は一つの財産権ではあるが、金銭的に評価することができないから執行の対象とはならない。
 執行の目的は、執行の対象となった財産を換価して弁済に充てることであるから、換価することである以上それ自体譲渡のできるものでなければならない。もし当該権利が法律上又は性質上譲渡性を有しないときは、執行の対象とはならない。

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