売却動産の引渡し

 買受人が代金を支払ったときは、執行官は、売却した動産を買受人に引渡さなければならない。代金の支払と、売却した動産の引渡しとは、同時履行の関係ではなく、代金の支払が先給付になる。
 引渡しの方法は、買受人が代金を支払ったときにその場に売却した動産があればそれを引渡せばよい。これが現実の引渡しですが、民事執行規則一二六条一項前段はそのことを意味している。

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 しかし、売却すべき動産を事前に見分に供した場合や、代金支払の日を定めて売却した場合において、その売却動産が執行官以外の者の保管に係るものであるときは、代金支払時には、その場に売却動産がないことが普通です。例えば、売却物件が機械等大きな物で、買受人が引渡しを受けるにはトラックなどの運搬車を必要とするか、売却物件が家屋等に固着していて取外しが困難である等の理由で代金支払時に引渡し準備が完了していない場合には、執行官は、競り売り期日後であっても現実の引渡しを行わなければならない。
 ただし、執行官は、民法の定める要件が備わっていれば、簡易の引渡し、指図による占有移転の方法によって引渡すことも許される。この場合には、民法の条文中「本人」を「執行官」と、「代理人」を「保管者」と、「第三者」を「買受人」と読み替えるものです。
 指図による占有移転の方法により引渡すべきときは、執行官は、あらかじめ買受人の同意を得て、買受人に対し、買受人が保管者に動産引渡しを求めるときの便宜のために、売却の事実を証する文書を交付し、保管者に対しては買受人にその動産を引渡すべき旨を通知しなければならない。
 買受人に交付する売却の事実を証する文書としては、売却に関する調書の写し等が適当であろう。
 これらの引渡しが完了したときに売却手続は終了する。
 執行官は、売却した動産の引渡しをしたときは、その旨及びその年月日を記録上明らかにしなければならない。売却後直ちに代金が支払われて、動産を引渡したときは、売却に関する調書の中にその旨を記載しておけばよい。なお、執行官以外の者の保管に係る動産を指図による占有移転の方法により引渡しをしたときは、その旨をも記録しておくのが相当です。
 執行官は、競り売りを実施したときは、競り売り調書を作成しなければならない。
 競り売り調書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 1. 民事執行に着手した日時及びこれを終了した日時
 2. 民事執行の場所及び売却すべき動産
 3. 民事執行に立会った者の表示
 4. 実施した民事執行の内容、実施した民事執行の内容の記載として次に掲げる事項を明らかにしなければならない。買受人の表示、買受けの申出の額及び代金の支払の有無、適法な買受けの中出がなかったときは、その旨
 5. 民事執行に着手した後これを停止したときは、その事由
 6. 民事執行に際し抵抗を受けたときは、その旨及びこれに対して採った措置
 7. 民事執行の目的を達することができなかったときは、その事由
 8. 民事執行を続行することとしたときは、その事由
 執行官は、競り売りに立会った者のほか、買受人又はその代表者若しくは代理人に対し競り売り調書に署名押印させなければならない。その者が署名押印しなかったときは、執行官は、その事由を競り売り調書に記載しなければならない。

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