担保権の実行としての動産競売

 動産を目的とする担保権の実行としての動産競売については、原則として動産執行の規定が準用される。したがって、動産競売においても執行官が目的動産を差押え、これを自ら保管し、あるいは債権者その他の者に保管させたうえ換価手続をすることになる。また、執行官は任意弁済を受けることもできる。
 このように動産競売は、執行官の競売の目的物に対する差押えにより手続が開始されるのですが、この場合債権者がいかなる担保権に基づいて競売の申立てをするのかというような担保権の存否という実体的な判断権能を、執行機関である執行官に与えることは相当でないため、債権者は動産競売の申立てに際し自ら目的物である動産を占有しているときはその目的物を執行官に提出し、自ら占有していないときには、その動産の占有者が差押えを承諾することを証する文書を提出すべきものとして、これにより、担保権の存在を提言できる事情を明らかにしたときに限り差押えを開始することとしている。
 このような目的物の提出又は承諾文書の提出がないときには、動産競売の申立ては却下される。この却下決定に対しては執行異議の申立てができる。

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 法二九〇条の規定によると差押えの目的物を占有している動産質権者及び留置権者の場合の権利の実行には問題はないが、目的物を占有していない先取特権者や、製造中の船舶を目的とした抵当権者、それに動産の占有者が差押えを承諾しない場合には結局のところ権利の実行はできないことになる。かかる場合の対策としては、担保権者は、担保権の実体上の権利としての引渡請求権に基づき目的物の引渡しの本案判決を得るか、あるいは引渡断行の仮処分を得て目的物の占有を取得した上で動産競売の方法によって換価することになる。
 なお、旧法当時には、担保権者が捜担保債権に基づいて動産に対する仮差押えの執行をした上で競売の申立てをすればよいと解されていた。この点は民事執行法下においても解釈運用に委ねられることになるが、旧法同様の取扱いによることが相当です。この場合には、競売申立書に、目的動産に対して仮差押え執行がされている旨及びその保管の場所を記載し、担保権の存在を証する文書を添付しなければならない。
 農業用動産に対して先取特権者や質権者が、その権利の実行として競売を申立てる場合には、一般の動産競売と同様ですが、登記されている抵当権に基づいて競売の申立てをする場合は、執行官は、申立書に抵当権に関する登記簿謄本が添付されていれば、抵当権の立証があったものとして差押えをすべきです。抵当権の登記がない場合は、抵当権者は裁判所から抵当権実行の許可を得て、それを添えて競売の申立てをすることになる。この許可の申清に関する裁判は、農業用動産の所在の場所を管轄する地方裁判所において非訟事件手続法によってすることになる。
 農薬用動産の抵当権の実行は、所有者が占有していて任意に提出しない場合又はその他の第三者が占有する場合であってもその者が抵当権に優先する権利を有しない者であるときは、執行官は、目的動産を差押えることができるものとされている。この場合には、執行官は、差押えをするに際し、占有者の住居等に立入り、目的物を捜索し、必要があるときは、閉鎖した戸等を開くため必要な処分をすることができる。
 動産競売の申立ては書面でしなければならない。申立書には次に掲げる事項を記載する。
 債権者、債務者及び所有者並びに代理人の表示、担保権及び披担保債権の表示、担保権の実行に係る動産の表示、被担保債権の一部について担保権の実行をするときは、その旨及びその範囲、差押えるべき動産が所在する場所。
 債権者が執行官に対し、動産を提出するときは、債権者が執行官室にその動産を持参する旨を記載し、債権者が保管している場所に執行官が臨場することを求める場合には、その場所を記載する。
 動産の占有者が差押えを承諾することを証する文書を提出するときは、その動産が所在する場所を記載しなければならない。ただし、一般の先取特権の実行としての動産競売において、動産の占有者が自己の占有する動産について包括的に差押えを承諾する場合にあっては、執行官の臨場を求める場所を記載する。
 動産競売の申立てをする場合は、執行官に対し所定の手数料を納付の上申立をする。

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