動産競売事件の併合

 事件の併合についての法一二五条、規則一〇六条、一〇七条は動産競売に準用される。したがって、動産競売事件相互間、例えば、一般先取特権者の動産競売事件が係属した後に、その目的動産のうちの質権の目的となっている動産に対して、差押えを承諾した質権者が動産競売の申立てをした場合、及びその逆の場合のごとき、債務者の差押承諾により一般先取特権者が動産競売の申立てをした後、他の一般先取特権者が債務者の差押承諾を得て動産競売の申立てをした場合、後者の申立ての場合に債務者その他の第三者の再度の差押えの承諾は不要ではないかとの説も考えられるが、差押えの承諾書は担保権存在の証明に代えようとした民事執行法の趣旨から、再度の差押えの承諾を要すると解される。
 動産執行事件又は動産仮差押執行事件が係属中に同一目的動産に対し動産競売の申立てがなされた場合、例えば、動産執行において差押えが行われた後、その場所について一般先取特権者が債務者の差押承諾を得て更に動産競売を申立てた場合のごときにおいては、事件の併合の手続を行わなければならない。
 動産質権及び動産先取特権の目的物は特定の動産に限られているから、動産質権者と動産先取特権者の動産競売事件相互間、質権者による動産競売事件が係属中に、一般先取特権者が目的動産について質権者の同意を得て動産競売の申立てをした場合、動産質権者又は動産先取特権者の動産競売事件と動産執行事件又は動産仮差押執行事件においては、動産質権又は動産先取特権の目的となっている特定物についてのみ事件の併合の手続を行うことになる。この特定物以外の物に対する執行事件は、併合されることなく、別事件として手続を進める。

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 動産競売は、担保権に内在する換価権能に基づいて行われるものであるから、担保権の存在しない場合は、差押手続は許されない。そのために、債務者又は動産の所有者は、担保権の不存在若しくは消滅、被担保債権の弁済期の来到来を主張して執行異議を申立て、競売手続の取消しを求めることができる。
 法一九一条は、さらに、担保権によって担保される債権の一部の消滅を理由として執行異議ができるとされている。
 特定の動産についての質権、先取特権による動産競売においては、担保権の不可分性から、被担保債権の一部消滅を主張して手続の取消しを求めることはできないものと解されるから、一部消滅を理由とする執行異議の規定は、一般先取特権による動産競売に適用されるものです。すなわち一般先取特権による動産競売においては、超過差押禁止の規定が準用されているため、その規定との関係上、被担保債権の一部不存在を主張させる必要があるからだと解されている。
 以上のほか動産競売については、原則として動産執行に関する法及び規則の規定が準用される。
 質権、動産先取特権、一般先取特権等全担保権者のする動産競売については、差押えの効力が及ぶ範囲、差押物の引渡命令、差押動産を所有者、提出者に保管させる場合の方法、差押物の評価、差押調書等の作成、差押えの通知、差押物の点検、無剰余差押えの禁止、売却の見込みのない場合における差押えの取消し、売却の方法、売却の場所の秩序維持、未分離果実の売却の制限、手形等の提示義務、執行停止中の売却、有価証券の裏書、先取特権者又は質権者等の配当要求、配当要求の終期、執行官による配当等の実施、執行官の供託、執行裁判所による配当等の実施、等の規定が準用される。
 また、不動産競売における競売手続の停止の規定が準用されている。なお、動産競売については、手続開始の場合の担保権の存在の証明度が弱いことから、法一八四条は準用されない。
 動産執行の規定のうち、申立書の記載事項、差押えるべき動産の選択、執行力のある債務名義の正本の交付の規定は、動産競売には準用されない。
 一般の先取特権による動産競売の場合には、超過差押禁止、差押禁止動産、差押禁止動産の範囲の減給、拡張の規定及び差押えるべき動産の選択の規定が準用される。
 質権、動産先取特権による動産競売は、特定物を目的としており、しかも、動産の占有者が差押えを承諾することによってなされるものであるから、法一二八条、二二条、一三二条及び差押えをするに際し所有者の住居等に立入り強制捜索等をすることができる規定は準用から除かれている。
 動産に対する担保権実行としての競売については、強制執行の総則規定のうち第三者異議の訴えの提起、動産差押え後に債務者が死亡した場合でもそのまま競売手続を続行することができること、及び執行費用の負担と取立ての規定が準用される。法三八条の規定が準用される結果、第三者異議の訴えに係る執行停止及び執行処分の取消しの裁判の騰本の提出があった場合における担保権の実行の停止及び既にした執行処分の取消しの規定が当然に準用されることになる。

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